第12話 ゼニジャー☆将軍の愛を守れ! の巻
果たしてゼニジャーは無事なのか?そして、ふたたびゴンゾウに会えるのか?
不意を打たれたゼニジャーは、刀の側面に命中し、まるでバットで打たれた球のように、遠くへ飛ばされてしまった。
そうとは知らないゴンゾウは、千両箱を木の根元へ埋めると、ゼニジャーが戻って来るのを待った。
「イヤな予感しかしねぇ……いや!あのゼニジャーに限ってそんな事は……」
「それで、ゼニジャーさんはどうなったんですか?」
目をパチクリさせながら、エン坊がたずねた。
太陽はすっかり身を隠し、月がやわらかな光を放っている。
ゼニジャーとゴンゾウ、二人が生きた江戸時代。そこで起きた出来事を、エン坊だけでなく、アリのアチャもリリーもノンも、猫のにゃん太も、みんなかたずをのんで聞いていた。
「恥ずかしながらオイラは、刀で打たれた時気を失って、目が覚めたらそこにエン坊が居た、というワケじゃ」
「なんだなんだ!じゃあゼニジャーは、江戸時代から今までずっと気を失っていたってわけか」
にゃん太の言葉に、ゼニジャーは恥ずかしそうにうなずいた。
「じゃあ、この辺りにその茶室があったのですね」
辺りをグルッと見渡しながら、エン坊は当時を想像していた。
それにつられるように、ゼニジャーもグルッと見渡すと、遠い目をした。
「通りの向こうにある公園が、城のあった場所で、茶室があったところは、池になっている」
昔はヒョイと屋根に飛び乗っていた、なんて信じられないほど、デップリと太ったゴンゾウが、やわらかい口調で答えた。
「えらく変わっちまったなぁ~」
しみじみとした声が、ゼニジャーからもれた。
「それより、ゴンゾウ親分が運び出した千両箱はどうなったんすか?}
そう言って、不適な笑みを浮かべているのはにゃん太。
するとゴンゾウは、素早く背中の刀へ手をやると、いっきにそれを抜いてにゃん太に向けた。
「お前もこの銭を狙ってるんだな」
「違う違う!銭なんか狙っちゃいないって。第一、猫のオレが銭なんか使えませんて!ほら、猫に小判ってことわざ、知ってるでしょう」
にゃん太はあわてふためいた。
「おお、そうだったそうだった。ワシももうろくしたのぉ」
そう言ってゴンゾウは、刀を背中のサヤへと戻した。
「それで、ゴンゾウ親分は、あれからどうなったんじゃ?」
「あれからワシはな……」
ゼニジャーの問いに、ゴンゾウは静かに話し始めた。
なんとか将軍が残した千両箱を運び出し、木の根元へ埋めると、その木の上で、ゴンゾウはゼニジャーを待つ事にした。
しかし、すぐにやって来たのは、大老井伊と老中阿部の手下だった。
その様子をゴンゾウは、木の上でながめていた。
ちょうどゴンゾウが隠れている木のところへ来ると、手下どもは「くっせ~!」と声を上げ、鼻をつまみながら足早に去って行った。
実はゴンゾウ、千両箱を埋めたあとに、落ちていた馬糞をまいてカモフラージュしていたのだ。
こうしてなんとか追っ手から逃れたゴンゾウは、その後、将軍の意思を受け継ぎ、一人で貧しい人へお金を配って回った。
しかし、ゼニジャーを失った事で、お金達からの情報を得られなくなったゴンゾウは、自分で貧しい人達を探さなければならなくなった。
人づてに聞いた場所に出向いたり、勘を頼りに歩き回ったりと、出来る限りを尽くしたが、やはり、いろんな人の間を行き来しているお金達が持っている情報には、とうてい及ばなかった。
それでもゴンゾウは、いつか必ずゼニジャーが戻って来る。戻って来れば、ゴンゾウでは見付けられなかった貧しい人達を見付け出す事が出来る。そう信じて待った。将軍の愛が詰まった千両箱を守りながら待ち続けた。
「で、結局将軍様から預かった銭を全部配り終えないうちに、じじいになって、昔みてぇにヒョイと屋根に飛び乗る事も出来なくなって、そのうちポックリ逝っちまったってワケだ」
「すまねぇ、ゴンゾウ親分。オイラのせいで……」
「そうじゃねぇ!結局ワシが能無しだっただけの事よ。ゼニジャーは本当によくやってくれた!ワシは感謝してる。きっと将軍様も同じ気持ちだ。心配するな」
と、その時、急に辺りが騒がしくなり、チラチラと明かりが差し込んで来た。その途端、にゃん太はジャンプして木の上へ、アリのアチャとリリーとのんは草の陰へ隠れた。
「あの辺りじゃなかったか」
それは人間達の声。懐中電灯で照らしながら、こっちへやって来る。
「あの辺で金属探知機が反応したんだ。絶対に埋蔵金が埋められてるんだよ」
世間では、この辺りに埋蔵金がある、と噂が広まっていたのだ。
「くっそ!将軍様の銭を狙ってやって来たんじゃな!将軍様の愛が詰まった大切な銭じゃ!渡してなるものか!」
ゼニジャーの魂に、再び火が付いたのだった。
~つづく~
続きをお楽しみに〜☆




