決戦の朝
ズドォォォォォォン!!!
世界が割れるような轟音。 砲口からオレンジ色の閃光が噴き出し、白煙が視界を覆った。 発射されたのは、鉄球ではない。 鉄クズ、釘、砕いた石を布袋に詰め込んだ「散弾」だ。
それは巨大なショットガンのようなものだった。 拡散した数百の鉄片が、暴風となって敵の密集地帯を襲った。
盾など無意味だった。 鉄片は木の盾を貫通し、鎧を引き裂き、肉を抉り取った。 先頭を走っていた数十人の兵士が、一瞬にして赤い霧となって消し飛んだ。 後続の兵士たちも、千切れ飛んだ肉片と衝撃波に吹き飛ばされ、ドミノ倒しのように倒れていく。
「な……んだ……?」
後方にいた敵の指揮官――領主バルトロメウス伯爵は、目の前の光景が理解できなかった。 一瞬の雷鳴。そして消滅した前衛部隊。 地面には、原形を留めない死体の山と、悲鳴すら上げられない負傷者たちが転がっている。
「ひ、ひぃぃぃ……!」 「雷だ! 神の怒りだ!」
恐怖は一瞬で伝染した。 勇猛な兵士たちが、武器を捨てて逃げ惑う。 そこへ、白煙の中から「悪魔」たちが現れた。
「突撃ぃぃぃ!!」
タケルを先頭に、ガロウ、赤狼衆、そして村人たちが一斉に飛び出した。 彼らの士気は最高潮だ。自分たちには「雷」という最強の味方がついている。 パニックに陥った軍隊ほど脆いものはない。 二千の軍勢は、わずか三百の追撃によって総崩れとなった。




