表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/46

41


 なんだかなぁと思った。蓮の言ってることはとてもカッコいい。でも現実的じゃない。それなのに結局、私は彼の手を取ってしまった。

 何故なのか聞かれても答える事は出来ない。だって衝動的に手が出ていたから。ダメだよって心の声が聞こえたのに彼を振ることができなかった。わたしはやっぱりバカなんだなぁと思う。

 隣で寝ている蓮の寝顔はやっぱり可愛い。実際の年齢より若く見える。髪を下ろしているからだろうか。これが私だけのものになる。本当に?

 蓮が起きる前に帰ろう。結婚をするって言ったけどもう一度冷静に考えたい。

 隣でゴソゴソと着替えても蓮は目覚めることはなかった。この間みたいに起きたらどうしようかと思ってドキドキしていたので、ホッとした。

 ユカと彩乃にはどう言えばいいのか。ユカには報告しなくてもきっと蓮から聞くだろう。でもわたしの方からも報告しとかないとブツブツとうるさく言われそうだ。

 彩乃が一番厄介だ。反対される事はないだろうけどバカねと言われそう。



『やっぱりね、そうなるだろうと思ったわ』


 彩乃はLINEでそう返して来た。さすがに栗原という男の存在には驚いていたけど、蓮が邪魔をしに来るのは想像していたようだ。


『どうして蓮が来るってわかったの? 蓮は外国にいたし、婚活パーティーのこと知らなかったのよ』


『外国なんて飛行機があればすぐに帰ってこれるじゃない。婚活パーティーのことはそれとなく朝日奈さんの耳に入るように動いたからね』


 彩乃の言葉に耳を疑った。彩乃はわたしと蓮の関係に反対していた。つい最近だって嫌がっていたはず。それなのにそんな事をするなんてびっくりだ。


『どうしてそんな事をしたの? 蓮のこと反対してたと思ってたのに』


『反対だけど、菜摘は彼としか付き合う気がないみたいでしょう。それに朝日奈さん、もう菜摘を悲しませる事はしないって私にも会いに来たんだよね。信じられないってその時は言ったんだけど、菜摘が一生独身でいるよりは、一度だけ信じてみようかと思ったのよ』


『蓮、彩乃に会いに行ったんだ。知らなかったわ』


 LINEの文字ではよくわからないけど彩乃は蓮が自分にまでわざわざ会いに来たことに驚いて心を動かされたみたいだ。


『でもわたしはまだ本当にこれで良かったのか、うじうじしてるの。高校生の時の方が悩まなかったような気がするわ。あの頃は成るように成るって思ってた。今はどうしてこんなに悩むのかな』


 LINEだと書くのに時間がかかるけど、考えながら打てる。


『菜摘だけじゃないわよ。誰だって悩むんだよ。恋愛ってそういうもんなんだから。特に高校生の時と違って、大人の恋愛って結婚とか色々しがらみもあるから仕方がないわよ。何かあったら今度こそ縁を切ってしまえばいいのよ。頑張れ! 応援してる』


 まさか反対されることはあっても彩乃に応援してもらえるとは思っていなかったので驚いてしまった。


『応援、ありがとう。まだ悩んでるけど頑張ってみるわ。でもこれからも相談にのってよね』


『もちろんよ。私はいつだって菜摘の味方だからね』


 ユカは蓮の味方をしそうだから、彩乃が相談にのってくれるのは嬉しい。

 物語と違ってプロポーズを受け入れてもハッピーエンドには程遠い。でも、蓮とは前向きに付き合っていく。今度は自分の気持ちを隠すことはしないでいいのだから気が楽だ。コソコソしなくていいのは当たり前の恋愛なんだけど、不思議な気がする。

 あとはユカと蓮の両親の反応だ。蓮は大丈夫だって言ってたけど、本当に賛成してもらえるのか不安だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ