就職に向けて
就職が倒産した。
私の生活はどうなるのでしょう・・・。
運が悪かったのだろうか。
専門学校を卒業を前に社員寮のある有名どころの日本料理のお店の厨房の内定をもらっていた。
ところが、いざ寮に引っ越そうかというタイミングで、
不祥事のデパートのようにニュースを賑わせた。
不正経理の脱税に始まり、賞味期限切れや、使いまわしなどありとあらゆる不正を取り揃えていた。
まあ、潰れるよねえと言う感じで、私の就職先は消えてなくなってしまった。
住むところも引っ越す寸前だったので引き払っていたために、
私は見事に住所不定無職と言う怪しい職業を手に入れてしまった。
まあ、資格コレクターなところもあり、調理師免許以外にもいろいろとっていたのだが、
タイミングが悪く春先に就職活動を開始したところですぐ見つかるわけもないわけだ。
世間を賑わかせただけあって、支援企業も出たわけだが先に働いている人間を優先され、
若い子はすぐ見つかるだろうと後回しにされ、ハローワークで呆然とする日々を送るしかなかった。
「住むところないんですけどー。」
「そうですか。困りましたね。」
窓口で30前後くらいの事務のお姉さんの冷たい返事が返ってくる。
この人は公務員ではなく、派遣かなんかだろうか。
とりあえずは、当たり障りもなく対応されて、端末を利用するために移動する。
東京の職安だと言うのに、何回通ってもいい仕事がみつからない。
私、渡良瀬希美は何事にも運が悪かった。
就職もそうだけど、遠足修学旅行が悪天候は当たり前で、
何をするにも途中経過にろくなことが無かった。
今回も就職先が無くなったので専門学校を頼ろうとしたら、
私の勤めようとしたところは専門学校の大口の就職先だったようで、大混乱だった。
料理人の世界も男性が有利なのか、女である私はなかなか見つからなく、4月を迎えようとしていた。
「うーん、今日見つからないとこのまま住むところがなあ」
大家さんに無理言って伸ばしてもらっているが次があると言う事でもう限界らしい。
荷物は元々少なかったので最悪は倉庫に預かってもらえるらしい。
まあ、テレビと衣装ケースくらいだけど。
元々母親も転々と移動する生活だったせいか荷物と言う荷物もない。
なんで、そんなに引っ越すのかと聞いたら、趣味だと言われたらそれ以上は何も言えない。
そんな母に父親はどうだったのかと尋ねると体の弱い人で、私が生まれるくらいには亡くなったそうだ。
お墓は島根のほうにあるらしいが、行ったことはないのでわからない。
まあ、そこまでお墓にこだわるわけでもないのでどうでもいいんだけど、
自分の父親だし1回くらいは墓参りしてみたいものだ。
「えーっと、調理師、住込み、男女問わずっと」
独り言も出る。ちっともみつからな・・。
「あったー」
住込みの仕事がヒットする。
都会から外れるが、住込みなので問題ない。
「温泉旅館か。調理だけではなく、従業員の教育もできればか。」
まあ、そんなに難しいことを求められないだろう。
私はプリントアウトすると、そのまま事務のお姉さんのところに向かい
先方に連絡を取ってもらって面接の予約を取ってもらう。
ちょうど東京に届けに来ていたらしく、明日近くの喫茶店で面談することになった。
果たして私は就職できるのでしょうか。