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再生の物語 つながりを紡ぐ  作者: 冷やし中華はじめました
革命の砲声

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45/56

ガンテツの最高傑作

 決戦の朝。  深い霧が立ち込める中、村の防衛ラインには奇妙な静けさが漂っていた。  塹壕の中に潜む村人たちは、誰もが緊張で口を引き結んでいる。彼らの背後、少し高い位置に築かれた土塁の上に、藁むしろで覆われた巨大な物体が鎮座していた。

 澤北は、その物体の傍らに立っていた。  隣には、煤と油で汚れた顔をしたガンテツがいる。

「……湿気はどうだ?」 「問題ねえ。火薬も乾燥してる」

 ガンテツが愛おしそうに、むしろの下の冷たい金属を撫でた。  青銅の大砲(カノン砲)。  北の山の民が持つ鋳造技術と、ガンテツの執念、そして澤北の知識が生み出した、この世界には存在しないはずのオーパーツだ。

 午前八時。霧が晴れ始めた頃、敵陣から角笛が鳴り響いた。  領主軍が動いた。  前回の失敗を教訓にしたのか、今回は騎兵ではなく、盾を持った歩兵を前面に押し出し、その後ろから投石機と弓兵が続く陣形だ。じわじわと包囲網を狭め、数で押し潰すつもりだ。

「来たな……」

 タケルが剣の柄を握りしめる。

「澤北、合図はまだか?」 「まだです。……もっと引きつけます」

 澤北は冷静に距離を測っていた。  大砲の射程は長いが、命中精度は低い。確実に敵の戦意を折るには、至近距離での「一撃」が必要だ。

「第一陣、退却!」

 澤北の指示が飛んだ。  塹壕の前線にいた村人たちが、わざと慌てたふりをして後退を始める。  それを見た敵兵たちが色めき立った。

「見ろ! 崩れたぞ!」 「昨日の砲撃でビビったんだ! 一気に押し込め!」

 敵の歩兵隊が走った。盾の列が乱れ、密集隊形となって村の入り口――大砲の射線上に殺到する。  二百メートル。百五十メートル。百メートル。  敵兵の顔が見える距離。勝利を確信した彼らの歪んだ笑みまではっきりと見える。

「……今だ」

 澤北が手を振り下ろした。

「撃てぇぇぇ!!」

 ガンテツが焼けた鉄棒を、大砲の火門に押し当てた。


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