元の知識で最強無双ハリケーンタイフーン災厄にして無敵
OVERLOOK……一時期は数千万人の人間が切磋琢磨していた時代もあったようだが、今では風前の灯。一部のマニア以外はプレイしていないオンラインFPSとなったゲームだ。
俺はそこではグランドマスターという一番高いランク帯に居た。
底辺ストリーマーとして活動する俺は今日もランクを回す日々、夜勤明けにランクを6時間プレイしていた時、ふと気絶するように眠ってしまった。
「やばい!!インキューしたまま寝てしまった!!」
咄嗟に目が覚めたら何かがおかしい
今までに使っていたものよりも性能の悪いPCに、60FPSしか出ないモニター、安いマウス、100円ショップで買ったのかと疑いたくなるようなマウスパッド。すべてが俺の持ち物ではないはず……だが同時に俺の物であるという感覚もあった。
「おいおい、元々あったPCと周辺機器はどこに行っちまったんだよ……」
インキューしたまま眠ってしまったことを思い出し、急いでスリープモードになったモニターをつける
「なんだよこれ……俺が……ブロンズ3……??」
自分自身のアカウントであることは間違いないが、バグなのか戦績がブロンズ3まで落ちていた。そしてメインピックは最弱と言われるモイラ。どうなってやがる。
「ちょっと待て、なにか思い出してきたぞ。俺は……ブロンズだ……でも確かにグランドマスターだった時の記憶もある……これはなにかで見たことがある……これはパラレルワールドの世界に来てしまったのか……??」
周りを見渡すと見慣れない雑誌が置いてあることに気づいた。パラパラとめくってみると
【期待の新星ダイヤ3に到達した日本人が現れる】【猛者が蠢くダイヤ帯についてインタビューしてみた】
「この世界はダイヤ3で猛者の部類に入るんだったな、うすらうすらと記憶が重なっていく感覚があるぞ……」
とりあえずランクを回す、その瞬間に即マッチング。今まで検索時間が20分以上かかることだってあったのになんて早いんだ……
「またブロンズから駆け上がるか」
元グランドマスター、現ブロンズ3の逆襲が今、始まる