こんにちは異世界 (3)
お姉さんに案内され何か受付みたいな所に連れて行かれる。
「カレンさーん!冒険者志望ー!」
案内してくれたお姉さんが受付の奥にある部屋に声をかける。
「はいはーい。今行きますよー」
するとおっとりした声が奥から聞こえてくる
そしてすぐにパタパタとこっちにその声の主とみられるお姉さんが走ってくる。
先ほどの声と同じく見た目もおっとりしていて優しそうなお姉さんが出てきた。
「はいお待たせしました、今日はどうなさいました?」
カレンさんが声をかけてくる
コミュ障のオレだが珍しく不思議と緊張せず 落ち着いた感じで
「あああああの今日は、ぼぼぼ冒険者の志望を…」
…何でもないです
「ふふ、大丈夫ですよ。何もとって食ったりなんかしませんから落ち着いて?」
カレンさんは微笑みながら声をかけてくる
…むしろとって食われたいです!
いや!オレの姉萌え属性は置いといて
深呼吸をし、再び要件をいう
「冒険者を志望しにきききました。」
…オレにしては言えてただろう
するとカレンさんが
「冒険者志望ですか!今月で2人目なんですよ。とても嬉しいですー」
意外にも、嬉しそうに言ってくる
へー、冒険者志望はギルドにとっても嬉しい事なんだ
って言うか2人目?オレの他にもう1人いるのか
そいつはきっと将来、俺のライバルとなり
魔王討伐とかピンチの時とかに背中を預けあい戦うやつなんだろ。お約束的に
オレがそんな妄想をしていると
「冒険者志望でしたら、登録をするのでPCを見せてもらえますか?」
そう言ってくる
PC?パソコン?この世界にはパソコンなんかがあるのか。
っていうかパソコンなんて持ってきてねーよ
いや。待てよ、オレにはスマホが…
オレが手をワナワナさせながらスマホを見つめてると
「PCをもしかしてお持ちではないのですか?プレイヤーカードの事ですよ?」
カレンさんが心配そうにこちらを見つめてくる。
あ、PCってプレイヤーカードの事ね。
なぁんだ、いきなりつまづいたかと思ったよ。
プレイヤーカードね。はいはいプレイヤーカードっと
…結局もってねーよ
どうしよう、いきなり詰んだ。
オレは1人ギルドの端にあるテーブルに座っていた。
周りには昼間だと言うのに、飲んだり食ったりしてる荒くれ共が騒いでいるがそんな事はどうでもいい。
どうしよう、プレイヤーカードってなに?
そんなものもってねーよ。
って言うかそろそろオレをこの世界には呼んだやつ出てこいよ!溜めすぎだわ!オレ帰っちゃうよ?元の世界に帰っちゃうよ?
心の中でそんな事を思っても出てくるはずもなく
「はぁ、プレイヤーカードか。このSUI○Aで何とか何ないかなぁ」
そう言いながらポケットの中を漁りオレがポケットからS○ICAを取り出すと
ポトリ
と、もう一つ何かがポケットから落ちる。
「ん?」
オレがそれを拾いあげるとそこには
プレイヤーカード クリハラユウキ
「これダァァァァァァ!!!!」
オレは思わず叫んでいた。
「はい、クリハラユウキ様ですね。中央国エレメンタリーにようこそ!」
オレはプレイヤーカードを即カレンさんに見せていた。
「では、クリハラさんのステータスを見させてもらうのでそこの椅子にお座り下さい」
カレンさんに椅子に座るように促される。
見るとその椅子は周りの木の椅子とは違い黒く何というか奇妙な形の椅子だった。
なるほど。この椅子はきっと特殊な魔力とかでできていて座った人のステータスを図る特殊な椅子なんだな。
オレが少し感動してると前から杖をつき黒い服をきたおばあさんが歩いてきた。
オレがその格好やら雰囲気やらにビビってるとおばあさんがオレの前に立ち
「んーんんー?」
親指と人さし指で円をつくり、オレを見てくる。
な、なんだこのおばあさん!
オレがおばあさんにビビっているが、カレンさんは、おばあさんの後ろに立ち何も言わず見ているので、コレはキチンとした理由があるのだと信じオレはされるがままにされた。
5分ほどたっただろうか
おばあさんがカレンさんの所に行き、紙に何かを書きカレンさんに渡した。
「ノエス様、いつもありがとうございます」
そうカレンさんが言うと、そのノエス様とやらは奥に消えていく。
「クリハラ様、お待たせしました。ステータス結果出ました。」
カレンさんが言ってくる。
すると先ほどまで飲んでいた荒くれ共もぞろぞろとオレの周りに集まってくる。
な、なんだよ。急に集まるなよ。カツアゲされるのかと思ったわ
って言うかついにオレのステータス発表か!
ココでオレはその隠された真の力を発揮し、このギルド内が騒ぎになるわけか。
ふふふ、そう考えるとこの世界、最高じゃねーか!
そんなことを考えてるとカレンさんが
「では、クリハラ様のステータスを発表させていただきます…ね…」
その紙を開き、それを見たカレンさんが固まった。
カレンさんが急に固まった事にオレや荒くれ共がざわめきだす。
一体そこには何が書いてあるのだ!
すると…
「す、すごい…」
一言だけカレンさんは言う。
そんなカレンさんの発言に
「おいカレンさん!俺にも見してくれ!」
近くにいた荒くれ共は、カレンさんの横からその紙を見て
「こ、こいつはすげー」
「な、何者なんだ。こいつは」
など各々がいいだす
そ、そんなにすごいのか?気になる…
「はっ!いけません私ったら…」
先ほどまで紙を見て驚き黙っていたカレンさんが言う。
「ク、クリハラさん。あなたのステータスは」
カレンさんが言いだす。
まだオレのステータスを見てない荒くれ共とオレはゴクリと唾を飲み込む。
「クリハラさんあなたのステータスは、筋力、防御力、体力、命中率、魔力、運が全てにおいて平均以下です。コレはすごい!どうやってあの冒険者入門試験を受かったんですか!?」
するとそれを聞いていた荒くれ共はその凄さにざわめきだす。
ふ、そして今日からこの街随一の冒険者クリハラユウキの冒険が始まったのであった…
ってアレ!?平均以下?何それ。ちょっと待って!!!どゆこと!?