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六話 鏡に写る自分
またあの夢だ。だけど、いつもと違う。白い獣達は、いない存在だったはずの俺を避けながら遊んでいる。
あの時の白い獣が俺を見つめていた。尖った耳に、気持ち良さそうなふわふわした胸毛と尻尾、しっかりと引き締まった胴と四本足。よく見ると格好良いと思う。
『聖獣の卵よ。これからもあの者を護るか?』
「護るよ。ところで、聖獣って何だ?」
『ただ一人の契約者を護る存在。』
「契約していないから、俺は卵なのか?」
『否。お主はまだ契約出来るまで成長しておらぬ。故に卵なのだ。』
「そうか。」
『本当に護るに値する存在か、しっかりと見極めよ。』
嫌な言い方だな。
「わかった。」
目が覚めると、いつもより違和感が小さかった。もしかしてと思い、起きてみる。…獣の姿だ。そう言えば、この姿の自分を知らない。鏡で見てみると、そこには夢で先程まで話していた白い獣より小さいが、彼と瓜二つの自分がいた。