表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/22

遊園地の出来事side杉山

—side杉山健吾

美術室から俺を描いたと思われる絵を見てから、余計に増田君の事が気になっていた。


増田君に確かめる勇気もなく、日々過ぎていたがまた4人で遊園地に行くことになった。


「遊園地なんて久しぶりだな~」


猿渡先輩は楽しそうにそう言っていた。


「中学校以来だね」


その言葉に引っかかった…気になる事は聞かずにはいられなかった。


「てことは…猿渡先輩と増田君は一緒に来たって事?」


恐る恐るそう聞くと、猿渡先輩はなんなく答えた。


「あぁ、そうだよ。2家族で来たのが最後かな」


よかった…2人でデートで来たって訳じゃない事に、少しホッとしている俺が居た。


「家族と行くくらいで、友達と来るの初めてで楽しいですね~」


菊地も楽しそうに言う傍らで、俺も答えておいた。


「俺も久しぶりですね…小学生以来かも…」


「まずはジェットコースターからだな!」


猿渡先輩は増田君の手を引いて、走り出した。


「ちょっと…」


引っ張られる感じで走る姿を見ながら、俺らも遅れないように追いかけた。


ジェットコースターに乗ったけど、終着点まで着くと、増田君は怯えている様に見えた。


「相変わらずだな!稔…立ってるのがやっとだな」


笑いながら先輩が言うと、菊地が増田君を背負おうとしているのか、彼の前でしゃがんでいた。


「稔乗れよ」


「え…」


「早く乗れ!恥ずかしいだろ」


正直ああいう行動を臆面もなくできる菊地に、少しモヤモヤした気持ちが湧いた。


「おんぶって小学生かよ!」


すぐにツッコむ先輩に、小さい声で何か言っているのが分かったけど、なんと言っているのかは聞き取れなかった。


「省吾先輩、稔恐ろしい事言ってますよ」


笑いながら菊地は言うと、先輩はなんともなさそうに


「恨まれるのはいつもの事だからさ」


そう笑いながら言っていた。


ベンチまで菊地が増田君を運んでいるのが分かったから、俺は自販機で水を購入した。


増田君が座るのを確認して、ペットボトルの水を彼に差し出した。


「はい、これ飲んで」


「ありがとう…」


手渡したペットボトルを彼が受け取って、一口水を飲んでいた。


猿渡先輩と菊地は、休憩している増田君と俺を置いて、メリーゴーランドに乗っていた。


俺は彼の横に座りながら


「男2人でメリーゴーランドなんて…恥ずかしくないのかな?」


つい普通に感じた事を、そのまま口にしていた。


「そう…だよね?僕もそう思う」


同じ考えだったことに、思わず顔を見合わせて笑った。


「少しは大丈夫になった?」


「うん…大丈夫…」


「よかった」


少し顔色がよくなっているから、少しは大丈夫だとは思った。


「増田君って、絶叫系苦手なんだ?」


あんな感じだったら、きっとそうなんだろうと思った。


「そう…なんだよね…昔から省吾にグイグイ引っ張られて行くだけでさ、僕の気持ちなんて関係なくて…嫌って言えないのもよくないんだけどね」


やっぱり…これは先輩と付き合っているって事なんだろうか…思い切って聞いてみようと口を開いた。


「あのさ…」


そう言葉を言いかけた時に、2人が戻ってきた。


「たっだいま~」


明るい声でそう言う菊地は、俺と増田君の間に腰をかけた。


「稔たちは乗らないの?メリーゴーランド」


菊地は増田君の顔を見ながら、そう言うと彼は少しむくれた顔をしていた。


「乗る訳ない…省吾や直人と違って、僕羞恥心あるから…」


先輩は増田君の頭をグリグリっとして、優しい目をしていた。


「おいっ!俺らが羞恥心ないみたいに言うな!」


「痛いっ!痛いっ!」


2人でまるで恋人の様に、イチャつくような雰囲気だった。


やはり先輩からは、増田君に対して愛情を持った目をよくしている。


増田君はベンチから立ち上がると、少し怒ったように言った。


「言っておくけど、コーヒーカップも乗らないから!」


そういう増田君が可愛くて思わず笑うと、みんなも同様に笑っていた。


「じゃあ、あそこに行こう」


その後先輩に連れられて、お化け屋敷に向かった。


「え…ここ…」


増田君は時が止まったように、その場から動かなくなった。


「コーヒーカップじゃないから大丈夫だろ?」


いたずらっ子の顔をした先輩はそう言うと、増田君に手を伸ばした。


「はい!じゃあ、次は俺と行こうね~稔!」


そう菊地は言うと、増田君の手を引っ張った。


俺と先輩が先に行くことになったが、全く楽しくもないお化け屋敷だった。


基本的に俺は霊なんて信じてない…しかもこんな遊び場だと尚更だ。


先輩も同じ感じで、とても静かに進んでいると、後ろから増田君と菊地の声がしている。


増田君が怯えているであろう事はわかったけど、俺たちにはどうする事もできないから、そのまま出口まで静かに進んだ。


2人はお化け屋敷から出てきたが、その姿は菊地の腕に絡みついて目を閉じている増田君の姿だった。


その姿はとても楽しくない…思わず俺はその光景から目を逸らしていた。


「全く…稔はいつまで経っても男らしくないな~」


揶揄うように言う先輩に、菊地は笑いながら言った。


「可愛いじゃないですか~俺はこういうところ好きですよ。な?稔!」


菊地の腕にまだしがみついてた増田君が、バッと菊地の腕から離れた。


「可愛いって言うな!」


怒ったその顔がまた可愛らしいと、思ってしまった。


それから夕方になり、観覧車で最後にしようと向かった。


俺と増田君が観覧車に乗る事になり、乗り込む時に反対側の席の真ん中に慎重に座る増田君を見て、彼はもしかして高い所も苦手なのかと思った。


「どうしたの?もしかして…高い所が嫌い?」


そう聞くと、増田君の手は少し震えている様だった。


「嫌いっていうか…揺れたりするのもちょっと苦手で…」


膝に置いた手をギュッと握っている…せめて少しでも怖がらないようにするのには、どうしたらいいか考えた。


「あのさ…そっちに行ってもいい?」


俺がそう言うと、増田君はこっちを見た。


「同じ所に座ったら、少しは揺れが軽減されるかなって…」


横に行くとか、ちょっと流石に気持ち悪いだろうか?


「ただ、移動するのに揺れちゃうけど…」


極力怖がらせないように、言ったつもりだった。


「分かった…じゃあ、少し座るの横にずれるから、その間にこっちに来てくれる?」


俺の提案を承諾してくれて、少しホッとする。


「わかった」


安堵したせいで、思わず笑顔になると、増田君の顔が少し赤く見えた。


増田君が横にずれるのを見て、俺はなるべく揺れない様にゆっくりと彼の隣に座った。


「ありがとう…」


「どういたしまして」


そう言いながら隣を見ると、少し頬が赤くなった彼の顔を見ると、可愛すぎてドキドキとしてしまう。


「杉山君って絶対モテるでしょ?」


突然彼にそう言われて、思わず聞き返した。


「え?なんで?」


「こういう自然な優しさを行動できるって凄いなって…僕にはこんな事できないから…」


そんな風に言ってもらえるなんて…俺は誰にでも優しい訳じゃない、むしろ冷たいと言われる部類だ。


「誰にでもするって訳じゃないよ」


ついそう言葉にすると


「え?」


っと驚きの声が返ってきた。


これは増田君はモテるだろうな…っと俺は思った。


彼にもっと近づきたいと、そう思ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ