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 お題は三つのワード



 どんなお題であったかは後書きに記します。









「で、出来たっ!」



 信司が、得意げに声を放った。



「ほんと? じゃあ聞かせて」



 大学の文芸サークルに所属する信司と貴子は、句会に発表する作品づくりに、喫茶店の一角で二時間を費やしていた。



 新春に

 強く願うは

 就職だ



「なにそれ、違うでしょ?【強く願うは】というのは他力本願よ」



「んっ」



「そこは……【固く誓うは】としたほうが、自ら努力する意志を表現できるんじゃない?」



「な、なるほど。単語を入れ替えるって大事なことだな」



 貴子は、天井を仰いだ。



「それと……」



「えっ? まだある?」



「就職だって言い方も、直接的過ぎて何の技芸も加わってないじゃないの」



「じゃ、じゃあ……どうすれば?」



「そうねえ。会社員というのもあれだし……職業人でどうかしら? 学生から職業を得た社会人になるぞって気概を表せない?」



 初春に

 固く誓うは

 職業人



「な、なるほどーっ。単語を選んで入れ替えるって大事だな」



「うわっ! あちちちっ」



 背後から悲鳴混じりの声が上がった。



 信司が振り返ると、パジャマ姿の男が睨んでいる。隣りの病院から抜け出して来た感じだ。



 こちらの会話に聞き入って、煙草で火傷をしたらし い。



「おい、兄ちゃんっ!」



 男はドスの効いた声を響かせた。



「な、なんですか?」



「中学二年生か? 呆れたぜ」



 男は、信司が、この春に卒業する学生だと承知の上 で嫌みを言っているのだ。



「いえ、大学ですが」



「単語を入れ替えりゃ済むって話じゃねえぞっ」



「はあっ? どういうことですか?」



「おめえさんの場合は、まず心を入れ替えろっ!」



 ー了ー


 お題【春】【パジャマ】【単語】




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