表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再生の物語 つながりを紡ぐ  作者: 冷やし中華はじめました
迫りくる権力の魔手

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/56

武力か、服従か

 その夜、集会所は怒号に包まれていた。

「殺しましょう!」

 ガロウがテーブルに短剣を突き立てた。

「あんな豚一匹、夜中に寝込みを襲えば終わりだ。護衛の兵士だって十人程度。俺とタケルたちで奇襲すれば、五分で片付く」 「そうだ! ふざけるな! 八割だと? 俺たちが汗水垂らして作った麦を、何もしねえ奴らにくれてやる義理はねえ!」

 赤狼衆の男たちも、地元の若者たちも、完全に臨戦態勢だった。  ガンテツすらも、腕組みをして唸っている。

「職人を差し出せってのは、俺たちの魂を売れってことだ。……俺も、戦う方に賛成だ」

 村の世論は「開戦」で統一されていた。  今の村には鉄の武器がある。士気も高い。勝てる確信があるのだ。

「……澤北、お前はどう思う?」

 タケルが尋ねた。  全員の視線が澤北に集まる。彼は今まで一言も発さず、羊皮紙に何かを書き殴っていた。

「勝てますよ」

 澤北は顔を上げずに言った。

「あの代官と護衛を殺すのは簡単です。……ですが、殺したらどうなります?」 「どうなるって……せいせいするだろ」 「その後です。代官が戻らなければ、領主は調査隊を送る。それも消せば、次は正規軍が来ます。百人、五百人、あるいは千人の騎士団が」

 澤北は羊皮紙を叩いた。

「我々は勝てても一回か二回です。籠城戦になれば、交易は止まる。塩が入ってこなくなる。畑は焼かれる。……結局、全滅です。感情で動けば、積み上げてきた全てを失います」

 冷水を浴びせられたように、集会所が静まり返った。  誰もが、その未来図を否定できなかった。

「じゃあ、奴隷になれって言うのかよ!」

 若い衆の一人が泣きそうな声で叫んだ。

「いいえ。税は払いません。技術も渡しません。……でも、戦争もしません」

 澤北はニヤリと笑った。それは、昼間に代官に見せた卑屈な笑みではなく、商談の時に見せる「狩人」の目だった。

「奴の要求は『税』と『技術』ですが、奴個人の欲望は別にある。……『毒饅頭』を食わせます」 「毒……? 毒殺するのか?」 「いいえ。もっと甘くて、抜け出せない毒です。……タケルさん、ガロウさん、殺気は消してください。今夜は最高のおもてなしをしますよ」

 澤北は立ち上がった。

接待ビジネスの時間です」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ