表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再生の物語 つながりを紡ぐ  作者: 冷やし中華はじめました
火山の民と黒い粉

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/56

ドワーフの末裔

 雪山を越え、黒い煙を吐く火山地帯へ足を踏み入れた時、澤北たちの消耗は限界に達していた。  だが、澤北の目は爛々と輝いていた。  硫黄の匂い。腐った卵のような、しかし今の彼にとっては希望の香りだ。

 火口近くの洞窟に、彼らはいた。  「山の民」。  身長は低いが、岩のような筋肉をした一族。伝説にあるドワーフの末裔かもしれない。彼らは地熱を利用して暖を取り、わずかな苔や地中の虫を食べて生き延びていたが、彼らもまた飢餓の淵にいた。

 澤北たちが姿を現すと、山の民たちは警戒して槍を構えた。  以前の澤北なら、ここで両手を挙げて「敵意はない」と笑顔を見せただろう。  だが、今は違う。

「ガロウ。威嚇しろ」

 澤北の冷たい命令に従い、ガロウがクロスボウを発射した。  矢は山の民の足元、わずか数センチの地面に突き刺さった。彼らが怯んだ隙に、タケルが前に出て大剣を叩きつけ、圧倒的な武力を見せつける。

「……話を聞け。殺しに来たわけじゃない」

 澤北は前に出た。  澤北は自問する。これは暴力か? 脅迫か?  そうだ。だが、これが最も効率的だ。  以前のような「相手の善意に期待する」甘さは、リクを殺した欠点だ。その欠点を取り除くために、あえて強者の論理を振るう。

「取引だ。お前たちのおさを出せ」

 現れた長老に対し、澤北は単刀直入に告げた。

「この山にある黄色い石――硫黄を俺たちによこせ。それと、お前たちの持つ鍛冶の技術もだ。俺たちの村に来て、武器を作れ」 「……断ると言ったら?」 「このまま飢え死にするだけだ。俺たちが去れば、二度と助けは来ない」

 澤北はリュックから、最後の食料である「乾燥芋」を取り出し、地面に放り投げた。  犬に餌をやるような仕草だった。

「俺たちの村に来れば、これが毎日腹いっぱい食える。暖かい寝床もある。……誇りを持って死ぬか、俺の下で働いて生きるか。選べ」

 屈辱的な提案だ。だが、生存本能には抗えない。  長老は震える手で芋を拾い、齧り付いた。その目から涙が溢れる。   「……従おう。我々の命、あんたに預ける」

 契約成立。  澤北は表情一つ変えなかった。  同情もしない。友情も求めない。ただ、利害の一致。  それが、リクを失った代償として手に入れた、新しい「関係の築き方」だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ