三話 危機
今日は森の中で課外授業だ。クラス全員と担任、副担任で来ている。このクラスの担任は魔法、副担任は剣術が得意だ。学校近くのこの森で何かがあるなんてことはないだろうけど、もしもの時には頼りになる組み合わせだ。
今日は初めての課外授業。薬草採取だ。課題はモンスターに襲われた際に必要と思う効果を持つ薬草を一つ採ること。制限時間は半刻。襲われたと言っても状況で必要なものは変わってくる。毒、麻痺、深傷、腐食…全部に効く薬草がそこら辺にあるわけがない。ただの回復効果だったら確実な医療を行うまでの繋ぎになるだろうか。
漸く薬草を見つけて戻ってきたは良いが、この状況はいったいどういうことなんだ。先生達が倒れている。周りには怯えたクラスメイトと盗賊だろうか?
リリィは…クラスメイトを守るように立っている。そんな彼女を守るようにカミユと数人の取り巻きが盗賊に攻撃するところだった。俺も加勢しないと。魔法は使えないけど、剣術は出来るんだ。
「リリィ!皆を連れて逃げて!」
彼女が俺に気付いた。
「駄目!まだ戻ってきていない方がいるの!それに見捨てられない!」
「見捨てるんじゃない!助けを呼んでくるんだ!残りは、っが!?」
「しゃべってる余裕なんてないだろぉー?」
盗賊の蹴りが俺の横腹に入った。
「剣で戦ってたはずって顔だなぁ。使えるもんはぜーんぶ使うんだよっ!」
そう言って、また俺を蹴った。盗賊はニヤニヤ笑っている。蹴りだけで飛ばされたんだ。笑われるのも当然か。それだけ俺が弱いってことだ。でも護らないと。リリィはまだ逃げていないんだ。