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ねぇママ、ぼく、けがしたよ

作者: 靜加

「ねぇママ〜、なんかおてていたい」

「え?どうしたの?」

ママはびっくりしたかおで、ぼくのてをみました。

「あちゃ〜、怪我しちゃってるね。絆創膏貼ろうか。」

ママはそういって、ばんそうこーをとってきて、ぼくのてにはりました。

「大丈夫。これでもう痛くないよ。ね?」

ママはぼくのてをやさしくなでたあと、ぼくをみてにっこりわらいました。

「うん!」

いたいのはなくなってないけど、なんとなくだいじょーぶになったきがしました。


ぼくは、もうすこしでおにーちゃんになります。ママのおなかがおおきくなって、なかにいもーとがいるそうです。

「産まれるまであとちょっとだよ〜。楽しみだねぇ」

ママはいもーとのはなしをするときいつもニコニコしてます。

「うん!ぼくもたのしみ!」

ママがたのしそうだから、ぼくもたのしみです。

ママは、いもーとを彩ちゃんってなまえにするって言ってました。

かんじも、よめないけどみせてもらいました。あかりちゃんはちいさくて、かわいくて、たいせつなぼくのいもーとです。

きっとすごくかわいいおんなのこです。

「彩ちゃんが産まれたら何したい?」

ママはニコニコしたまま、ぼくにそうききました。

「う〜んとね、おそとでいっしょにあそぶ!それからね、いっぱいやさしくする!」

ぼくがそういうと、ママはうれしそうに

「うんうん、そうだね。いっぱい優しくしてあげてね」

といいました。

「はーい!」

はやくうまれてきてほしいです。



ママがびょういんにおとまりすることになりました。ぼくは、ママがよくてなきました。パパがいるのはうれしいけど、ぼくはやっぱりママといっしょにいたいです。



ママがおうちにかえってきました。

あかりちゃんもいっしょです。

うまれてきたあかりちゃんは、ほっぺがまっかで、やわらかくて、かわいいです。

パパもママもわらってます。

ぼくもわらってます。

あかりちゃんをみて、ニコニコわらってます。

とってもとってもかわいいです。


「俺の休日はどこにあるんだよ」

「あなたは毎日ちゃんと寝て、ご飯も3食たべてるじゃない!私はいつも朝から晩までほとんど寝れずに家事育児に追われてるのよ⁉︎なんでわかってくれないのよ!」

「俺だって仕事で疲れてんだよ‼︎」


ママとパパがけんかしています。

いつもはママがあやまってすぐおわるけど、きょうはふたりともおこっています。

あかりちゃんはねています。

さいきん、ママはずっとあかりちゃんのちかくにいます。

ぼくもあかりちゃんといっしょにあそんで、ママがねれるよーにしてあげたいけど、あかりちゃんはママがいないとすぐなきます。

ママはあかりちゃんがなくと、怒ったようなかなしいようなよくわからないかおで、あかりちゃんをみます。

パパはいつもおしごとがたいへんだから、おはなししようとするとおこられます。





「「「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデーディア彩ちゃん、ハッピーバースデートゥーユー」」」

「おめでとう!彩ちゃん」

「おめでとう!」

「あかりちゃん、おめでとう」

「うー、あぅ」

きょうはあかりちゃんのおたんじょうびです。

ママもパパもあかりちゃんも、うれしそうです。

あかりちゃんはさいきん、あーとかうーっていうようになりました。

とてもかわいいぼくのいとうとです。




みんなみんな、あかりちゃんのことをみます。

ぼくは、いいおにいちゃんだねとほめられます。

でも、ママもパパもあかりちゃんのほうがすきなので、ぼくにはあんまりあそんでくれません。

ぼくばかりがおこられます。

ぼくばかりがこわいかおでどなられます。

きっとママもパパもぼくのことがきらいなんだ。



ぼくはきょう、ようちえんでけがをしました。

ちがでていたかったけど、ママがやさしくしてくれました。

しんぱいしてくれました。

ママのおこってないかおをちかくでみたのはひさしぶりなきがしました。



ぼくは、ひとりでいることがおおくなりました。

よつちえんにいったらおともだちがいるし、おうちにはあかりちゃんがいます。

でも、ママはぼくをあんまりみてくれません。

あかりちゃんはママといることがおおいのでぼくはひとりになります。

すこし、さみしいです。









ぼくはさいきんじぶんでけがをできるようになりました。

あたまをかべでわざとぶつけたり、ゆびをかんだりします。

でも、ママはきづいてくれないです。

かなしい。いたい、かなしい、さみしい、いたい、かなしい、さみしい、いたい。





ドンッ、ドンッと壁を力強く叩いたような音がして、私は彩を抱いたまま音のする方へ向かいました。そこには、何も見ていないような虚な目で壁に頭をぶつけ続ける息子の姿がありました。

「こーくん⁉︎何してるの⁉︎」

私がそう驚きを隠せない声で問いかけると、息子はゆっくりと私の方を見ました。何度も打ち付けられた額には血が滲んでいました。

私の頭の中は疑問でいっぱいで、ひどく混乱していました。ですが、私が何か聞く前に息子はにっこり微笑んでこう言ったのです。




「ねぇママ、ぼく、けがしたよ」

私は出産後とかに育児のことを教えるならば、1番最初に教えるべきはおむつの変え方でも子どもとの接し方でもなく、少しならば手を抜いても良いということと適度な手の抜き方なのではと思います。抜きすぎもだめですが完璧なんていらないんです。完璧なんていらないからただ構ってほしい、一緒にいてほしい。そう思う子多分ですが多いと思います。小さい頃に一度でも『自分より妹・弟のほうがいいんだ』とか『僕・私はいらないのかな?』と思ってしまうとそれがずっと残ってしまうことがあります。(私がそうなので。)お子様がいる方でこの話を読んで、何か感じることがあったのなら、何か一言お子様に伝えてあげてもいいかもしれませんね。お子様がいない方も、自分の周りに家事育児で悩んでいる人がいたら声をかけてみようかなと思うきっかけにこの話がなればいいなと思います。(もちろん、悩んでいる人がいないのが1番いいですけれど。)

上の子への優しさや愛情が全くないなんてことはないと大きくなればわかります。ですが、小さいうちはわかりやすい行動や言葉にしないとわからないんです。そして、まわりにいる子どもとよく比べてしまいます。なので、どうか言葉にしてあげてください。

このお話のようなことが、現実で起こらないことを祈ります。

長々と失礼しました。最後に、ここまで読んでくださって誠にありがとうございました。

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