独立への決意
数日後、澤北はタケルとガロウ、そしてガンテツを呼び出し、一枚の地図を広げた。 ベンジャミンから入手した、この周辺諸国の地図だ。
「今回の件で、はっきりしました。我々はこの国の領主の下にいる限り、搾取され続ける運命です」
澤北は地図上の、自分たちの村を指差した。
「今は金で平和を買っていますが、それは時間稼ぎに過ぎません。……我々は、独立を目指すべきです」 「独立……? 国を作るってことか?」
タケルが目を丸くした。
「実質的な自治権の獲得です。そのためには、二つの力が必要です。一つは、誰も手出しできないほどの『経済力』。そしてもう一つは……」
澤北は、隣国の国境線を指差した。
「『外交力』です。バルトロメウス伯爵と敵対している隣の領主、あるいは王都の派閥と手を組み、後ろ盾を得る。……これからは、村の中だけでなく、外の世界とも戦わなければなりません」
壮大な話だ。 元ニートの男が語るには、あまりにも大きすぎる夢。 だが、ここにいる誰も笑わなかった。 製鉄を成功させ、飢饉を乗り越え、悪徳代官すら手玉に取ったこの男なら、本当にやってのけるかもしれない。
「面白え」
タケルがニカっと笑った。
「国づくりか。魔王を倒すよりワクワクするぜ」 「俺は、俺たちの居場所が守れるなら何でもやる」
ガロウが短剣を弄びながら言った。
「俺は、どこに出しても恥ずかしくねえ武器と道具を作るだけだ」
ガンテツが腕を鳴らす。
澤北は頷いた。 仲間がいる。知識がある。そして、守るべきものがある。 かつて六畳間で膝を抱えていた男はもういない。
「行きましょう。新しいステージへ」
窓の外には、満天の星空が広がっていた。 その星々の輝きは、村の未来を祝福しているようでもあり、これから待ち受ける激動の運命を暗示しているようでもあった。
再生の物語は、村の再生を終え、国の創造へと進んでいく。




