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石化

        1

 アイシャが、背伸びをしている。

「ふむ、どうやら僕は眠っていたようだ……」

と、小さく欠伸をした。

 野蛮人のゲインは、背中を反らし、準備体操をしている。サイクリークスは、片膝をついて、両眼を隠した前髪をいじっている。

 顔を頭巾で隠したグルステルスは、両手をそろえて、静かに立っていた。気配を消している。派手な着物を着たゲンロクサイは、扇を取り出して、何か奇妙な舞を踊っていた。

 アイシャが腕を組んで、周囲を見渡している。ゼルエムに気がついた。 

「ゼルエム……。君だけが、起きて、人工生命体ガーゴイルと戦ってくれていたのか……? おや?」

 ジョニーの手にしている鍵に、気づいた。寝覚めの良い、爽やかだったアイシャの顔が、険しくなった。

 ゼルエムはアイシャの前に進み出た。

「ははっ。単騎で敵の人工生命体ガーゴイルと交戦しました。て、例の貝殻頭シェルヘッドと連携して、撃破しました」

「鍵は、例の貝殻頭シェルヘッドに奪われたのだね。誰のせいかね?」

 ヴェルザンディの言葉で、アイシャは、ジョニーを貝殻頭と呼んだ。ジョニーは不快だった。陰では、ヴェルザンディの連中に馬鹿にされているのである。

 アイシャの両眼には、くすぶる火のような怒りで満ちていた。うずくまるゼルエムを冷たく睨んだ。ゼルエムだけが一人だけ汗をかき、息を切らしている。

「ゼルエム。立ちたまえ……」

 どこからともなく、鞭を取り出した。

「君がいながら、シグレナスに鍵を奪われるとは、たるんでいるんじゃないのかね?」

 アイシャは、鞭をしならせた。

 風を切る音とともに、ゼルエムの頬に一筋の傷がついた。

 アイシャが鞭を振るうたびに、ゼルエムの両頬に傷が増えていく。

(ゼルエム、何をしている? 弁明をしろ。俺と一緒に、アイシャを助けた事実を伝えろ)

と、ジョニーは思った。アイシャの暴挙に腹が立つ。

 ゼルエムは、反論をしなかった。ただうつむいているだけだ。

(ゼルエムは待っている。アイシャの、気が収まるまで)

と、ジョニーは、ゼルエムの心理が分かると、気の毒になってきた。ゼルエムは、弁明をしない性格だ。誠実で、男気がある分、損をする性分なのだ。

 ゼルエムが、常に俯いている理由は分かったような気がする。無口で内罰的な性格のせいで、すべての不始末の、責任を負わされているのである。

「ゼルエム、奴隷だった君を、むち打ちの刑から助けてやった僕の恩を忘れたのかね? あまり僕を怒らせないほうがよい。父上には報告させてもらうがね」

と、負けず嫌いのアイシャが、歯ぎしりをして、ヴェルザンディの最高権力を持ち出した。 アイシャは執拗に、ゼルエムの悪いところを何度も繰り返し、なじった。

 傷つくゼルエムを前にして、アイシャの白い肌は紅潮し、息が荒くなった。心なしか、機嫌が良くなっている。

 アイシャにとって、敗北は死を意味する。

 母親に見捨てられ、兄弟との権力争いに巻き込まれ、生き残らなければ、権力闘争に負ければ、他の兄弟に殺される運命にある。

 兄弟というだけで淘汰しあう、生存競争の中で、自分よりも立場の弱い人間を相手に、アイシャは、自分の不安と恐怖から、目を逸らしていた。

「とんだブラック国家だな。俺がゼルエムなら、アイシャと喧嘩をしている。どうしてゼルエムは何も反論しないのだろうか?」

 ジョニーは、ゼルエムに対しても、腹が立ってきた。呆れている、ともいえる。

 間接的とはいえ、ゼルエムはアイシャを助けたのである。ゼルエムの手柄である。黙っていないで、主張すれば良いのである。

「知ったことか」

 だが、ジョニーは思考を打ち切った。ゼルエムが不利益を被っても、所詮は、ゼルエムの問題である。逆らえない理由があるからで、ジョニーの知らないだけなのだ。

 ジョニーとしては、自分自身の問題を先に解決しなくてはならない。

 それは、セレスティアの安否である。

 周りに目覚めた人物の中、セレスティナだけがまだ眠っている。

 あどけない表情で、眠っている。寝顔も可愛い、とジョニーは思った。

「セレスティナ……」

 片膝を突いて、セレスティナの頬に手を伸ばした。ジョニーの手が触れる前に、セレスティナはうめいた。うめいた。汗をかいて、苦しそうに眠っている。

「まだ眠っているのか……? これでは戦えまい」

 アイシャを見ると、まだ、アイシャはゼルエムに怒っていた。

 アイシャが鞭を振り上げる。ジョニーは、素早く鞭をつかんだ。

「何をするのかね? ヴェルザンディの問題だ。シグレナスの同志諸君は、口を挟まないでもらおう!」

と、アイシャが、眉をつり上げ、にらんでくる。

「忙しいところ、申し訳ない。セレスティナの体調が悪い。セレスティナを棄権にさせるから、他の奴を代役に立てたい」

と、ジョニーはアイシャに提案した。ジョニーなりに低姿勢な態度に望んだつもりだ。

 おもちゃを奪われた子どものように、アイシャはむくれた。だが、すぐに平静に戻った。

「ふむ、構わんよ。好きにしたまえ」

 意外にも、アイシャは了承してくれた。ゼルエムを虐待したおかげなのか、機嫌が良くなっている。

「ボルテックスに交代させよう。ボルテックスがまだ回復していないなら、セルトガイナーでも構わん。セルトガイナーなら、戦力は倍増するな」

 総合力では、ボルテックス。サイクリークスとの相性の良さでは、セルトガイナーである。「今の君たちに交代要員がいるのかね? ……見たまえ」

 アイシャは余裕の態度だ。鞭の先端を、空中に突き刺した。先は、味方のいる場所だ。

「どういう意味だ? ……なんだ、あれは?」

 ボルテックスたちがいたはずの場所に、いくつもの石像が立っていた。

 見慣れない石像には、見慣れた顔ばかりが並んでいた。

 仮面を付けたままボルテックス、ダルテ、フィクスと並んでいた。全員が白い石になっていた。

 隣で、巨大な蛇に似た女の霊骸鎧が立っている。

 霊骸鎧は、蛇と同じ下半身を持ち、頭部には、蛇の群れが生えていた。蛇たちが蠢いている。

「何をした? 貴様ら?」

と、アイシャに問いかけた。ジョニーは焦った。

「おおっと、僕の婆や……ゴルゴッザが君たちの仲間を、石像に変えてしまったのだ。“蛇髪メデューサ”の視線には、石化光線がある」

 アイシャはとぼけた声を出した。仲間が石化した原因は、蛇型の霊骸鎧“蛇髪”が原因である。

 アイシャの発言に呼応するかのように、“蛇髪”の両眼が、赤く光った。

 ジョニーは、“母型マザータイプ”の人工生命体を思い起こした。赤い光には、仕掛けがある。

「まずい、サイクリークス、ゲイン、奴の目を見るな!」

 ジョニーは、腕で、自分の眼を隠した。

 赤い光線が地を這う。赤い光線は、ジョニーの頬を通り過ぎていった。

「二人とも、無事か?」

 サイクリークスと、ゲインは、回避していた。

 セレスティナは眠っている。体調不良が、セレスティナを危機から救ったのである。

「おい、アイシャ。ボルテックスたちを元に戻せ。試練の途中で仲間を攻撃するとは、約束が違う」

 卑怯な奴だ!

 ジョニーは、怒りをこめて抗議した。

 対照的に、アイシャは笑っている。

「ふふん。貝殻頭シェルヘッドくん。動揺しているね? 君にしては珍しいね。おっと、怒って、暴れ回らないでくれよ。君たちの仲間が倒れたら、大変だよ? 石像にヒビでも入ったら、大変だ」

「貴様……」

「……心配しなくていい。時間が経過すれば、元に戻る」

と、アイシャが笑った。ジョニーに怒りが吹き上がった。

「俺たちが戦っている間、眠っていた奴は、どこのどいつだ? ここまで連れてきて、貴様を助けた奴は、誰だ?」

 ジョニーは、まくし立てた。

 セレスティナもボルテックスも、ジョニーを止める存在はいない。女は殴らない主義だが、どうしてもアイシャが許せない。

「なかなか休めたよ。ゼルエム、ご苦労様。君が僕をここまで運んでくれたのだね」

 アイシャは、ゼルエムに向き直った。さっき、ゼルエムを問い詰めていたときとは、口調が明るくなっていた。

 アイシャは、自身が助かった理由をゼルエムに手柄にした。

(なんて調子の良い奴)

 ジョニーは、怒りで歯を食いしばった。

 アイシャは、どんな卑怯な手を使ってでも、勝てば良いのだ。負ければ、死ぬ環境の中で、アイシャが幼少の頃から身につけた、生き抜く方法であった。

「いいや……」

と、ゼルエムが言葉を濁した。反論するつもりが、アイシャの笑顔からこぼれる圧に、圧されて言葉が続かない。

「そうか、そうか。ありがとう。君の話は、父によく伝えておくとしよう」

 強引に、アイシャは都合の良い話をごり押しした。ゼルエムが、口に握りこぶしを当て、咳払いをした。気まずそうに、ジョニーからの視線を避けている。ジョニーは、ゼルエムに一瞬だけ期待したが、ゼルエムは、自分の主筋を選んだのである。当然の結果だが、気分が悪い。

「あれ、貝殻頭くん。なぜそんなに怒っているのかね? おおっと、怒るなよ? 変な気を起こすなよ。そもそも、僕は、君に助けてくれ、って頼んだかね?」

「実際に助けたのは、俺だ」

「いいや、僕を助けた人物は、僕の忠実な護衛である、ゼルエムだよ。あのさ。もう時間がない。そろそろ次の試練をやろう。……とはいっても、ここでは最後の試練だけれどもね」

 アイシャは悪戯をした子どものように、開き直った。

「貴様がそう思っているのなら、そう思え。だが、俺は絶対に認めん」

「帝国の黒い貝殻頭くん」

 アイシャは、ジョニーとの距離を近づけた。自分の胸を、ジョニーの胴に突きつける動作をした。板のように薄い胸を近づけられても、嬉しくもない。

 アイシャは、上目遣いをした。以外と、睫毛まつげが長い。

 小声で話かけてきた。

「君たちは、たったの三人だ。そんな戦力で、何ができる? 今の僕たちが、全員で本気を出せば、君や、君だけでなく、そこで眠っているセレスティナ同志など、簡単に殺せるんだよ?」

「誰を殺すつもりだ?」

「怖い怖い。まあ、そう怒るな。勝負は目に見えているのに、僕たちは、健気にも試練に立ち向かっているんだよ? 君たちと同じ条件でね。それだったら、君たちは、僕たちに正々堂々と戦い、勝てば良いのさ。セレスティナ同志の命だって助かる。……だから、試練を受けたまえ」

と、アイシャは、ジョニーの胸を優しく叩いた。ジョニーは、アイシャが石化の件について、ごまかしている、と気づいた。

「さあ、次の試練は、“空中回転軌道ジェットコースター”だっ」

と、アイシャが元気よく、上空を指さした。

 空中に掲げられた、線路である。

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 ジョニーは、この空間に入った時点で、気になっていた。

 線路は、かすむほど高い位置に架けられていた。線路は、奇妙な形状をしていて、山なりになったり、傾斜が急になったり、宙返りをしたり、多様性を見せていた。

 ジョニーたちは、動物の頭部を模した人工生命体に連れられ、階段を上った。

 ジョニーはセレスティナをお姫様だっこで担いでいた。繊細な部分に触れずに運ぶには、最適解だった。細くて壊れそうな、セレスティナの身体付きを慎重に運ぶ。

 階段の先には、線路と、座席のついた籠があった。籠は細長く、二列の座席が組み込まれていた。

「この車体に乗り込むのだよ。車体は、霊力に反応して起動する。八人がいなければ、動作しない」

と、アイシャは説明した。遺跡について、詳しい。建築に携わったのではないか、とジョニーは疑った。

「セレスティナは意識を失っている」

「ふん、死んではいないのだろう? 車体が霊力に反応するから、問題はない」

「……途中で誰かが死ねば、どうなる? 車体は止まるのか?」

「霊力は起動装置に過ぎん。誰か死んでも、車体は動き続けるよ。……死体を乗せてね」

 アイシャは唇の片方をあげて笑った。冷笑である。誰かの死を揶揄している態度に、ジョニーは気分を害した。

「さあ、車体に乗り給え。……先に目的地まで走った側が勝利となる。……先行と後行のどちらがよいかね?」

「“先行”? 先攻ではなく、先行だと?」

「そうだ。車体は、これからもう一台やってくる。分乗しよう……。我々ヴェルザンディと、君たちシグレナスとにね」

「単線だったら、後発は、先発を未来永劫、追い越せないぞ」

 ジョニーは、一本の線路に、二台の車体が、追いかけて走る映像を思い浮かべた。

「指摘が的確だね。……だが、心配には及ばん。二車線に分岐する箇所がある」

「だが、それでも、先に到着した者が勝利なら、先行が有利だ。俺なら、先に行く」

「ふふん、そうはいかないのが、魔王の試練だ」

「なに?」

「なんでもない。……では、シグレナスの同志諸君、諸君らは先行でよろしいかね?」

 アイシャの問いかけに、ジョニーはサイクリークスとゲインを見回した。ジョニーの選択に委ねる、とばかり、二人とも頷いた。

「無論だ」

 ジョニーはアイシャに返答した。ボルテックスもセレスティナも、行動不能である。

 今、自分がシグレナスの代表者なのだ。代表者としての自覚が、ジョニーの背筋を伸ばした。

 アイシャの余裕を感じ取った。

 ジョニーは、前から二番目の席にセレスティナを寝かせた。

 花でも添えるように、静かに下ろす。

(セレスティナが目覚めない……。だが、俺がやったように、セレスティナを“星幽界アストラルワールド”から引き戻してみよう)

 ジョニーは、セレスティナの肩に手をかけた。ガラス細工のように細い。身体が熱くなった。だが、ジョニーは目を閉じて、世界が暗転する。

 飛び込んだ先は、暗黒の沼である。沼の感覚を突き抜けて、白さに包まれた世界に落ちていった。

 二階から飛び降りるような感覚だ。

 だが、以外にも浮遊感があった。自分自身が羽毛になったかのようだ。

 そこは、白い布で、ジョニーは柔らかく着地した。柔らかい。

 白い布に包まれた感覚は、気持ちが良い。

 ジョニーはこのまま眠ってしまいたくなった。

 セレスティナの“星幽界”は、楽しげな感じがする。

(“星幽界”は、その人物の内面の状態を表しているのだな)

 ふわふわする布の上を、ジョニーは跳ねて移動した。

 布は波打ち、なかなか足取りが悪い。

 クリーム色の金髪をした少女……セレスティナの姿があった。胸の前に手を重ねて、眠っている。

 セレスティナが目覚めた。

 意外そうな表情をして、周りを見ている。

 ジョニーとしては、“星幽界”は夢を見ている状況に近い。夢の中で目覚める姿、というのは、奇妙である。夢の中で眠っていたのなら、そのときは、セレスティナは、セレスティナの意識は、どこにあるのだろうか……?

 ジョニーは、布製の地面に足を取られながら、セレスティナの名前を、叫んだ。

 だが、声が出ない。夢の世界に似ている。

 いや、霊骸鎧状態においても、声が出ない。そもそも、霊骸鎧とは、夢を見ている状態なのだろうか……?

 夢らしく、走っているのに、なかなか近づけない。

 セレスティナの周りが、白く盛り上がった。

 盛り上がった布が、人間の姿をかたどった。

 一体だけではない。二体、三体、と盛り上がってくる。

 全身が白く、顔の真ん中に巨大な瞳を持っていた。頭には、うさぎに似た長い耳をしている。胴体が細長く、手には、折れ曲がった鉤爪を有していた。

 白兎の怪物たちは、セレスティナを取り囲む。肩をすくめて、威嚇をしている。

 セレスティナが身を縮めて怯えた。

 ジョニーは、足がもつれ、前に進めない。

「武器……!」

 ジョニーは、白い銃を持っていた。いつの間にか、ジョニーの手にあった。

 怪物に向かって、引き金を引いた。弾丸が出ていないのに、一体が破裂する。破裂した後には、四散した布が舞っていた。続けて、次の奴を撃ち殺した。

 射殺しても、射殺しても、白い怪物は、布の海から湧き出てくる。布は減らず、怪物たちは、無限に生まれ出てくる。

 そのうち、銃の引き金を引いても、怪物たちは破裂しなくなってきた。

 銃の故障か、弾切れなのか……?

「セレスティナ……!」

 ジョニーは、かすれた声を絞り出した。

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「ふむ、どうしたのかね? 帝国の黒い貝殻頭シェルヘッドくん。眠っているからといって、無防備な女子の肩をそんなに触れてはいけないよ」

 アイシャが、笑っている。

 ジョニーは慌てて手を引いた。不埒なまねをしていると思われたくないからだ。

 悪夢から目覚めたかのように、ジョニーは汗をかいていた。胸が激しく鼓動している。

 セレスティナを見ると、まだ眠っている。

 救えなかった。

 ジョニーは落胆した。自分の無力感が溢れてきた。

“魔王”の仕掛けた罠がそれほど強力だったのか、ジョニーには理解できない。

 だが、起きないのであれば仕方ない。

 眠っているセレスティナを、全力で防衛するのみだ。

 ジョニーはセレスティナの真後ろに座った。敵は背後から来る。

 セレスティナの隣には、緑色の霊骸鎧“蔦走り(アイビィランナー)”……サイクリークスが座った。

“蔦走り”サイクリークスは、体格はないが、態度が落ち着いている。派手さはないが、仕事を確実にこなしていく印象がある。

 頼もしい存在である。

 ジョニーの隣には、両腕の長い霊骸鎧“振動トレマー”……ゲインであった。仲間はすでに変身をしている。

(おかしい。これは罠だ……!)

 違和感がある。

(いつも自分たちが有利な戦いにしようとアイシャは屁理屈をこねていった。とすれば、後行が有利になる……!)

 ジョニーは立ち上がろうとした。

「では革命のときだ。出発進行! 理念と祖国のために、戦い給え!」

 アイシャの号令とともに、車体が動き出した。車体は、留め金から解放されて、徐々に車輪が転がり出した。

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