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7th Sense  作者: freeman
第一章:学園入口
32/64

第三十一話:真夜中の出来事

なんでだろ・・・今回は早くできてしまった。

そしてなぜだろう・・・今回の内容が妙にアレなのは

書いた本人にも謎です。

どうぞ。

―――深夜1時過ぎ―――

24区で一番賑わいのある秋北しゅうほくではこの時間帯でもまだ繁華街や飲み屋街に人通りが見られ、決して静かな夜とは言えないだろう。

だがそれも、24区一の高層タワーマンションである、秋北タワーヒルズの最上階なら話は別だ。


明かりが消され、暗い室内の中央にポツンとある一つの大きなベット。

「スー、スースー・・・」

そこから聞こえてくる静かな寝音。

ベットには二つの枕があり、二人の少年・少女が布団を被って横になっている。

「・・・もぉ、お兄ちゃんったら、すぐに寝ちゃうんだから。私なんてまだこんなにドキドキして寝られないのに・・・」

小声で文句を漏らす少女・雅綾。そんな彼女の視線の先には向かい合う形で熟睡している少年・雅式の寝顔がある。

(でも久しぶりなぁ~、お兄ちゃんと一緒に寝るの)

アメリカにいた頃も何回か一緒に寝ていたけど、最近は一緒に寝ることはほとんどなかった。

兄は生活リズムが普通と違っていて、早朝前に寝て、夕方に起きるというのが日常だったから。

兄がアメリカでやってきた仕事のほとんどは真夜中が多かった。

その理由ワケを兄に聞いてみると、兄の第七感が夜に向いていることと、夜の方が昼間に比べて姿を見られにくいからと前に教えてもらった。

そういう理由ワケで私は毎日一緒に寝たかったけど、生活リズムは正反対といっていいほど違っていたから一緒に寝るという事はあまりなかった。

けど今は休暇中で仕事はないということで、一緒に学校へ行って、生活リズムが同じだから一緒に寝れると期待していたのだ。

そして思惑通り、一緒に寝ることは叶ったのだけど―――――

(今日は気合・・を入れたのにぃ・・・)



―――時を遡ること1時間ほど、就寝につく前―――

『ねぇねぇお兄ちゃん、コレどうかな?』

ベットの上に立ち上がって部屋に入ってきた兄に露出度の高いスカートタイプのランジェリーパジャマ姿を見せる。

今日はいつもに比べてより念入りに体を洗って、買ったばかりの下着に、この日のために用意していたこのエロティックなパジャマを身に纏って、勝負・・に出るのだ。

『へぇ、お前そんなの持ってたんだ。まぁ日本こっち米国むこうに比べても暑いし、そのくらい薄い方が涼しいかもな』

『そういう事じゃなくてぇ、他に何かないのぉ?』

『なにか?・・・まぁ、色っぽいんじゃないか?』

『ほ、ホントッ!?』

(今日は、もしかしたら・・・)

『ああ、正直、そんな恰好されたら俺も寝辛いかもしれないな』

苦笑しながら頭を掻く兄。

(これは・・・イケるっ!)

『じゃ、明かり消すぞ』

『う、うん・・・』

明かりを消して二人で布団に入る。

『『・・・・・』』

ドクドクドクドク・・・・

(・・・ど、どうしよう?久しぶりだから思ってたより緊張する・・)

『『・・・・・』』

ドクドクドクドク・・・・

(・・・取りあえず)

『お、お兄ちゃん?』

『ん?』

『そ、その・・・ありがとう』

『え?何が?』

『その・・・私のために日本ここに残ってくれてること。ホントだったら米国あっちで休暇過ごしていたはずなのに』

『・・・今までお前には学校へ通わせてやることができなかったから、このくらいは当然だ。寧ろ礼を言うのは俺の方だよ。いつもありがとな、綾』

『え・・う、うん///』

『なぁ綾、学校は楽しいか?』

『うん、友達も出来たよ。同じクラスで美紀の友達の夏川さんと江藤さんって子たちとか』

『へぇ、良かったな』

『うんっ、お兄ちゃんは?』

『俺?ん~・・・正直、友達・・ってのはよくわからない。何を基準・・に友達と呼ぶのか』

(・・・そっか、今までお兄ちゃんの周りにはそう呼べる人がいなかったんだ・・・)

兄は9歳の頃から自分より一回りも二回りも年上の大人たちに囲まれて育ってきた。同年代の人間と接することなどほとんどなかった。

その当時、アメリカに来たばかりだった私はまだ家事もできなかったし、英語を学ぶ必要があったから、本部のはからいで、家のお手伝い兼、家庭教師としてサオスの女性職員が毎日家に来てくれていた。その人には私と同い年の娘さんがいて、家に招待されてその子と遊んだり、その子の友達とも仲良くなって友達ができた。現在いまもその子たちとはたまに会ったりしている。

だから学校には行っていなかったけど、友達と呼べる人間はそれなりにいた。

けど戦力・・兵器・・として扱われていた兄にはそんな日常はなかった。

部下に何人か歳が近い人たちがいるって聞いたけど、それもあくまで仕事関係の仲間・・

兄には友達・・と呼べる人間がいなかった。

けど兄はそのことで悲しんだり、寂しがったりはしたことなんて一度もなかった。それは自分が普通ではないことを幼いながらに理解し、受け入れていたからだと思う。友達がいないことが兄にとっては当たり前の世界・・だった。だから別に友達・・を作ろうという気は起こらないし、どういったものなのか理解するつもりもない。

兄が生きていく上で、友達は必要のないものだった。

他人ひととの距離の取り方を知らない兄を思うと不憫に感じてしまう。

『・・・・・』

ピタ

『・・・綾?』

仰向けに寝ている兄の体に寄り添う形で体をくっつける。

『お兄ちゃん、基準・・なんて、そんなの深く考える必要なんてないんだよ』

『・・・そうなのか?』

『うん。それに結理さんや美紀、歩さん、恵美さん、彩香さんはもう、お兄ちゃんの友達だよ』

『え?でも結理さんは俺の補佐だし、美紀はその妹で、あの3人は結理さんの仕事仲間だろ?何で友達なんだ?』

『さっき皆で一緒に集まって色々お話したり、お菓子食べたりしたでしょ?』

『ああ、雑談ばかりだったな。結理さんは止めても酒飲むし、それに俺が無理やり付き合わされても皆笑ってて誰も助けてくれなかったな』

『もうそれで友達なんだよ、お兄ちゃん。皆で雑談したり、ふざけたり、笑ったりしたらもう友達って呼べるんだよ』

『・・・そんなもんなのか』

『そうだよ。確かに結理さんたちとは仕事で知り合ったけど、今はもう友達でもあるんだよ』

『・・・仕事での間柄でもあると同時に、友人関係でもあるってことか』

『そうだよ、お兄ちゃん。別に他人ひととのつながりを一種類だけで表現することはないってコトだよ』

『・・・な・る・ほ・ど』

『でもお兄ちゃん、もう女友達は増やさないでね。てゆうかいらないから』

『いや・・・別に増やす気も作る気もない』

『・・・あの立花さんって人は女友達なんじゃないの?』

『ああ・・・華蓮か』

『・・・なんで名前で呼んでるの?』

ギュウ

腕を思い切りつねる。

『痛っ!そう呼んでくれって言われたからっ・・・でも彼女とは俺が偶然・・助けて、そのお礼に夕食をご馳走になった。ただそれだけだよ。もう関わることはないだろ』

『・・・お兄ちゃんはそう思ってるかもしれないけど、向こうは違うと思うよ(ボソ)』

『・・ん?何か言ったか?』

『・・・ううん、何でもない。とにかく!その立花って人や他の女子とは関わらないでね!浮気したら私、怒るよ』

『・・・勘弁してくれ。別に関わる気・・ないから・・てゆーか・・・興味ない・・』

『うんうん♪それでいいんだよお兄ちゃん。お兄ちゃんには私がいるんだから♪』

『・・・そうだな・・お前だけいれば・・・他はもう・・・どうでも・・いい・・・』

『お、お兄ちゃん///』

(よ、よしっ!今がチャンスッ!)

スッ

体をさらに密着させ、徐々に顔を兄の横顔に近づける。

(んー、もうちょっと・・・)

キュッと唇を引き締め、兄の唇目指して一直線。

『・・ハァ・・ハァ・・・』

興奮のせいで自然と息遣いが荒くなる。

(い、いっただきまーす♥)

そして私と兄の唇は重なる―――


はずだった――――――


『スー、スー、スー・・・』

耳元に聞こえる静かな寝音。

『・・・え?』

目を凝らして見ると目を瞑り、口を小さく開けて熟睡している様子の兄。

(エェーッ!?寝るの早すぎないっ!?)



「お兄ちゃんのバカ・・・寝辛いとか言ってたくせに・・・」

そんなワケで、何となく興がそがれて腹が立ったから無理やり兄の首を向かい合うようにひねって、その寝顔を眺めること小一時間。

ツンツンツン

「スー、スースー・・・」

頬をつついてみても目覚める気配が全くない。

(ま、お兄ちゃんの場合、仕方のないことだけど・・・)

体質上・・・の理由で、兄は多くの睡眠時間を必要とする。だから一回寝てしまうとなかなか起きることができない。

その肌はヒンヤリと冷たくて、聞こえてくるのはわずかな寝音だけ。ホントは死んでるんじゃないかと思うくらい体を微動だにしない。

そして一日の間で兄が最も無防備・・・な時。

「・・・・・」

スーッ

頬をつついていた指を口元へと移動させ――――

(フフフフッ・・・)

スー

わずかに開いているその唇をなぞるように指先を這わしていく。

(あ~、なんか・・・ゾクゾクしてきた///)

ヌルッ

「・・・?」

枕に近い方の唇の端をなぞっていたら、指先から何かヌルヌルとした感覚が伝わってくる。

(・・・コレって・・)

開いている兄の口からツーと垂れている液体状のもの。

(フフフフ、お兄ちゃんってば、ヨダレ出てるよ?)

そして指先についている兄の唾液を何の躊躇もなく―――――

ペロッ

舌ですくうように指ごとなめる。

(仕方ないなぁ、きれいにしてあげるね♪)

口元に垂れている唾液を指できれいに拭き取ると再び口の中へ運ぶ。

(んー、やっぱりチョット粘っこいかな?)

口の中でソレをかき回すように堪能し―――

ゴク・・・

(ごちそうさま♥)

飲み込んで自らの体の一部とする。

「美味しいものでも食べてる夢を見てるのかな?」

「・・・スー、スースー・・」

数センチ先にある兄の寝顔に小声で尋ねるけど返事は返ってこない。

「あっ、それともワ・タ・シ・だったりしてっ?」

「・・スースー・・・」

「むー」

寝ているから仕方ないけど全くの無反応に行き場のない不満を感じてしまう。

同じベットで寝るという、こんなに思い切った行動に出たのには理由があった。


『そのうち、愛想尽かされちゃうよ?』


あのムカつく生徒会長に言われた言葉が妙に心に残っていた。

事実、8年前までは兄は私に一切の関心もなく、見向きもしてくれなかった。

あの頃の兄は、まるでありでも見るような目で私を見ていた。

当時から兄に恋心を抱いていた私にとってはその事がとても辛かった。

またあんな風に兄に見られることになってしまえば、もう私は生きる意味を失う。

そんなことを考えると不安に駆られてしまった。

(あの乳女・・・8年前にお兄ちゃんと会ったことがあるって言ってたけど・・・どこまでお兄ちゃんのこと知ってるんだろ?)

とにかくそんなワケで、あまりにも兄の人肌が恋しくなってしまったというのが一つ。

それともう一つ――――――

原因は兄が結理さんの一撃で鼻血を出したこと。

けど真実は立花の次女が聖光ルーチェのコードで兄に攻撃をしたことが原因みたいだけど。

昼食を終えて、生徒会室を後にしたときに感じたあの“胸がざわつくような嫌な予感”はある意味当たっていた。

そしてこれは勘だけど、昨日(実際は一昨日)の夜、兄のカッターシャツから漂っていた雌の臭いもその立花という女の可能性が高い。

―――ギリッ

思わず奥歯を噛みしめる。

(お前たちはお兄ちゃんにその汚らわしい臭いをつけただけでなくて、下手をすればお兄ちゃんを殺しかけていた・・・許さない、私からお兄ちゃんを奪おうとした雌どもが・・・二度とお兄ちゃんに近づくな!)

聖光ルーチェは兄にとっては一発で命を奪い兼ねない、最もおぞましい第七感。

そして、それを身に宿しているあの憎たらしい淫乱クソ女。

思い返してみると、初めて会った時からアイツは気に入らなかった。

私の目の前で会うたびに挨拶と言って兄の頬に無理やり汚らわしいキスをして、当時まだ9歳だった兄にやたらボディタッチをして誘っていた。

まだ8歳だった私から見ても、16歳の女が9歳の子供を“そういった目”で見ていたことは明らかで、それを汚らわしく感じ、嫌悪感を抱いた。しかもその相手が自分の想い人だったから憎悪さえ覚えた。

そして嫉妬した。当時何の知識・・武器・・なかった私には“女の武器”を持って兄に接していたあの女がどこか羨ましかったのかもしれない。

正直言って、16歳になった今なら不思議とあの女の心情が理解できる。

あの言葉では言い表せない、愛らしい容姿だった兄を目の前にすれば年上の女なら誰だって“そういった気”が起こるかもしれない。

もし私が“あの頃の兄”と二人きりになれば、無理やりにでも押し倒して、自分の持ちうる、あらゆる欲求をぶつけるかもしれない。

当時伸ばしていたあの綺麗な髪を引っ張られ、涙を浮かべながら愛くるしい表情を歪める兄の姿を想像するだけで―――

(あ~、ヤバい///・・・ヨダレと鼻血が出てきそ♥)

人として最低な発想だけど、絵図面は最高だと思う。

(ま、お兄ちゃんが泣くなんてありえないけどね)

その愛くるしい容姿とは裏腹に、当時の兄は“狂気の塊”だった。

(そう言えば、“あの時”のお兄ちゃんに私、初めてゾクッときたんだよねっ)

鼻血を流していた兄を見て“あの時”を思い出した。

口の周りを血で染めて、顎から血を下垂れ落としていたあの姿に私は目を奪われていた。

――――血――――

血を纏っている兄を見たのは今日(正確には昨晩)のが二度目だった。

その姿がふと“あの時”と重なった。


『―――オレは人間ひとをやめる―――』


血まみれになった姿でそう言って振り返ると、怯えてへたり込んでいた私に突然、口づけをしてきた兄。

ただ私を安心させるためだったのか、何のためだったのか、その真意は未だ分からない。

でもそんなのどうだってよかった。あの時のは今でも覚えている。

の味がした。兄のの味だった。

舌が再びそれを欲するような、体中がゾクッと震え上がるような、そんなだった。

唇を離すと、鋭い光を放つ赤い瞳で私を見据え、血を流している口元をつり上げて笑った兄の姿はまさに悪魔・・だった。

けどその時、私が思った“悪魔”は兄がよく呼ばれる“悪魔”とは少し解釈が違った。

その狂気に恐怖し、その美しさに魅せられ、その強さに憧れ、その匂い・に誘われ、その雰囲気に飲まれ、その冷たさの中に確かに温かさを感じた。

その危険な魅力ちからで全てを虜にし、離れられなくなってしまう――――――まるで絶対的な引力で全てを飲み喰らってしまう、のような人だと思った。

そして“あの日”に『赤い悪魔』は誕生した。


鼻血を流している兄を見てその時のことを思い出したことによって、より一層、兄が恋しくなってしまった。


(あーあ、結局今日は何もできなかったなぁ・・・でも新しい“オモチャ”が増えたからいっか・・・)

天井を見ながらそんなことを考え、視線を隣で寝ている兄へと向ける。

「・・・・・」

その顔へ再び唇を近づけ―――――

ちゅっ

頬にキスをする。

「おやすみ――――式」

午前1時半過ぎ、私は彼に身を寄せて眠りについた。







次から新章に入ろうかと思ってます。

戦闘シーンいれないと・・・

あと、これまでの各話に所々修正を加え、章の整理も少し変えたのでお手数をかけますが今後ともよろしくお願いします。

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