赤ずきんちゃんとオオカミさんver
拙い文章ですがお付き合いいただければ幸いです。
作者の暴走を生ぬるい目で見守ってください。
昔むかし、森に住んでいる家族がいました。
「シオン、お祖母ちゃんが風邪を引いたみたいなの。看病がてらお使いに行ってくれる?」
「あぁ。わかった。」
「籠の中に必要な物は入っているから。後はお祖母ちゃんの家にあるもので看病してあげて」
「伝言などはあるか?」
「そうねぇ・・・いい加減、同居しましょって言っておいてくれる?」
「わかった。じゃぁ、行ってくる」
「貴方のお昼ご飯も入っているから、どこかで食べなさいね」
「わかった」
「夜には帰ってきていいわよ。気をつけてね」
「あぁ。いってくる」
ザクザクと進んでいくシオンさん。
黒いマントを着ていて暖かそうです。
「ふむ・・・飯はこの辺りでいいか。」
適当に切り株に腰を掛けて食事をするシオンさん。
そんなシオンさんを森の影から覗くオオカミさんがいました。
「あいつ・・・強そうだな・・・。だが!俺様の腕にかかればチョロイもんだぜ!
男なら強者に挑んでこそ!ってもんだろ!」
オオカミさんは熱血馬鹿だったみたいです。
脳筋ですか。
人の迷惑を考えず、森に入った男に戦いを挑むという変な癖を持っています。
その為、森の中に弱い男が入る際には厳重注意、というのが村で言われています。
安全も兼ねて猟師さんもパトロールしているくらいです。
「この先に家は一軒だったな。よっし!その家に先回りして挑戦状を叩きつけてやる!」
オオカミさんは走り出しました。
速い速い。
マイペースにご飯を食べて、普通に歩いているシオンさんのあっという間に出し抜いて、
お祖母さんの家に到着してしまいました。
しばらくした後、やっとシオンさんが到着です。
以外と遅かったですね。
「祖母さん、大丈夫か?途中で美味そうなリンゴを見つけてな。もいできたぞ」
それで遅かったんですか。
「おや。ありがとうねぇ」
「ん?その声はどうした?」
「どうやら風邪が咽喉にきちゃってねぇ」
「ふむ。では、リンゴはすった方が良さそうだな」
「大丈夫よ。置いておいてちょうだい」
「そうか。無理はするな。ところで、その耳はどうした?」
「風邪の影響かねぇ・・・なんだか突然伸びたんだよ・・・」
「新種のウイルスか・・・?そんな噂は聞いていないが・・・そのでかい口はどうした?」
「この口は、お前を食べるためにあるんだよ!!俺と戦え!!」
バサァッ!
ベッドの上に仁王立ちでシオンさんに指を突きつけるオオカミさん。
「・・・ほぉ?俺に挑戦するとは命知らずな馬鹿がまだこの辺りにいたのか」
どうやらシオンさん、村の中で最強らしいです。
「へっ!弱い者イジメする趣味なんて俺様にはねーんだよ!強者に挑んでこそ男の中の男!!」
「では、俺がお前と戦ったら弱い者イジメになるから受けられんな。諦めろ」
「なっ!!?俺様は弱くねー!!!だから戦え!!」
「断る。受けるメリットが俺にはない」
「ぐっ!」
確かにありませんね。
「わ・・・わかった。俺様に勝ったら何でも言う事聞いてやる!コレでいいだろ!」
「ふむ・・・・まぁ。悪くないか。いいだろう。受けてやる」
「おっしゃぁ!行くぜ!!」
ブンッ
大振りなパンチを繰り出すオオカミさん!
爪が鋭く、少しでも掠ったら流血しそうです!
それを最低限の動きで余裕でかわすシオンさん。
「くっ!なかなかやるな!でも、俺様の本気はこんなもんじゃねー!!」
オオカミさん、回し蹴りを繰り出しました!
なんなく受け止められてます。
「・・・お前、自分が四速歩行の生物だって自覚あるか?脚力はあるだろうが、足が短いだろう」
「ぐっ・・・!」
言われてみれば、そうですね。
「なら!これしかねぇな!死ね!!!」
ガァァッ!!
首筋に噛み付こうとするオオカミさん。
確かにこの攻撃がオオカミさんとしては最強でしょう。
ガファッ?!
なんとシオンさん、オオカミさんの口の中に自分の手を自ら突っ込んでしまいました。
牙が生えてない所を両サイドごと掴まれているため、
これ以上、口を開けることも閉じることもできません。
ググググッ
どんどん力を入れていくシオンさん。
オオカミさんは足をバタバタ。手も使って必死に逃れようとしていますが、
腕を革で保護しているシオンさんには鋭い爪もなんのその。
キューン キューン
どうやら降参のようです。
「言うほどでもないな」
「うぅ・・・くそ・・・男に二言はない!好きにしろっ!」
ぐっすん
「では、好きにさせてもらおう」
「おぅ!覚悟は出来てるぜ!」
「後悔するなよ?」
ドサッ
何故かオオカミさんを押し倒すシオンさん。
何してるんですか?
「へ?何すんだ?」
「何って・・・ナニに決まっているだろう」
「はぁ?!なんで?!」
「男同士が戦って、勝った方が上。証立てってやつだな」
そういえば、戦国時代にもそんな風習がありましたね。
「ちょ。まっ!待って!それだけは!俺様はまだピュアなんだー!!!」
「それは開拓し甲斐があるな。喜べ」
「ちょっ・・・やめっ・・・・!」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
「ッアー!!!」
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
「で?うちの祖母はどうした?」
「うぅ・・・・この家に来たら、なんかぐったりしてたから・・・けほっ」
「ホラ、水を飲め」
「さんきゅ・・・つか、お前のせいだろ」
どんだけ啼かされたんですか?
「で?」
「医者の所に担いだ・・・」
「ほぅ。それは礼を言わないとな」
「別に礼を言われるほどじゃねーよ。病人見かけたら普通するだろ」
「なに。遠慮するな。修行でもつけてやろうか?」
「・・・・また、相手してくれればいい」
「それならいつでも構わんぞ」
「・・・・絶対だからな」
オオカミさん、惚れちゃったんですか・・・。
ー完ー
てへ☆