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蓮の両親との話し合いが終わった一週間後には、わたしの両親のところに蓮は挨拶に来た。

そこには当然のように兄も同席していた。兄は新居自慢をしていたが、四十年ローンの話までするので恥ずかしかった。普通は四十年ローンの話は笑い話になるのだが、蓮は驚きで声も出ないようだった。それはそうだよね。蓮の持ってる車でこの家のローンは支払えるもんね。

うちの家族と蓮は顔見知りなので蓮が来ても初めは婚約の話だとは思っていなかったらしい。兄の新居自慢が終わった時に蓮がさりげなく切り出した。


「菜摘さんとの結婚をお許しください」


もっと色々と飾った言葉で挨拶するのかと思っていたけど、蓮の挨拶は意外と普通の言葉だった。

兄も両親もフリーズしたかのように固まってしまった。まさかわたしがこんな大物を釣り上げるとは思っていなかったらしい。

もちろん誰も反対することなく、すぐに結婚式の話になった。披露宴を二回もすることにげんなりとした表情になっていたけど、仕方ないと言う感じで頷いている。


「兄さん、披露宴二回も無理なら無理だって言っていいのよ」


「披露宴のお金は全部こちらで用意するっていわれて反対なんてできるわけないだろう。おまけに移動が大変だろうってホテルも用意してくれるんだ。いたれりつくせりじゃないか」


兄と兄嫁は高級ホテルに泊まれるのが嬉しいみたいで、披露宴に二回出席するのも我慢してくれるみたいだ。わたしとしては家族に反対してもらいたかっただけに蓮の用意周到さにため息しか出ない。高級ホテルに泊まれるだけではなく、高級レストランでの食事や披露宴で着る服も蓮の知り合いの所で用意してもらえるそうだ。しかもエステも三人で行って来ると良いと、これも用意してくれたのだ。

兄嫁はもちろんのこと母までもがエステに行くことにこれほど喜ぶとは思わなかった。蓮は女を味方につけるのが上手すぎないだろうか。




「なあ、本当にあの家は四十年ローンなのか?」


実家での挨拶も終わり、帰りの車の中で蓮が兄の新居のことを話して来た。

あの時の蓮の顔は見ものだった。四十年ローンだなんて考えられないのだろう。


「庶民では普通のことだよ。兄の喜んでる顔を見たでしょ。新居を建てて嬉しいんだからいいのよ」


「それは見ててわかったけど、ローンの利子を考えると俺が立て替えた方が安くつくんじゃないかな」


確かに利子を払うのは馬鹿らしい気もする。でも兄は蓮に立て替えて欲しいとは思っていないはずだ。わたしが気兼ねをするとわかっているし、義弟にお金を借りるのは嫌がると思う。


「蓮の言いたいことはわかるけど義兄としてのプライドとか気にする人だから気にしないで。万が一払えないようなことになったら、助けを求めて来るかもしれないけどそれまでは知らん顔でいいよ」


兄のことだから無理な返済方法はしてないはずだから大丈夫だとは思う。でも人生って何が起こるかわからない。サラリーマンにはリストラとかもあるから、もしローンが払えないときはわたしも助けてあげるつもりだ。


「そう言うものかな」


「そう言うものなのよ」


わたしが断言すると蓮は笑った。


「兄妹っていいな。俺もほしかったよ」


「蓮には兄弟とかわらない関係の一也さんがいるじゃないの」


わたしには蓮と一也さんの関係の方が羨ましい。同性の兄弟の方が絶対に良いと思う。いろんな事を相談できるもの。


「そうだった。一也さんにも挨拶に行かないといけないな。前から言われてたんだけど、なかなか時間が合わなくて伸び伸びになってたよ」


蓮だけでなく一也さんも忙しいから日にちが合わないのだ。わたしも一也さんには会いたいのでいくらでも時間は合わせるつもりだ。


「一也さん相変わらず魅力的なんでしょう? 白衣姿が似合ってたもの。そういえば蓮のお父さんの白衣姿も素敵だったわ」


「菜摘は白衣姿だったら誰でも素敵に見えるんだろ」


蓮が呆れたような声を出す。

確かにそうかもしれない。でも一也さんがカッコいいのは本当のことだ。やっぱり従兄弟だからかな。蓮と何処と無く似てるんだよね。


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