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追跡


 三題話


 制限字数は500字です。


 どんなお題であったかは後書きに記します。



 

 駅の改札口を抜けた時のことだった。


 前を行く女性が硬貨を落とした。


 駅構内の喧騒で音が聞こえなかったらしい。定期券をコートのポケットから取り出した時に一緒に飛び出たのだろう。


 僕は硬貨を拾い上げた。五百円玉だ。


 落とし主は階段を降りて行く。僕は、見失わないように早足で彼女を追った。


 だが、雑踏に阻まれて、なかなか彼女に追いつけない。


 薄手の白いコート。濃いめのブラウンの髪。あの女性だ。


 待てよ。彼女は、これを落としたことに気づいていない……ということは、届けなくても良い事にならないか?


 電車が入って来た。早くせねば。


 ホームに並んだ女性に追いついて声をかけた。


「あの……」


 彼女は気づかない。


「あのっ! すみません! これを落としましたよ」


 僕は大声で呼びかけた。


「あらっ! ありがとう」


 振り向いた女性は美人だが、はるかに年上だった。



 僕は反対側のホームに並んで汗を拭った。


「いいとこ、あるじゃない」


「えっ?」


「あたし、同じ大学の榊原葉子。あなたが、あれを、どうするか後を尾けてたの。あなたを気に入ったわ。朝ごはんを一緒に食べない?」



 ―了―






 お題 三つのワード


 【朝】【五百円玉】【駅】




 追跡したつもりが追跡されていたというオチです。










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