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第10話 探検!人の街

短いです。



 一人になったジンは、人目につかない建物の物陰に入ると光学迷彩で姿を消す。


 まず探すのは鍛冶屋である。冒険者ギルドの裏通りは鍛冶屋が多く軒を連ねていた。


 最初に入った店は生活用品が専門のようで銅製のコップや鉄鍋、ヤカンなどが数多く並んでいた。一通りスキャンすると次の店に入る。


 今度は工具が専門のようで、金槌やノコギリ、ヤスリなど大工道具から土木、農具など揃っていた。


 次の店は探険家専門店であった。棚には色んな種類のムチが揃っている。高い場所に巻きつけてロープ代わりにしたり大活躍の武器である。

 隣の棚には色んな色の蝋燭が揃っている。ジンの知っている探険家もジッポライターを明かり代わりにしていた。

 やはり世界の神秘にせまる探険家は遠くまで旅をしなければならないのだろう。

 この世界での移動手段は馬が多い、この店は馬具も扱っているのだろう。今は売り切れているようだが鞍を置く台があった。


 次の店でようやく武器屋に辿り着く。片っ端からスキャンする。値札がないので価値がよくわからないが良し悪しが出てくるのは刃の付いている武器だろう。鈍器ならバランスさえ取れれば良いように思えた、長さを変えたりするのはクラフターにかかれば一瞬である。ただ、なぜ武器屋に盾が並んでいるのかわからなかった。


 次に訪れたのは防具屋である。しかし、防具屋というより革鎧とチェインメイル屋さんである。他はオーダーメイドなのだろうか。サイズは豊富だったが得られるものは少なかった。


 防具屋を出るとひどくお腹が空いてきた。この世界では朝食の文化が無いのか、一日二食なのだ。しかし、お金も食料もないので仕方なくダニオ家に飯をたかりに行く事にした。


 ダニオ家につくと、ベルナが食事の準備をしていた。昼食はすませて、今は夕食の準備をしているらしい。なんでもこの国の伝統的な鍋料理であるらしく量が減れば材料を足し、長い時は1週間以上食べ続けるらしい。

 ここまででジンは玄関のドアをノックしただけである。ドアを開けたベルナが一方的に話し続けただけである。ゴブリンに捕らえられていた時とは随分な変わり様であった。トラウマにならずに良かったと思うべきか、それとも逆で反動なのかが心配になる。

 黙って食卓につくと、スープとパンを出してくれた。


 ヘルメットをしまうと、思わず日本語で


「いただきます」


と、言ってしまう。


「あら、それがあなたの本当の声なのね」


 両手を合わせスプーンを親指で挟むと料理に向かって一礼。やってしまったら突き進むのがジンの流儀だ。ベルナは対面の席に座り、とくに気にした様子もなくニコニコしながらジンを眺めていた。


 スープを一口飲む。具は玉ねぎと人参、カブとベーコンのみ、それを塩とショウガで味を整えただけのスープだが、あのヤギ乳粥にくらべれば百倍美味い。


「もっと数日煮こめば美味しくなるんだけど今日作ったばっかりだからね」


 カゴに盛られたクラッカーのようなパンをとる。本来は麦を粗く挽き、粥にするらしいのだが今から挽いていては時間がかかるため、旅で食べる保存食のパンを出してくれたらしい。持ってみただけでも硬さがわかる。齧りついてみるとやはり硬い。


「スープにつけて食べるの。丸ごとスープに落とすのが我が家流」


言われるようにやってみる、しばらくするとふやけて粥状になる。パン粥だ。塩気の効いたパンとあっさり味のスープが融け合ってほど良いバランスを生み出していた。


 残さず食べるとスプーンを置き両手を合わせる。


「ごちそうさまでした」


 空っぽの皿に一礼。


「美味しかった?」


「うぉいすぃかとぅあ。あるぃがとぅ」


初めて喋ったこの世界の言葉だった。

ちょっと短すきたかな?

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