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曇り空のみなそこ区で八木橋は1人、公園のベンチに座ってタバコを吹かしていた。昼下がりのせいか、近くにはもう1人ベンチに座って弁当を食べている女性がいたが、それだけだった。

足を組んで、おもむろにベンチの背に仰け反りながら伸びをすると、電子音が聞こえた。


(今日何食べる?)


付き合って1ヶ月になる彼女のアスミからの連絡だった。彼らはまだ初々しいカップルで、アスミはアパートの管理会社に勤めている社員だった。八木橋はフリーランスの殺し屋をしている。彼女にはこの仕事を辞めろと散々言われたが、続けれる仕事がないためやっている。


(今日はアスミちゃんを食べちゃいたいな)


ニヤニヤしながら打って返信すると、数分してから返事が来た。


(キモい)


もう熱々のカップル期はすぎたのだろうかと、悲しくなる。なぜこうも男女の仲というのは、熱くなりすぎたほうが下になりやすいのかを不思議に思う。


(嘘だよ。君が作るものだったら何でもいいよ。

アスミちゃんは料理が上手いんだからね)


本当は文字ではなくて、電話で声が聞きたかったが、アスミも仕事だろうと思って邪魔をしないことにした。


夜、自宅に帰ってくると、アスミのほうが早く帰ってきていた。白いブラウスとライトベージュのスラックスがよく似合っている。キッチンで食事を作っていたアスミが彼に気づいて、おかえりと軽く言った。

八木橋が彼女の腰に腕を回し、体を抱き寄せる。アスミは顔を赤くしながら、「やめて」と拒んだ。


「いま作るところだから」


「俺は料理よりアスミちゃんがほしいよ」


耳元で甘く囁くと、アスミの顔が困惑する。


「嫌だ。こんなところでしたら汚れるから」


「俺が全部舐め取ってあげるよ」


「ほんとやめて。料理作ってからにしてよそういうことは」


「約束だよ」


耳をかじって、体から離れるとアスミはため息をついて、呼吸を整えていた。顔がずっと赤い。彼女は、付き合う前よりもずっと感情的になることが多くなってきた。付き合う前の彼女は、淡々としていて、八木橋にもつっけんどんな態度をとることが多かった。それが付き合ってからというもの、なんだが恋をしてしまった少女のようなぎこちなさを見せるようになって、ささいな反応にどぎまぎして動揺するような反応を見せるようになった。そんな彼女を愛おしく思いながら、八木橋はちょっかいを出すのを楽しみにしているのだった。


「今日のごはんは魚の煮付けと、かぼちゃの煮物ときゅうりと中華クラゲの和え物よ」


アスミはテーブルに3つのおかずとご飯を置くといただきますとあいさつして食べ始めた。室内はテレビをつけることもなく、彼らふたりの会話だけが音となって反響する。


「美味しそうじゃないか。やっぱりアスミちゃんはいいお嫁さんになるよ」


八木橋が褒めると、アスミは呆れていった。


「いいから早く食べたら」


そのつれなさにむくれながらも、パクパクと食べ物をついばむ。


「うーん、やっぱりおいしい!この味付け最高じゃないか」


「ほんと?よかった」


俯いてはにかむ彼女がとても可愛らしかった。その少女のような態度に八木橋の性欲がかき立てられる。


食べ終わって片付けはじめるアスミの腕を掴み、無理くりソファに引っ張る。彼女は、はじめ「片付けないと」と顔を赤らめながら言ったが、八木橋がキスすると目をトロンとさせて身を任せた。ゆっくりとズボンのすき間に手を入れ、パンティーの中をまさぐるとしっとりとぬめった中から甘い蜜がぐちょぐちょと溢れ出ていた。


「凄い濡れてるじゃないか?ずっとこういうことを考えてたの?」


耳元でいたずらっぽく尋ねると、アスミがますます顔を赤らめて、首を振る。


「違うわ」


「それじゃあ、こんなグチョグチョになってるわけがわからないよ。俺とエッチなことしたくてたまんなかったの?待てなかったんだ?」


「違う」


「正直に言えば、もっと気持ちいいことしてあげるよ」


アスミを見つめながら、濡れた中指を口に含む。アスミがすがるような目つきをしながら、八木橋に抱きついた。


「そんないじめないで」


かわいい声で懇願するので、ゆっくりとねぶるようにキスをして、彼女の着ている服をほどいていった。一糸纏わぬ裸体がとても美しい。流れる曲線をえがいた腰つきと、豊満な果実の膨らみを思わせる乳房、薄桃色の乳首と華奢な肩、よく引き締まった太ももと、尻が八木橋の本能を掻き立てる。服の上からでも分かるほど興奮している膨らみを彼女の臀部に押し付けながら、ゆっくりと乳首を口に含む。


「うっん」


ビクンと跳ね上がる体を触りながら、乳首を吸い込んだり、舌で転がして反応を見る。悩ましげな表情を浮かべて、快楽に身を委ねる彼女は美しかった。ゆっくりと下に手を伸ばし、アスミの花芯を小刻みに動かすと再び体を跳ねながら、反応した。


「あっあん」


「反応がいいね。アスミちゃんはクリが大好きだものね」


アスミが勢いよく八木橋の秘処を蹴り上げてくる。急所に当たり思わず手で押さえたが、彼女は機嫌が悪くなった。体を横たえて、八木橋に触らせない体勢になった。


「どうして、そんなことするんだ?そんなにクリが好きって発言が露骨すぎだのかい?」


八木橋が困惑して大声を出すと、クスクスとその様子を見たアスミが笑った。


「わかってるじゃない」


「そんなあ、これじゃあ触れないじゃないか」


「意地悪のお返しよ」


「機嫌が悪くなるとすぐこれなんだから。こんなんじゃエッチもできないじゃないか」


八木橋が珍しく怒って、その場から立ち去る。アスミはその様子を見て、かなしそうにそのあとを見つめたいた。


八木橋は寝室に入って、コンドームを取り出したあと、リビングに戻った。


戻ってきた八木橋の姿を見てアスミが安心した顔をする。再びソファに身を沈ませると、動揺したアスミを見て頭をなでる。


「びっくりしたでしょ?俺が怒るから。

アスミちゃん、そんなに俺をいじめないでよ。俺だって酷いことされると怒るよ」


「ごめん」


「わかればいいんだよ」


ふたりは再び唇を重ねる。滑らかな舌がするりと絡まり合う。

ゆっくりと、八木橋は下半身に進み、このあらわになっている溝に舌を這わせる。水音をじゅるじゅるとたてながら、アスミの愛液を吸っていく。アスミは体をビクつかせながら、耐える。八木橋は堪らなくなって、ズボンから自分の陰茎を出し、そそりたつ陰茎をアスミの溝に押し当て愛液で滑りよくした。あ、と気づいてコンドームを取り出して、つけようとしたが、アスミが止める。


「中に出してほしいの」


「妊娠してもいいの?」


八木橋が心配そうに尋ねる。アスミに中出しを許可されるのはとても嬉しかったが、彼女が妊娠してしまったら自分は父親になるのかと現実にはあり得なそうな展開を思い描く。


「うん、いいよ」


「それじゃあいくよ。体をリラックスさせてね」


肉壁がどんどん陰茎を受け入れて、ずぶずぶと沈ませていく。その壁の襞に陰茎の敏感な部分が引っかかるたびにいいようのない快楽が八木橋を襲う。


「あぁ、いい気持ちだ。すごい締まってるよ。

君はもう俺のものだよ」


「あぁん」


彼女の甘い声が室内に響く。動かすたびに、ぐちょぐちょと卑猥な音が広がる。


「かわいいアスミちゃん、もっと俺を受け入れて」


耳元でささやきながら、その首筋に歯型をつける。自分のものだという跡だ。アスミは苦悶の表情を浮かべて、喘ぎながら淫乱にも自分の花芯を小刻みに刺激していた。その姿がどんどん八木橋を燃え立たせる。


「エッチじゃないか、そうやると気持ちがいいのかい?もっと気持ちよくしてあげるよ」


八木橋はアスミの両足をまっすぐに閉じさせて、天井に向けながら支えるようにいい、膝をつきながら激しく動かした。


「こうすると奥深くに俺のを感じられるだろう?

スペルマをたくさん出してあげるよ」


アスミの喘ぎ声がどんどん大きくなる。にじんだ汗が、蛍光灯の光を受けてきらきらと光る。八木橋が声をあげると中に放出した。



性交をしたあと、2人はベットで横たわってまどろんでいた。アスミはいつものように八木橋の左手を握り彼の寝ている様子を見つめていた。八木橋はいつものように顔を顰めながら、悪夢と戦っている。ビクンビクンと体が痙攣して、辛そうに寝言を吐く。変わらない毎日だったが、その変わらなさが心地よかった。

八木橋の手をぎゅっと握ると、彼も握り返してくるようで、その反応が好きだった。八木橋のカールがかったやわらかな髪に触れながら頭をなでる。その時、彼は目を覚まして、彼女の握った手を離して、キッチンに向かった。喉が渇いたのだろう。水を飲む音が遠くから聞こえる。

戻ってくると、ゆっくりとベットに横たわり再びアスミの右手をとると、胎児のように縮こませながら眠りについた。


「眠れないのかい?」


八木橋が優しい声音でアスミに尋ねてきた。


「うん。いつものことだからいいの」


「俺のがうつったのかな」


「前からそうだったよ。監視とかするようになってから」


八木橋が彼女の背中に手を回して、抱きつく形になった。


「暑いけど、こうしたら寝られるかな」


「汗が出そう」


「やめようか」


彼は体を引き剥がして、元の場所に戻った。


「俺はだいたいセックスすると寝れるんだけどね。

アスミちゃんはそうではないか」


「寝れるときと寝られない時がある」


「俺みたいに単純なら良いのにね」


頷いて毛布に顔を沈ませた。冷房の音がシーンと静まり返った部屋のなかで唸る。しばらくすると八木橋はすやすやと寝息を立てていた。再び、孤独になったアスミは目を閉じて、彼の指の感触に神経を集中させる。

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