始まりは突然
以前書いた失敗作「異世界を旅する者たち」を書き直しました。
これからしっかりストーリーを練って緻密な物語を作っていこうと思います。
彼らは異世界から来た。
皆が思うようなトンデモ技術やバカでかい知識を欲しがるようなものじゃない
“単に楽しむため”
たったそれだけで彼らはここに来た。
春になる時期、彼らが来た場所は凶悪犯罪者のいる施設でも、国家機密の詰まった組織でも無い。
その場所は意外なところだった
沢山の人間が、その非現実的な場所に目を丸くする
その中には大きな鉄の塊が、沢山の悲鳴と同時に有り得ない速度で落下する光景…
金属とガラスで出来た箱に人間が入り込み、ゆっくり回転する。
得体の知れない食べ物に人々は口を運んだりしているのも見える
彼も、その食べ物に口を運んでいた。
「これ美味いな。」
甘い綿菓子を食べ、一言そう呟く。
彼らが来た場所、それは…
遊園地だった──
わたあめを食べながら一緒に歩き回る。
「やっぱ遊園地は遊ぶより食べる方が良いな。」
また一口食べるとそう呟く。
彼の名はグレイ
一見30代前半ほどの人間だが、観測している限り既に300年は生きており、本人もどうなっているか分からない、気づけば知らない荒野にほっぽり出されていたとのこと。
見た目に関しては前世の姿であり、
グレイは他のアトラクションに目もくれず、別のキッチンカーに向かう。
その姿を見て隣にいるスーツ姿の男が疑問そうにグレイを見る
「今の祭りの時期の世界に向かえばよかっただろう?なぜ遊園地で…」
男は呆れつつも疑問を抱く
男の名は小暮
一見ただ普通の人間だが人間ではなく、実験失敗の影響に巻き込まれ、煙の様な姿になった。
戻れはするが、実験失敗の姿は他人への擬態が可能なので本人はあまり戻ろうとしない。
服装はアクションドラマなどに影響されやすい
グレイはその発言を聞いてどこか気に入らない顔をする
「この時期の祭りはカップルが多い、彼女も無しに行くとこじゃないだろ?」
少し苛立つようにそう言うグレイ。
その顔には嫉妬心が少し現れていた
「俺も彼女を作りたいけど…そこまで自由に行くもんじゃないわな。」
顔を横に向け遊園地にいるカップルに目をやる。
嫉妬心から哀しみを顔に浮かぶ
「君が彼女って、想像がつかないな…」
小暮はサンドイッチを食べ、目を瞑りそう言う。
少し気まずい様子で居た頃、アイスクリームを積んだキッチンカーがグレイ達の近くで止まる
「おお、丁度いいや、小暮も食うか?」
財布を取り出して、営業を開始し始めるキッチンカーに興味を示す。
小暮がちょっと考えると「ああ」と言って、二人はキッチンカーに向かう
アイスを買って、近くにあるベンチに座る
「あの戦争から10年か。」
小暮が気付いたように口を開く。
グレイはそれを聞いて食べる手を止める。
「前の組織が恋しいよ。」
昔の居場所を憂うように言うと、アイスを一口食べる。
少し経ち、続けてグレイが話す。
「親友が俺の前組織の裏切りに遭って死亡。そいつが言う”正義の為”に犠牲になった。」
前かがみになり、遠くを見つめ言うグレイ
それを聞いてグレイの顔を横から見る小暮。
「君は、そいつが憎いんだな。」
半分断定するように聞く。
グレイは「当然だ」と答え、目を瞑る。
10年前の戦争。
異世界との間に生じた人々のねじれが、衝突を起こしてしまった。
後にこれは【異世界間戦争】と呼ばれる。
原因はグレイが元居た組織の行動によるものだった。
異世界間の戦争はグレイの所属する組織の勝利だが、組織も生半可な損失では済まなかった。
しばらくして、グレイのいる組織は解散、そしてその組織の権利は小暮の居る組織に権利が渡った。
グレイは顔を俯ける、すると小暮が背中に手をポンと置く。
「幸い、我々には自由の組織がついてる、復讐するにはもってこいだ。」
そう決意させるように小暮が言う。
グレイはそれを聞いて普通の座り方に戻す。
「親友も組織も壊されたようなもんだ、殺して楽になりたいよな。」
そうグレイ自身に願望を言い聞かせるよう空を見て言う。
小暮はその様子を見て少し微笑む。
「それも自由の一つだ。」
そう言い、立ち上がり「フゥ…」とため息をつくと、グレイに体を向ける
グレイはそれに顔を向けて反応する。
「帰るか。」
小暮はそう言い、前方の何もないところに向かって、手のひらを前に突き出すように構える。
しかし、すぐ後に帰ろうとすることを考え直す。
「君達、グレイと小暮、そう名乗っている人物だな?」
ベンチの後ろからそう呼ばれ、瞬時に2人が振り向く。
2人の背後には、長く青い髪をした若い女性が腕を組み立っていた。
後ろには角の生え、赤い肌の人間のような生命体が二人、片方は背の低い女性ともう片方は少し背の高い青年が居た。
グレイはベンチから立ち上がり困惑の表情を浮かべる。
「人違いだろ?ってか誰?」
苦笑いし、首をかしげそう聞く
その女性はグレイに目を向ける。
「私の名は” ネストル ” 私たちに付いて来るんだ。」
グレイに微笑み手を差し伸べそう言う。
彼女の名はネストル 23歳
中世世界にて勇者を名乗る女性。
王族として生まれ、正義感に強く、その身体能力もかなりの持ち主。
そして過去に、勇者として”魔神”と呼ばれた強力な生命体の討伐もしている。
グレイはネストルをかなり怪しんでいた。
同時に、これは噓だという事も小暮は感知していた。
「なんの、つもりで俺らに噓を?」
脅迫するようにゆっくり伝える。
「我々の正体を知った上で、この行為は愚かとしか言いようが無い、君たちのボスは誰だ?」
小暮が手を前に出して迫り、ゆっくり近づく。
すると後ろの赤い肌の2人も構える。
「私たちの総帥に当たる人物は…」
「グレイ、お前にとって憎むべき存在だ。」
グレイに顔を向け、そう言う
真面目な表情で伝えると、グレイは顔色を変えるが、すぐに覚悟を決めたような表情をする。
「あー分かったよ、ついて行けばいいんだよな?」
腰に手を当て頷くと、渋々ついて行こうとする。
小暮が止めるよう一瞬声を出すが、グレイの意図を察してすぐに動きを止める。
ネストルの差し伸べられた手を取る。
「理解してくれたようだな、帰るじ───」 グシャァッ!!
ネストルが宣言するようグレイに言おうとすると、何かを引きちぎる音が響く。
腕が無い、グレイに差し伸べたこの腕が、なぜグレイの手に──
ドバババッ!!
グレイがネストルの腕を千切ると、顔面に2発、両胸に2発と肉体に拳を打ち込む
パシュッ!バギャァン!
ペキ…ペキ…
殴られ、よろけるネストルの顔に手で押し込み、コンクリートの地面にめり込むほどの力で後頭部から打ち込まれる。
地面にはぶつけられた際の塵が舞い、その大きな音に周りの人間が騒動を一目見ようと集まる。
「なんだ?」「事故か?」
「凄い音が聞こえたけど…」
辺りを人間が囲むように集まり、野次馬として状況を見ようとする。
グレイは逃げようとする2人を見て言う。
「テメェらのボスは大体見当がつく、ならやることは一つだ。」
「ボスを吊るして、目の前でその仲間を皆殺しだ。」
ポケットに手を入れ、激しく、だが静かな怒りを込めて伝える。
小暮はゲートを開くと、そこから銃を取り出し始める。
それを見て途端に怯え逃げ出す人々。
赤い肌の二人も例外では無かった。
バァン!バァン!
重い銃声が鳴ると、赤い肌の二人はバリアを展開する。
だが、展開したバリアは銃弾により貫通する。
ドシュッと胸に弾が入り、心臓を貫き、二人は死亡した。
辺りが静かになり、風の音のみが小暮とグレイの耳に入る。
小暮が煙の姿に戻り、手を前にかざす。
「一度帰ろう、それも持ってこないとな。」
3人の遺体を片手で指さしそう言う。
グレイは拳を強く握り、後頭部が割れて血を流すネストルを立って見つめる。
小暮の言葉を聞くとグレイは顔を俯けたまま、小暮の元へ向かう
「記憶を読んでくれ、今、頼む。」
「コイツだけでいいから…ッ!」
小暮の肩を強くつかみ懇願する。
その目には激しい怒りの炎が滾っていた。
「…総統が何者なのか、心当たりがあるんだな。」
小暮はグレイの手をゆっくり退け、ネストルの遺体へ向かう。
遺体の近くでしゃがみ込み、耳の上辺りに手を当てる。
すると小暮の手は白く光り出す。
数秒かした後に小暮は悟ったような感じでグレイを見る。
「時間は無い、名前だけ言うぞ。」
グレイは頷き覚悟を決めた表情をする。
辺りではパトロールカーの色が何重かに鳴り響いていき、グレイと小暮を探す準備をしていた。
「名前はファリス。」
「おそらく、君の親友を殺し、前の組織を裏切った張本人だ。」
それを聞いたグレイは顔を俯け、歯を食いしばる。
拳が震え出し、その握る力は強くなり青い液体が流れだす。
───親友を殺して、組織も裏切り、仲間を殺した。
グレイの心は怒りや憎しみと言った負の感情で埋め尽くされていた。
「……奴の仲間と奴自身を皆殺しだ。」
静かにそう呟くと、小暮の方を見る。
「一度戻るぞ。」
グレイが急ぐよう言うと、小暮は頷いてゲートを開く。
「我々は自由だ、友の自由のためなら協力もしよう。」
グレイに見向きそう小暮は宣言する。
総統ファリスとの戦いが始まろうとしていたのだった。
そして、グレイと小暮は組織へ戻る。
これは組織が、それぞれが自由に動くよう、鎖を外していく物語───
ファリスの詳細について少し語りましょう。
10年前の戦争の原因は「グレイが居る組織の行動」であるが「グレイ率いる軍団の行動」であるのが正しいです。
詳しくは未だ言えないですが「グレイの行動がファリスの失念に繋がった。」というものです。
ファリスは組織所属前の世界は、今回のネストル同様勇者であり、魔王を倒した人物です。
魔王の詳細は今は省きます
ですが「グレイ以下と言える程の身体能力」「時間を操る能力」
十分以上な程ですが、それが魔王です、一応後に出てきますよ、魔王と明言するのはまだ先ですが。
ファリスはその魔王を倒し、人生を変えます。
後に色々あり、グレイの居る組織に同時に入隊しました。
今はそんなところです。
ネストルはシンプルに勇者です、境遇はファリスと同じ、それが彼女です。
グレイはやりすぎかもしれないですが、彼は徹底的にやるのでそこはキャラとしてってとこですね。
復讐と勇者、どっちが強いんでしょうか?