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5.勉強、毎日の目標

次の日からあたしは一日のうちほとんどを費やして勉強し続けた。

そのうち七割近くはスピーキング。

残りはリーディングとライティング。

大学受験の時だってこんなにも勉強はしなかったぞっていうくらいに。

それはあたしの意志というよりも、コリーンのスパルタ教育のせいというほうがおおきいけれど、やることがあってそれに没頭していられるのはいい。

あまり多くのことを考えずに済むから。


きめの粗い紙と羽ペン。

どちらもこの世界ではかなり高価なものには違いないからなるべく小さな字で書きつけていく。

人の名前から物の名前、動詞。

必要にかられてるというところが大きいにしても、毎日目に見えてわかることが多くなっていくのは楽しいものだ。

目標があるのはいい。

あたしは初めて勉強って楽しいものなんだと実感する。


ここにきてそろそろ一週間。

あたしが初めて会ったあのイケメンは「カイルザーク」という名前らしい。「エンティア」つまりこの国の王様らしい。

どうりでエラそうというかオーラが半端ないと思った。

一度だけ顔を合わせたけれど言葉を交わすでもなく少しコリーンやマリーナ(メイドさん)と話して去って行った。

なぜあたしがここにとどまることを許可してくれるのか不思議でならないけれど。






最近のあたしのテキストはもっぱら幼児用の絵本。

城の図書館にはありとあらゆる本がそろっていてありがたいことこの上ない。


「こりーん。本。読む。行く。」


子供みたいで情けないけれど、致し方ない。

あたしはいつも通りコリーンの袖を引いてアピール。

コリーンは笑って了承してくれた。


さてさて今日の勉強はと。

数の本。

数の数え方がのっている。


これだって法則性さえ見えればそんなに難しくないはず。


1=イラ

2=ケ

3=タナ

なるほど。


おっ、今度は図解で歳の聞き方の例文がのっている。


あなた=てゅあ

歳=きーる


「てゅあきーるかまとーた?」


コリーンにむかってそう聞いてみる。

コリーンは驚いたように一瞬目を見開き「ケナンキータ」といった。

ケナンキータということは…27。

意外に若い。

落ち着いてるせいかもう少し上だと思ってた。

「そのオールバック老けて見えるからやめなよ。てか短いほうが似合うよ?」

ってどういうんだろう。コリーンにそれを伝えられるくらい言葉をうまく操れるようになりたいわ。

決定!目標はコリーンに髪型のアドバイスをすること。



「テュアキールカマトゥータ?」



コリーンは子供に聞くように言った。

25だから


「えーと…けなんふぉーん。」


コリーンはぷっと噴出して「イランフォーンナダ?」

15でしょ?というニュアンスだと思うけど。いくらあたしでもそんな間違いはしない。


「ヤバ。けなんふぉーん。」


ちがう25よ。


とゆっくり言い直してみると、コリーンは信じられないといった様子で目を見開いた。


どうやらほんとにあたしが14,5だと思ってたらしい。

やっぱり日本人はどこに行っても若く見られるらしい。

海外旅行の時も実感したし、「ティーンエイジャーでいけるんじゃん!」なんて喜んだこともあったけど、さすがに中学生に間違えられるって女としてどうなんだろう?


あたしが若く見られてるのは肌がきれいであるからで、決して幼児体型なのが原因なんじゃないって思いたい。


義務教育は十年前に卒業してますってか、こちとら仕事ではハゲ部長やイヤミ俺様クライアントを相手にしてきたのよ!


それを言う術はないのだけれど。



妙にふりふりした服とかがなぜなのか思い至り、ため息を着いた。

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