竜崎伊織の独白
強くなりたい。
その思いは中学2年生の時に芽生えた。
それから俺は確かに強くなった。
誰にも負けない腕っぷしを手に入れたし、勉強も中学ではトップだった。
喧嘩に明け暮れては、帰って勉強する日々。
全ては1人で俺たちを育ててくれる母親と、虐められていた妹を護るため。
そんな思いからだったはずだ。
なのにいつからかその思いは、暴力を振るうための言い訳になっていた。
他人への劣等感をも暴力へと変えた。
そんな俺を見て母は何も言わない。
呆れられたのだろう。
妹は俺を心配するように見てきた。
こんな兄は嫌なんだろう。
劣等感を拭っていたはずの暴力は、いつしか劣等感を生み出すものに変わっていた。
けれどある日、喧嘩を終えてボロボロになって帰ってきた時、涙を流す母に「ごめんね」と言われた時、俺はようやく気づいたのだ。
俺が母を護りたいと思う以上に、母は俺を護りたかったのだと。
だから変わろうと決心した。
元々少し遠くの高校へ進学するつもりだったし、そこは成績上位であれば相当な額の学費援助があったし、運良くそこへ進学する同じ中学のやつはいなかった。
変われる。
そう思っていた。
入学式であの事件を起こすまでは。
そしてその時、ある人物に出会うまでは。
番外編はこれで終了です。次回から第二章始まります。
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