表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
再生の物語 つながりを紡ぐ  作者: 冷やし中華はじめました
鉄と炎の結束

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/56

黒い石の発見

 組織の地盤が固まり始めた頃、澤北は次なるステップへ踏み出した。  タケルとガロウ、そして数名の精鋭を連れて、赤狼村があった山岳地帯への遠征を行ったのだ。  目的は「資源」だ。

「この辺りか?」 「ああ。俺たちの村の裏山だ。何も育たねえ、呪われた山だよ」

 ガロウが指差した先には、赤茶けた岩肌が露出した禿山があった。  植物が育ちにくい地質。澤北の胸が高鳴る。

 川辺に降り立つ。水は澄んでいるが、川底の砂は妙に黒っぽかった。  澤北はしゃがみ込み、川底の砂を掌ですくい上げた。  ずしり、とした重み。  掌に残る、黒く輝く粒子。

「……あった」 「なんだ、ただの泥か?」

 タケルが覗き込む。

「泥じゃない。砂鉄だ」

 澤北は懐から、現代から持ち越した数少ない所持品の一つ――壊れたスマートフォンのスピーカー部分から取り出しておいた、小さな磁石を取り出した。  それを砂に近づける。  黒い粒子が、生き物のように磁石に吸い寄せられ、ハリネズミのような形を作った。

「うおっ!? なんだその石! 魔法か!?」 「磁石です。そして、これにくっつくのが『鉄』の素です」

 澤北は立ち上がり、周囲を見渡した。  川底だけでなく、崖の断面にも黒い帯が見える。さらに、少し離れた場所には白っぽい岩場――石灰岩の露頭も確認できた。  製鉄に必要な材料が、セットで揃っている。ここは宝の山だ。

「ガロウさん。この山は呪われてなんかいませんよ。この黒い砂は、金や銀よりも価値がある」 「……これがか? 食えもしねえのにか?」 「ええ。これで道具を作れば、畑を今の十倍の速さで耕せる。この石で矢じりを作れば、熊だって一撃で倒せる」

 「鉄」という言葉の響きに、男たちの目の色が変わった。  この世界でも鉄製品は流通しているが、非常に高価で、農民が持てるのは小さなナイフや、先祖伝来の錆びた鎌くらいだ。  それを自分たちで作る? 夢のような話だった。

「やるぞ。ここを採掘場にする」

 澤北の宣言に、タケルが拳を鳴らした。

「へへっ、面白くなってきやがった。で、どうすんだ? この砂を鍋で煮れば鉄になるのか?」 「いいえ。もっと熱い炎が必要です。……『タタラ』を作ります」

 澤北の頭の中には、かつてドキュメンタリー番組や書籍で得た「たたら製鉄」の知識があった。  粘土で作った炉。木炭による還元反応。三日三晩の操業。  理論は知っている。構造も頭に入っている。  だが、澤北はまだ知らなかった。  「知っている」ことと、「できる」ことの間には、深くて暗い谷があることを。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ