双子の寄り添う場所
血が紅く滴っている。
何事が起こったのか冷静に判断する。
私は運転を誤ったのに気付く。
黒猫の横断を避けようとして、右に逸れ、そのまま崖から転落したのだ。
狐神社からの帰りだった。
隣にいたはずの憂理に手を伸ばす。
そ、そんな…。
憂理はほとんど息をしていない。
賢そうな憂理が岩場で頭を打ち真っ赤な雫と一緒にぐったりと倒れていた。
私は自分の体の異変に気付く。
何だ?これ。
大きな岩が私の胃を貫いている。
息が...でき...な。
『もし、自分の命を犠牲にすることで』と私は願う。
『憂理が生き残れるなら、神様、お願いです』
『憂理を生き返らせて下さい』
意識が遠ざかっていった。