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二話 夢
またあの夢だ。
沢山の白い獣がいる。耳が尖っているもの、丸いもの、角があるもの、ないもの。みんな姿は違うけど、毛がふわふわしている。
地面で遊んでいる獣もいれば、空で遊んでいる獣もいる。凄く楽しそう。じゃれあったり、追いかけっこをしたり…あ、寝てる獣もいた。
そんな中、俺は存在していないかのように、獣達からは見向きもされない。やっぱり、存在していないのだろう。俺の身体を獣がすり抜けていくんだ。
それをいつもただ見ているだけ。寂しいとか、遊びたいとか思い始めた頃に夢が終わる。
目が覚めると、いつもの自分の部屋。そして、何かが違うという違和感。あの夢を見るといつも感じる。けど、何が違うのかわからないんだ。ただ、自分の身体が自分のものじゃないみたいな、おかしな感覚。
夢を見たときはいつも違和感を残したまま、日常に戻っていく。