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38 蓮side


「どうして菜摘はそんなこと言うんだよ。俺のことは本当にどうでもいいのか?」


俺はどんなことをしても菜摘を手に入れる。菜摘が婚活パーティーに参加すると知ってから頭に血がのぼって下がらないままだ。もう二度と手を離すつもりなどないのに菜摘は俺から離れようと必死だ。


「どうでもいいなんて言ってない。でもわたしと蓮は住む世界が違うの。それに……」


菜摘はまだ手首が痛むのか湿布をしている腕を触っている。それを見ているともう少し早く助けに行くことができていたらと後悔でいっぱいだ。飛行機が遅れなかったら、いや車での移動が渋滞に巻き込まれることなどいつものことなんだからヘリを使えば良かったのだ。俺はヘリを使うことを思いつかなかった。榊に指摘されて初めてヘリという移動手段を思い出したくらいだ。おそらくこれがユカ相手だったら、冷静に考えることができてヘリをすぐに思いついたはずだ。これを言えばきっと菜摘はまた誤解するだろう。でも俺に冷静さを失わせることが出来ると存在が菜摘だっていう事に気付いていない。俺はいつだって菜摘のことを思うだけで熱くなってしまうのに。


「ユカのことならこれからは全部高木に任せるよ。小さい頃の癖でなんでも俺が面倒を見てたけど、もうユカも結婚もするんだし兄のような気持ちもおしまいにするつもりだ」


これは前から考えていたことだ。なかなか実行に移せなかったけどもう高木にも話している。高木は嬉しそうだった。ユカが気に入っている車とマンションも高木が買い取る事になった。


「出来ると思ってるの? 無理だよ。蓮はユカのこと手放せないよ」


菜摘は頑なだ。それだけ俺とユカの関係が菜摘を傷つけていたのだろう。なぜその事に高校生だったあの頃、気付いてあげられなかったのだろうか。もっと冷静に菜摘を観察していれば今の俺たちは変わっていたのかもしれない。結婚して子供もいて……、いや、これからだってまだ間に合うのだ。


「菜摘の方が間違ってるってこれからの長い人生で証明してみせるよ。だから俺と一緒になって欲しい」


「それってまるでプロポーズみたいだよ」


「まるでじゃなくて、プロポーズだ。俺は今、菜摘にプロポーズしてるんだよ」


本当はもっとロマンティックにプロポーズする予定だった。菜摘に断られることが怖くて愚図愚図している間に高級レストランの予約も何度も日にちを変えてキャンセル料だけを払い続けている。


「ありえないよ。蓮がわたしと結婚なんて」


「この間も言ったけど高校生の時だって本気だった。両親に紹介するつもりだったって言っただろ? 俺はなんでもない相手を両親に紹介なんてしない。そんなことをしたら玲子さんにどんな目に合わされるか。とにかく真剣にプロポーズしているんだから返事が欲しい」


自分でも卑怯かなと思う。弱っているところにつけ込むような気がしないでもない。でもこのチャンスを逃したくない。

俺は今度こそ菜摘を手に入れる。この間は逃げられたけど今日は逃さない。時間が欲しいとか言われて目を離した瞬間に婚活パーティーに参加するのだからたまらない。もう時間なんてあげられない。


「へ、返事って言われてもそんなにすぐに決められないっていうか。ほ、本気なの?」


「俺はいつだって本気だ。ねえ、何がいけないの? ユカのことだって妹のような存在だって説明したし、今後は高木に全てを任せる。親との同居は嫌だろうからしばらくはここに住んでもいいし新居をどこかに建ててもいい。もし日本ではなくアメリカに住みたいのなら住む場所はアメリカにしても構わない。そうだ結婚相手には年収や貯金額も求めるものだって何かの記事に書いてあったな。俺の年収は……」


「ち、ちょっと待って。そんなのいいから。蓮の年収や貯金額なんて聞かなくても多いって知ってるから……」


俺の年収を知っていると菜摘は言うけど貯金の額まで知っているとは思えない。これはもしかして断るつもりだろうか。もしかしてなんて実は思ってない。本当のところ断られる確率の方が高いとさえ感じている。それなのになぜプロポーズしたのか。自分でももっとデートとかして時間をかけるはずだったのに婚活パーティーに参加されたことがかなりショックだった。そんなに結婚したいのなら俺でもいいだろって思ってしまったのだ。


「と、とりあえず婚約だけでも良いよ。結婚を前提としたお付き合いってやつだ。色々とダメな部分とかあったら解消すればいい。菜摘、お願いだから俺にチャンスをくれ、じゃなくてください。絶対に幸せにすると誓うから」


菜摘はただただ困惑しているようで、意味もなく湿布をしている腕を触っている。このプロポーズを断られたって諦めるつもりはない。それでも俺はドキドキしている。心臓がどうにかなりそうだ。


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