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第7話 ジン

短いです。

 深夜、泥のように眠っていたところをけたたましいアラーム音で起こされる。


〈ゴブリンの集団を感知しました。現在、西に三キロの距離をこちらに向かって進んでいます〉


 周りを見渡すと救出した五人は眠り込んでいる。アラーム音は陣平にしか聞こえなかったのだろうか。

 陣平は他に脅威となりそうな生物の接近が無いことを確かめると、そっとその場を離れ、ゴブリンの迎撃に向かう。

 一.五キロほど歩くと先のほうに明かりが見えた。松明だろうか、その明かりは揺らめいている。ゴブリンは夜目が利かないらしい。対してこちらは暗視装置つきで昼ほどとはいかないが夜の森の中でも問題なく歩くことができた。


「イル、あいつらの松明の火は消せるか?」


〈効果範囲に入れば可能です〉


「わかった。効果範囲に入り次第消してくれ。火事は起こしたくない」


そう言うとそっと前進する。対象は二五匹、こちらは夜の上に光学迷彩付きだ。もはや戦闘ではなく作業になりつつあった。


◇◇◇


 翌朝、全員が目を覚ました。昏睡状態に陥っていた中年女性も目を覚ました。陣平は残りの非常食を全員に配り朝食とする。

 異世界生活三日目の朝にして非常食が尽きる。確実に減っていくリソースに焦りを覚えるが、困っている人の前で慌てる姿を見せるわけにもいかないと思い、いたって平静を装う。ヘルメットで顔が見えないのが幸いだ。


 その後、クラフターで担架を作り、若い男性と中年男性が中年女性を担いで再び村を目指す。

一行は水だけで過ごし、森をかき分けながら進み、太陽が中天を過ぎたあたりでついに村に辿り着いた。

 村の入り口で、安心感からか全員へたり込んでしまう。もう一歩も歩けそうにないほどに疲弊していた。しばらくへたり込んでいると、農作業に出ていた村人に見つかり、わらわらと寄ってきた村人たちに村長宅へと運ばれる。


 中年男性とバルトロと呼ばれた老人は出された麦粥を食べながら村長へ報告を行う。

陣平はヘルメットを取ると言葉がわからなくなると思ったがイルが音声で翻訳してくれるらしい。初めて知らされたが普段のイルの声は陣平だけにしか聞こえないらしい。

 ヘルメットを収納するとこの世界の人たちの前で初めて素顔をさらす。ヘルメットのギミックに驚いたのか、中から出てきた美少女フェイスに驚いたのかわからないが、皆、陣平に視線が向く。しかし、勢い良く麦粥を掻き込みだしたのを見て驚きも霧散する。





「そうか、あとの五人は駄目だったか」


あの焚き火に炙られていた人たちの話だろうか、他にあと五人いたらしい。


「今ならゴブリンの数も減っている。冒険者を雇っても対処できるだろう」


 そんな話を聞きながら陣平は不満だった。この麦粥が不味いのだ。ヤギの乳で煮こんであるらしく鼻から抜ける匂いが臭くてたまらない。空腹は最高のスパイスと言うが、コイツには敵わない。今ならどんなものでも大量に食べられると思っていたが一杯で力尽きた。そんな感慨に耽っていると皆の視線が自分に向いているのに気づく。


「食事中に申し訳ない。私はこのボザ村の村長でアマデオと言います。ぜひ、妖精殿のお名前を教えて頂きたい」


知らないうちに妖精にされていた。確かに姿を消し、ゴブリンをなぎ倒す幼児はいないだろう。不信感を抱かれるより、このビッグウェーブに乗ることにする。ゴブリンがいるのだ妖精ぐらいいるだろうと軽い気持ちだった。

 襟元を指で押すとヘルメットがパシャンと閉じる。これがイルに対する音声入力以外の意思疎通方法、あらかじめ決めたポーズや動作で決まったアクションを起こすように打ち合わせておくのだ。もちろん、指で押した場所にスイッチ等はない。声が二人分聞こえて不審がられるのを避けたかった。


「私は生まれました、アースに。私の名前はジンです。」


陣平あらため、ジン誕生の瞬間だった。


「アース族のジン殿ですな。この度は村人をお救いいただきありがとうございました。なにかお礼に私どもにできることはありませんでしょうか?」


アース族のジン殿ですな(キリッ)じゃねーよプギャーと、内心は思いつつも表面には出せない。


「私は旅しています、途中。私は欲しい、食べ物そして鉄」


「食べ物と言うのは保存食でよろしいですかな?」


コクコクと頷く。


「鉄というのは鉄そのものが欲しいということでよろしいのでしょうか?」


「それは良いです、捨てる物でも」


「わかりました。準備させましょう。よろしければ今日は我が家にお泊り下さい」


 そんな話をしていると、村人が大勢やってきて村長宅になだれ込んできた。帰ってきた者たちの労をねぎらう人、泣き喚き暴れだす人、そんな村人たちに揉みくちゃにされる一幕もあった。一度に大勢に話されると翻訳も追いつかず、字幕がチャットログのように流れる事もわかった。それからしばらくして解散となった。


 今は食堂に一人残り、椅子から投げ出した足をプラプラさせている。あまりに暇になので、村の様子でも見てみようと村長さんの家族の人に一声かけて出かけることにした。


どうにも文章が説明臭い(;´・ω・)

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