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五話 人間ではない
他の先生達と軍人数人がやって来た。誰か逃げて助けを呼んでくれていたのだろう。俺は獣の姿のままだ。
「聖獣だ。」
大人の誰かがそう言った。そして俺を見て警戒する人、驚愕する人がいた。そんな中、リリィが俺に近付いて来る。それを止めようとする大人に大丈夫と言って、更に近付いて止まった。
「ルカなんだよね?」
「そうだよ。」
話せるとは思わなかったが、話せるものなんだな。
人間の姿に戻っ…なった方が良いだろうか。念じてみる。…なったのかな。見える世界が高くなった。違和感も獣の姿より強くなった。
大人全員は驚愕、クラスメイトは安堵の表情を浮かべていた。
「戻ってる?」
もう俺の中では戻るとは違うのだが、敢えて使う。
「うん。」
リリィは優しい笑顔、だけど複雑な表情を浮かべていた。