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7th Sense  作者: freeman
序章:主人公とは
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第三話:到着

小型旅客機が成田国際空港に到着して現在、待ち合わせ場所の出口へ行くため第一ターミナルの中を歩いてるわけなんだが・・・・

「・・なぁ綾、そんなにくっつかれると歩きにくいんだが・・・」

「え~!いいじゃんっ♪」

ギュッ

少年の腕に自分の腕を絡めている綾が上機嫌にこたえる。どうやらあの指輪がよっぽど気に入ったらしい。

「それに・・・周りの視線が気になるんだよ」

さっきからすれ違う人のほとんどがこちらを見てくる気がしてならない。

「だったらみんなにわたしたちのラブラブっぷりを見せつけちゃおうよっ♥お兄ちゃんっ♪」

そう言うとさらに絡めている腕に力を入れてくる。おかげでさらに体が密着し、肘に胸が当たっている。

(・・・それじゃ逆効果だろ・・)

そんなやりとりをしながら歩いていると第一ターミナルの出口へ着いた。

「たしかこの辺だって言ってたよな・・・」

あたりを見回すと近くに一台の高級車が止まっていた。

―――ガチャ、カツカツ・・・

すると助手席から誰かが降りてこちらに向かって歩いてきた。

「お待ちしておりました。お会いできて光栄です、雅式みやび しき序列第三位。私はサオス・日本支部であなたの補佐をさせていただくことになりました工藤結理くどう ゆりといいます」

笑みを浮かべてあいさつをしてきたのはスカートタイプの黒いスーツを着こなしている見た目は20代前半くらいの女性だ。身長は少年より少し低いくらいで、落ち着いた雰囲気のある目元に形のきれいな鼻、ピンクの口紅を塗っている品を感じさせる唇。顔全体の化粧も薄くて、化粧なしでも全然いけそうだ。そしてウェーブのかかった背中まである黒髪をなびかせているまさに「デキる大人の女」の雰囲気を漂わせた女性だ。

「あ、どうも、はじめまして。アメリカ本部から来た雅式です。こっちは妹の綾です。ほら綾、あいさつしろ」

と綾にあいさつをさせようと声をかける少年・雅式だが―――

「・・・・雅綾です」

式の腕にしがみついたまま小さな声で言う。

(・・・・またか)

その様子を見ていると心の中でため息をついた。

「すいません。こいつ人見知りで、ちょっと緊張してるみたいで」

「フフフ、とても仲が良いんですね。それより、こんなところで立ち話もなんですから車にお乗りください。長旅で妹さんもお疲れでしょうから」

そう言って、微笑む工藤さん。こういう大人の対応が綾もできるようになると自分の気苦労も減るのだが・・・

「そう言っていただけると助かります。綾、車に乗ろう」

「・・・・わかった」

つまらなそうな表情を浮かべている妹。まだまだ大人の対応はできそうにない。



2020年、国際連合はそれまでの科学的な法則や一般常識を“全く無視した力”『第七感(英名:Seventh Sense)』の存在を“とある出来事”を機に世界中に公式発表した。

その圧倒的な力を目の当たりにし、世界は震撼し同時に各国はその強大な力を国力に取り入れようと第七感の研究に着手し開発競争が始まった。

さらに同年、国際連合総会で『世界平和のために第七感の有効利用・・・・管理・・を行っていく』という名目で、アメリカに陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊(通称:五軍)とは異なり国防総省や国家安全保障省の管轄下に属していなく独自に指揮権を有している、第七感を戦力の主軸とした戦略機関『SAOSSサオス(Strategic Agency Of Seventh Sense )』の設立が決定した。

そしてアメリカの政治を司るワシントンD・Cと国際連合本部があるニューヨークとの間のほぼ中央に位置するペンシルベニア州・フィラデルフィアにサオス・アメリカ本部が構えられた。

さらに東京湾上の第24特別区にある東アジアを担当する日本支部、ニュルンベルクにあるEU圏を担当するドイツ支部、サンクトペテルブルクにある東ヨーロッパを担当するロシア支部があり、これらの四機関は拠点を置いてる国家が運営権と戦時における指揮権の全てを有していて、それぞれが互いに連携を取りながら成り立っている。



―――現在日本支部へ向かっている車内―――

乗っているのは先ほどの三人にドライバーを含めた計四人。

助手席に座っている工藤結理に後部座席に座っている式と綾なのだが―――

「・・・綾、いい加減に離れろって」

「いーやっ♪」

いたずらっぽ笑みを浮かべ車に乗ってからもがっしりと腕を取り、体を密着させてくる妹に困り果てている兄の姿がそこにあった。

その様子をミラー越しに見ていた工藤結理は思わず小さく笑う。

「ホントに仲がいいんですね。そうしているとラブラブのカップルみたいですよ」

「―――ッ!」

その言葉を聞い途端、綾がビクンッと跳ね、上機嫌な顔で式の顔を見上げてくる。

「・・・お恥ずかしい限りです」

力ない声でそう言った。



サオス日本支部は千葉市、浦安市、市原市の臨海部に囲まれている東京湾上にある巨大人工浮島メガフロートにある。元々この巨大人工浮島メガフロートはこの日本支部や訓練場、研究機関や施設を設置するために建設され、約縦7キロ、横12キロの長方形の敷地には大企業のオフィス街や市街地、学校や住宅街なども多くある。

日本政府はこの地域を東京都23区に次ぐ第24特別区と名づけ、通称『24区』と呼ばれている。位置的には千葉県にあるのだが名義上は東京都で通っている。24区への一般アクセスは幕張から架かっている『ノースブリッジ』とその下を走っている『ノースモノレール』、新浦安から架かっている『ウェストブリッジ』とその下を走っている『ウェストモノレール』、五井から架かっている『イーストブリッジ』とその下の『イーストモノレール』、最後に東京湾アクアラインを改築してつくられた『サウスライン』と羽田空港から走っている『サウスモノレール』の4方向8通りの手段がある。船舶や航空機も行き来しているがその8割が物資の運搬などに使われているので実質この8つが主な交通手段だ。



幕張からノースブリッジを通った一行の車は24区の中へ入り、現在中心街を通っている。高層ビルや商業施設が立ち並び、とても賑わっている様子だ。中心街を過ぎると景色は変わり建物の数が減っていき、目の前に果てしなく終わりが見えないほど横が長い塀が見えてきた。車はそこにあるゲートの前で止まるとドライバーが門番に通行許可書を見せ、許可されると車は塀の中に入って行く。中には研究施設や訓練施設と思われる建物があり、大きなグラウンドなどもある。そして車が進んでいくにつれ、その建物ははっきりと見えてきた。


―――サオス日本支部―――


上空からみるとそれはアメリカ国防総省ペンタゴンにならったように七角柱の外観になっている。ただし国防総省に比べ、面積が小さい分高さがあるので地上から見てもその外観の全体が見て取れやすい。

先ほどあった塀はこの日本支部や研究施設や訓練施設を取り囲むように正七角形になっており、一般道路とつながっている七つの角にあるゲートが唯一の出入り口である。

この日本支部が24区のど真ん中にあり、それを取り囲んでいる塀の中の敷地面積は24区の約20分の1を占めており、その周りにオフィス街や繁華街や住宅街、学校などの教育機関がある構造になっている。



「―――では、こちらから中に入りましょう」

―――ガチャッ

車が日本支部の正面玄関の前で止まるとそう言といわれたので車から降りる。

正面玄関の前に立ち止まってる二人にウェーブのかかった髪をなびかせながら振り返り、笑顔で工藤結理は言った。

「ようこそ、サオス日本支部へ―――」











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