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プロローグ
痛い…熱い…
火傷や切り傷で傷ついた体を無理やり動かしながら 、私は湖の前まで歩いていく。
「くそ…。この身体に乗り移ったはいいが、私自身が限界かもしれない…。」
しばらくはこの身体を本来の所有者に返し、私は意識の奥底で眠るとするか…。だがその前に…。
今から私は魔法を使おうとしていた。
別世界の人間を無理やりこの世界に、引きずりこむ魔法だ。
当然そんな魔法は、ホイホイと使っていいものではなく禁忌とされている魔法だ。
だが私はためらわない
やっと見つけたのだ、この世界を変えてくれるだろう、ある少年を
考えるだけでゾクゾクする
どれだけこの日を待ったことか…
どうか持ち堪えてくれよ、私の身体…。
魔法の呪文を唱え始める
すると、湖の表面にその少年の姿が見えてくる。
魔王の討伐
未だ誰も成し遂げたことのない偉業をこの少年が叶えてくれることを信じ
私は魔法を発動させた…