どこに行っても予測不能
いやぁ…珍しく前書きを後に書いてますよ…私。どうも若苗きぃと申します。
なんというか二日三日かけて書いたのが初めてなので、表現しにくい心情にございます。
にしても、少し日が空いての投稿なのでボリューミーにしてみました!
甘党男子と女性警官第五話、どうぞ召し上がりやがれください!
「あ、私たち許婚なんです」
「……はい?」
許婚ならば絶対にしない反応を見せてしまった。せっかく蕨がついた嘘を無駄にしたような気がして申し訳なかったが香駿と蕨の斜め前に座る体育教師ジャスティス・ゴン林は残念そうにしかし何かを諦め、新しい何かを探すような表情をしながら口を開く。
「いや~、許婚なんですねぇ! てっきり姉弟かと思いましたよ! はっはっは!…」
やはり何か引っかかるようで変に声をあげたり笑ったりでまともに話せるような状態ではない。ここで気を利かせるのが生徒の役目というものだろうと思い香駿が軽くツッコミを入れる。
「あの、せんせー…無理があると思います…もう少しマシなウソにした方が…」
「茶ノ木君、フォローになってないよ…」
蕨に言われて初めて気が付いた。常日頃嫌っている教師に対して気を利かせるなど無理だということを。
「そ、そろそろ行きたいんですけどいいですか?お店閉まっちゃいますし…」
「どこにでも行きやがれぇ! 明日は遅れるなよぉ!」
いつもうるさい脳筋教師が鼻を鳴らしながら叫ぶ。こんなこともあるもんだなと1人世界の広さに納得してから会釈をし蕨と並んで応接室を出る。
「さ、さようなら」
「失礼します」
結局最後は涙を流していた。これは明日から余計当たりが強くなりそうだ。そう考えていたがよくよく思い返せば蕨に迷惑をかけたことに気づき即座に謝った。
「すみません…迷惑かけちゃって…」
二人でゆっくりと廊下を歩きながら会話を続ける。
「気にしないで、叫んだのは私なんだから」
優しく微笑みかけてくる蕨は日の光を浴びて朝あった時よりも輝いて見える。感傷に浸っていると蕨が腕をつついてきている事に気づく。蕨を見ると周りを見ろという意味だろうか目だけで周りを見るような動きをする。香駿も気になって周りを見渡す。すると廊下中の生徒がこちらに目線をやっている。
(えっと、みんななんでこっち見てるんでしょうかね)
(さぁ、やっぱりカップルに見えちゃったり?)
(なんでそういう考えになるんですか、普通に考えてお姉さんが校内を歩いているからでしょ!)
(えぇ、私とじゃ嫌なの?)
(そんなんじゃなくて!その、廊下を見たことないお姉さんと男子生徒が一緒に歩いていたら気になってみんな見ちゃいますよ!)
(へぇ、いろんな子がいるんだねぇ)
周りに聞こえないほどの声量で会話をしながら再び見渡すと女子二人組でひそひそ話をする人達や男子三人でニヤニヤしながらこちらを見る人達がいる。そんな中二人の目の前に眼鏡をかけた少女が飛び出してきた。香駿も見たことがある。図書委員の女の子だ。
「あの、お二人は付き合ってるんですか!」
「えっと…」
いきなりされた質問の意味が理解できずにおどおどしていると蕨が少し前に出てしっかりと挨拶をする。
「こんにちは。茶ノ木君の彼女をさせていただいております黄蜜と申します。よろしくお願いします」
(そうそう、僕の彼女の黄蜜さんじゃなあああああああああああああい! なに? この人明日からの僕の学校生活を真っ赤にしたいの⁈)
あまりにも自然に聞こえていたため納得しかけていたが言葉の意味に気が付き心の中でツッコみが出る。あくまで心の中でなのでそれを聞く人がいない。蕨を見れば舌を出しながら笑っている。焦りが出てきてしまう。これからどうしていけばいいのか。全校生徒に《体育教師と戦闘した年上好きの生徒》などと認識されるのはさすがにきついものがある。
「やっぱり、本当なの? 茶ノ木君」
「えっ、そ、その…」
ここではっきり否定すると蕨を傷つけてしまいそうで否定できないため、またもやおどおどし、言葉に詰まってしまう。下を向いて黙っていると蕨が助け船を出してくれた。
「あのさ、私の彼氏を困らせないでほしいな、それにこれからデートだから急いでるの」
言ってることはやはり変だが、口調が怒っていることに気づいた。それが演技かどうかは定かではないが少なくとも香駿を助けようとしてくれていることに深く感謝する。
「す、すみません」
怖くなったのか図書委員の女の子も走り去って行ってしまった。蕨が怖かったのは仕方ないと思うが引き留めた彼女にも否がないとは思った。軽く心の中で謝っておいた。
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その後、学校から出た二人は先ほどのことを話しながら少し歩く。
「それにしてもモテモテだねぇ、香駿君は」
「別にそんなんじゃないと思いますけど…」
蕨の口ぶりが少し拗ねているように聞こえたがそのまま会話を続ける。
「あの子、大丈夫だったかな、割るけど次会った時にでも謝っといてくれる?」
「別にいいですよ、ただあの時なんで付き合ってるなんか?」
「バカ…」
「え?」
小声で何か言ったような気がしたがよく聞こえなかったので聞き返す。
「なんもないよ! ああ言ったら面白いかなって思ったの!」
「それだけですか! もう少し考えてくださいよ」
笑いながら話していたが、少し沈黙が流れる。少し居心地の悪さを感じたものも会話の内容がアウトだった気がしていた。しかし、次に口を開いたのは蕨だった。
「にしても香駿君は本当に鈍感だよねぇ…未来の彼女さんは大変だろうね」
「ちょっと失礼じゃないですか? 流石にアピールくらい気づきますよ!」
「へぇ…」
そんな会話をしていたらクレープ屋さんについた。学校の休み時間の時にメールが送られてきてお店は事前に決めていた。前々から気になっていたお店で黄色のワゴンが目印だ。
「んん、甘い匂い!早く行こうよ!」
「ちょっと、そんなにはしゃがないでください! 周りに見られてますよ!」
「さっきも見られたしいいんじゃないの?」
「そういう問題じゃなくて…」
この人には振り回されてばかりだ。一日も経たないうちにここまで仲良くなるのも変な話だが友達が増えるだけでとても嬉しくなる。
(これも、あのプリンのおかげかな)
パッケージを思い浮かべて感謝していると蕨が呼びかけていることに気づいた。
「ねぇねぇ、早く買おうよ」
「は、はい」
つい先ほどの怒ったような声を覚えていて違和感しかなかったが先に歩いていく彼女に小走りでついていく。
「いらっしゃいませ!」
笑顔であいさつする店員さんに軽く頭を下げ、並んでメニューを眺める。
「いっぱいあるね!」
「ですね…一応バナナが乗ってるのがとても美味しいらしいですよ」
ここまでキャラが変わると思っていなかったが横にいるお姉さんが楽しそうなので目を瞑る。
「じゃあこのバナナのにしようかなぁ…でもこっちのチョコのも食べたいなぁ…」
「ああ、なら僕がチョコのを買うんでお姉さんはバナナの方を買ったらどうですか? また一口ずつ食べればいいし。」
正直、自分でもなんでこんな提案ができたかわからなかった。今朝はあんなに驚いてお互いに顔を赤くしながらギャーギャー騒いでいたのに。まだ、一日も一緒に過ごしていない年上のお姉さん。今まさに隣にいる女性に振り回されてばっかりだった。なぜこの人はせっかくの休みを潰してまで自分と過ごしたのかそう考えているとおぼろげな声が聞こえてくる。しかもその声はどんどん大きくなっていく。
「ね…ねぇ…ねぇってば!」
「は、はい!」
「大丈夫? とりあえず下がろう? 他の人たちもいるんだから」
「すみません、ぼーっとしちゃってて…」
我に返ったころにはもう手にチョコレートのクレープを持っていた。いつの間にクレープを手に持っていたかは分からないが蕨の言うことを優先し、近くにあるベンチへ腰を掛ける。
「本当に大丈夫? とりあえず横になる?」
「いえ、本当に大丈夫なので、とりあえず食べましょう!」
軽く腕を上げながら笑顔で言う。どうやら蕨も安心したようでニッコリとほほ笑む。
「それじゃあ…お姉さん…」
怪しい人と思われても何も言い返せないレベルでニヤニヤしながら蕨の方を向く。
「せやねぇ…いきましょか…」
すると蕨も同じようにニヤニヤしながら関西弁を使う。どこからどう見ても警察には見えない。むしろ悪人側そのものだ。そして二人で合わせて二ヒヒと笑った後に…
「「いただきます‼」」
いかがだったでしょうか若苗きぃです。
えっと、私の書き方はストーリーの構成はどんどん頭に入ってきてそれを文にしていってる形なのですがいやぁもうそりゃあどんどん頭に浮かんでくるんですよね。あとはそれを文にするということなんですが、たいていそこで躓きます(笑)
読んでいいただいてる方々はお分かりかと思いますが私には表現力が皆無ですのでそれ故に時間がかかるんですねぇ…
そんなこんなで今回はどうでしたでしょうか!個人的には…おっとこの先はネタバレになっちゃうので何も言いません(笑)
少し日を開けたのでその償いとして長めにしたつもりですが…少しでも満足いただけたらと思います。
実際今回の話は三話分で区切ることも可能だったのですが、いっそのこと書いちゃえということで今回のような結果に…ま、まぁ楽しくかけたので良かったんですがね!
という感じで甘党男子と女性警官第五話、この辺でお開きにしたいと思います!
次回もよろしくお願いします!