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7th Sense  作者: freeman
第二章:弐頭龍、襲来
43/64

第四十話:終局の前兆

読んでくれてるみなさん、更新遅れてしまってすみません(汗)

バイトを始めて忙しくて遅れてしまいました。

しかも内容も短いんですけど、次は早めに更新するんで今後ともよろしくです。

――教室棟1階、資料室――

「はあぁ―――っ!?」

式によって見事に期待を裏切られた工藤結理の声が暗がりの室内に響く。

「―――ちょっ、あの子・・・私を置いて―――」

――逃げやがった――

(ムッキャーッ!あの生意気なガキーッ!部下を見捨てるなんてー!)

ダンダンダンッ!

額に青筋を浮かべ、怒りに任せてハイヒールの底で思い切り地団駄踏む独身女。


「―――オイ、コッチ向ケバカ女・・・

「・・・はぁ?」

すると、背後から聞き捨てならない言葉が聞こえてきた。

振り返って正面に立っている黒いチャイナドレスの女に冷めた視線を向ける。

「ヨクモ邪魔シヤガッタナ・・・御陰デ悪魔チャン二逃ゲラレタ」

全身傷だらけの女は血走った目で結理を睨みつけ、殺意に満ちた表情を浮かべている。

「―――オマエ、命ナイゾ?」

パキッ、パキッ・・・

口元を吊り上げ、指の骨を鳴らしながら女は言った。

「・・・上等じゃない、コッチもちょうどイライラしてたところだったの」

カパッ、カパッ・・・

その場でハイヒールを脱いで黒いストッキングのまま床に足をつけると、右手の薬指にはめている機械染みたシルバーの指輪に軽く触れる。

直後―――

「―――ブッ殺スッ!」

―――ヴァンッ

人間の運動速度を遙かに超えた速さで接近してきたチャイナドレスの女。

―――ボウッ

その両手にはめている黒いグローブは炎を纏っている。

―――スッ

自身に接近してくる女の姿を見据えながら工藤結理は心の中で叫んだ。

(―――式君・・・帰ったら覚えておきなさいよっ!)

―――ガンッ!

二人の女による闘いが始まった。




「あー、もー終わちゃってたかぁ~」

背後から聞こえてきた能天気な少女の声。

「・・・詩菜しいなさん・・」

上半身を中心に血まみれになっている式は振り返って少女を見据える。

「明石と佐藤先生は?」

「心配ご無用ッ★☆安全な所に避難させたよっ♪」

ニコニコと表情の読めない笑みを浮かべて返答してきた。

「・・・そうですか・・・でもどうして二階こっちに?てっきり結理さんの加勢に向かうかと」

「ん~、なんとなく?」

頬に一指し指を当て、可愛らしく小首を傾げる第二官。

「・・・“なんとなく”って・・・」

置き去りにしてきた自分が言えることではないが、彼女は部下のことが心配にならないのだろうかと思った。

「だーいじょーぶ!ユリッちは強いからっ♪」

何の疑いも感じさせない表情で詩菜は言った。

「・・・・」

(まぁ、その意見には賛成だ)

だから自分は彼女を資料室あそこに置いてきたのだ。

「へぇ~、これが“陰喰いんが”かぁ~」

倒れている拓弥の傍に屈むと、左胸の傷口から湧き出るように蠢いている黒炎・陰喰をまじまじと見つめる詩菜。

「お父さんが言ってた通り、不気味だねぇ~まさに“闇そのもの”って感じ?」

「・・・約束は守りました。もう傷の方は完治しているはずです」

すると―――

―――ブワッ

それまで拓弥の胸に張り付いていた陰喰が突然、煙のように消えていった。そして陰喰が消えた拓弥の胸には―――

「うわぁー、ホントだぁ~、傷一つないねっ♪」

眠っている拓弥の胸をツンツンと突きながら満足げに詩菜は言った。

「ついでに折れてた右腕も治しておきました」

「おー、さっすがシーくん♥サービスが行き届いてるねっ♪」

「・・・勘違いしないで下さい。詩菜さんには“8年前の恩”がありましたから、俺も命を一つ削ってまで・・・・・・・・・・拓弥コイツを助けたんです」

「え?・・・“8年前の恩”って・・・もしかして私が言った“あのアドバイス”の?」

「ええ」

「シーくん・・・もしかして・・・“アレ”を本気にしちゃったの?」

「・・・ええ」

「――――ぷっ、ふふふふっ」

「・・・詩菜さん?」

「あはははっ―――ゴメンゴメン、でもホントに実行しちゃうなんて・・・ふふふっ、なんかシーくんらしくて・・・」

肩を震わせて笑いを堪えている詩菜。

「・・・何がおかしいのか知りませんが、詩菜さんのおかげで俺は綾と“家族”になれたと思ってますから」

「そっかそっか♪お役に立てたのなら光栄だよっ♪でもねぇ、シーくん・・・」

「はい?」


「綾ちゃんはホントに君のことを家族として・・・・・見てるのかな?」


「・・・どういう意味ですか?」

「シーくんもホントは気づいてるんでしょ?あの子が君に特別な感情・・・・・を抱いてることくらい」

「・・・・」

「“あんなこと”を言っちゃった私が言うのも変だけど、普通シーくんみたいな男の子に唇を奪われたら・・・・・・・、女の子は他の事なんて見えなくなっちゃうと思うなぁ~」

「・・・・」

「確かに私の“アドバイス”でシーくんは綾ちゃんと打ち解けることができたのかもしれないけど、それは家族・・としてかな?それもと―――」

「―――そろそろ下の階も決着ケリがつく頃でしょうから、俺はこれで―――」

カツカツカツ・・・

話の途中で詩菜に背を向けてゆっくりと歩き始めた式。

「・・・ユリっちの加勢に行くの?」

「いいえ、その必要はないと思っています」

「へぇ~、シーくんは随分とユリっちのこと分かってるんだねぇ~」

口元に笑みを浮かべ、どこか冷やかすような目つきの詩菜。

「別に結理さんのことを分かってるつもりなんてありませんよ。まぁ分かりたいとも思いませんが―――ただ俺の見た限り、あの中連人チャイニーズじゃ結理さんには勝てませんよ」

「ふふふっ、随分とユリっちのことを買ってるんだね~」

「それは詩菜さんでしょ?だから彼女をほったらかしにして、今ここにいるんじゃないですか?」

「ありゃ~、バレちゃった☆★あれ?ならどこに行くのぉ?」

「屋上です」

「・・・屋上ぉ?」

カツカツカツ―――

足をとめると少女に振り返って少年は言った。

「ええ、ちょっと“餌やり”に―――」









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