ヒロイン登場? (2)
「どういうつもりですか?女性の胸を触るなんて」
目の前の女の子は、オレを睨みつけてくる
「はい…。すみませんでした。」
別にそういう目的で触ったわけではないが、まぁアレはそう捉えてもおかしくないし、オレが悪いので言い返せない。
「はぁ、全く。パーティ組め組めうるさいと思っていたら急に胸を触りだすなんて、私をそういう目的で誘ってたんですか?」
「いえ、あの、その、純粋にパーティを組んで欲しくて」
「欲しくて胸を触ったんですか?あなたの中の女性像は胸を触ればみんな友達なんですか?」
「いえ、あの本当にすみませんでした」
目の前の女の子はハァとため息をし
「もういいです。別に服の上からですししかも軽くでしたから警察には届けないであげますのでどこかに消えて下さい」
そう言って、再び睨んでくる。
しかしそれは困る
何故かは知らないが(多分怒って緊張とかが消えたから)このオレが女の子と喋れている。
しかも噛まずに
こんな奇跡、もう二度と起きないかもしれないのだ。
こんな素晴らしいヒロインを逃すわけにはいかない。
「どうかお願いします。オレとパーティを組んでください」
オレは頭を下げる。
「イヤです」
……即答。
「さっき軽く聞いた話だけど聞けばあなた無職らしいじゃないですか。無職って何んですか!聞いた事ないですよ。どうやってあの試験をクリアしたんですか!」
「さ、さぁ」
てか、まず試験って何だ?もしかしてプレイヤーカードを手に入れる試験か?
「さぁ?私そんな得体の知れない人と組みたくありません。」
まぁそりゃそうだよなぁ。オレだってオレみたいな奴とは組みたくない。
だがそういうわけにもいかない
こうなったら作戦1『褒め殺し』だ。
「それにしても綺麗な髪の毛ですね。今どき水色なんて珍しい」
「何ですか?そんなお世辞効くと思ってるんですか?大体黒髪黒目のあなたの方が今どき珍しいでしょ?」
へー、オレって珍しいんだ。
オレは意外な事を知り、再び作戦を続行する
「いや、髪の毛だけじゃなく顔まで素晴らしい整っていると言うかまさにアイドルだ!そのショートカットな髪型とよく合う!」
少し言葉的におかしかったかもしれはいが適当に褒めておく。
「な、なんですか急に。褒めてもなにも出ませんよ?て言うかアイドルって何?」
おっと?顔を褒めたら少し嬉しそうだぞ?
こいつチョロいな。
って言うかそろそろわかってきたがコイツ、
オレと同種だ。
いや種族的な同種じゃなくこの感じ間違いなく『ぼっち&コミュ障』
そうオレが全くコイツに対して緊張しないし、この何というか
「やばい、人と話すの久しぶり」
という感じががオレにはわかる。
多分常人からしたら何の違和感もないだろう
だが真のコミュ障になるとわかるのだ。
このキャラの定まってない感じを見ると、久しぶりに喋ったせいで以前自分がどういう喋り方してたか忘れてしまったのだろう。
そしてそういう相手にこそ、この『褒め殺し』は効く。
思春期の男子が、女子と少し手が触れただけでとか、よく話かけられるから、など色々な軽い理由で好きになってしまうのと同じように
こいつもちょっと褒められただけで、普段褒められ慣れてないから、口では気にしない風を装っていても気にしてしまう。
という最強の作戦。
別にこの作戦しか思いつかなかったわけじゃない。
…ホントだよ?
「いやいや、別に何か褒美が欲しくて褒めてるわけではなく純粋に思った事を口にしてるだけですよ」
「ところでオレ、あなたの名前を知らないのですが何て呼べば?」
さぁここが最終関門
名前を呼べたら勝ち、拒否られたらショックで死ぬ。
「わ、私?私の名前はア、アイリスです…」
最後の方は少し聞きづらかったがアイリスと言った気がする。
ふ、やはり同族相手ならマジオレ最強
ココは1つあのセリフを言わせてもらおう
まさに『計画通り』
きゃー!ユウキ様カックいーとか1人で盛り上がってると
「あ、あの何で私の名前に反応してくれいんですか?そんなに変な名前でしたか?」
かなり不安そうに聞いてくるアイリス
あーそっだった、名前聞いただけで喜んじゃダメだ。
オホン!と1つ咳払いをしアイリスに向かって言う。
「いやスキテは名前だよ。オレ達、良いパーティになれそうだな!」
オレが少し照れ笑いしながらアイリスに握手を求める。
すると、アイリスは少し俯きながら
手をこちらに伸ばし
「それとコレは別です」
そのままオレの手を弾く
…作戦失敗!!