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爆弾陛下と龍神 最悪

「あ、ほら。うさぎとはあの後一回も……」

「いや、何のフォローにもなってないぞ……?」

 意気消沈している彼を一生懸命復活させようとするが、逆にどんどん傷を抉っている……。彼女に、悪気は一切ない。こうなったら、また彼の機嫌を損ねるようなことを言って無理矢理浮上させる他ない。少々後が怖いが……。

「もーっ、うさぎに焼き餅焼かないの! 仕方ないでしょっ?」

 彼が、ピクリと動いた。回復の、兆し……。

「焼き餅じゃねえよ! 調子に乗るな、アホ! 大体、考えたらおかしいよな。どうして俺があんたなんかのために、あそこまでしてやらなきゃならなかったんだよ!」

「何よー、私のこと好きだったんでしょ? その位してよ!」

「ほう、それであんたが俺のことを少しでも気に止めた、っていうなら、やった意味もあったかもしれねえな……。だが、いつ俺の気持ちに気付いたって? 俺の昇龍を止めた時、とか、どこかの誰かが言ってたよな……?」

 墓穴掘りまくり。言うこと言うこと、失敗ばかりだ……。

「も、もういいの! 結果オーライ! はい、この話はおしまい。他の所も見てみようよ!」

「何が結果オーライだ、アホ……」

 都合が悪くなったので、慌てて何かいいことが書かれていないかとページを繰る彼女の手が、ふと止まった。そこは、彼女が十一歳の時のページだ。

「あ、柳鏡が私の護衛になったのって、この日からなんだ……」

「あ? あんたが十一歳の四月二十四日? ……ああ、そうだな。……さすがあんただな、散々なことが書いてあるぜ?」

 懐かしさに手を止めてしまったページだったが、彼の言葉通り、最悪とも言えるページだった。

「十一歳、四月二十四日。今日は最悪だった。お父様の人選ミスだと思う。……あ、今はそんなこと思ってないからね。まさか、あの柳鏡を私専属の護衛に雇うだなんて、信じられない! わぁー、書いてあることが過激ね……」

 苦笑いをして、彼の顔色を窺う。頬が、ヒクヒクと痙攣しているのが見える。

「どうせなら趙雨の方が良かったわ。でもお父様に言われました。柳鏡以上の護衛はいない、って。意味がわからないと思ったけど、とりあえず言われた通りにします。最近のお父様は、不可解な発言が多いです。柳鏡には一生お世話になるんだからどうのこうの、とか……」

「……あんたの親、食えない奴だな……。未来予知でもできたのか?」

 その言葉に顔をあげて、ブンブンと首を横に振る。まさかそんな訳がない、と……。

 しかし、彼女の父が言っていたように、彼女は実際に一生柳鏡に迷惑をかけるつもりだ。とことんまで、わがままを言って……。

「あぁっ、クソっ! きっと、あんたの親父はわかってたんだな! ……そんな危ない奴に娘預けるなよ、腹立つな……」

「何が? 何がわかってたって話?」

 相変わらず、彼女は常軌を逸して鈍い……。

「何でもねえよ。……ちなみに言うと、あの日はむしろ俺にとって最悪な日だったな。あの日のせいで、あんたのドジに散々付き合わされる羽目になっちまったんだから……」

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