表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/46

25


蓮が帰ってくるとメールで知らせてくれた日から三日。忙しいのか連絡はない。チェーンをして警戒していて損をした気分だ。

 いつも焦らされるのはわたしの方だ。蓮はそんなつもりはないのかもしれないけどわたしの方は気になってしまう。

蓮と関係を持ってしまった高校生の時もそうだった。

 あの頃のわたしは蓮を中心に世の中が回っていると思っていたほど蓮に惚れていた。今思えば若気の至りだってわかるのにのぼせ上がっていたわたしには今のわたしが過去に行って止めたとしても蓮との付き合いをやめないだろう。

 夏休みということもあってメールでいつも呼び出されていた。一応勉強会という名目があるので、蓮からメールがあるといそいそと勉強道具を持って蓮の従兄弟のマンションに直行した。

 それはもう蓮を焦らすことなど全く考えていなかったわたしはメールで示されている時間に遅れることなく通っていた。

 ところが蓮は時間に遅れることもしばしばありわたしはマンションの前でよく待たされたものだ。酷い時には一時間後にメールで『ユカに呼び出されて行けなくなった』とドタキャンされたこともある。

 唯一相談できた彩乃には


「最低だよ。別れた方が良い」


と何度も忠告された。

 それでも付き合っていたのはそばに居たかったから。愛されていないと分かっていても、それでもそばに居たかった。

 

(若かったなぁ)


 あの頃の自分を振り返ればその言葉しか浮かばない。まあ、流石に半年もその状態が続くと疲れて蓮から離れようとか考えていたんだけど、事故がなければ離れることが出来たかどうか怪しいと思っている。

 今はもうそんな関係は御免だ。結婚とか子供が欲しいとか思ってるわけじゃないけど、不毛な関係は懲り懲り。アメリカで蓮を思い出して泣いた夜を思うともう同じようには生きられない。

 だから蓮がどんなつもりでわたしのそばにいるのか知らないけど前と同じには絶対にならない。.....たぶん。


『えっ? ユカと仲直りした? 同じ会社で働いてる? それってどういうこと?」


彩乃からのLINEはびっくりマークだらけだった。わたしも彩乃には話しにくくて今まで黙っていたのだ。彩乃はユカが嫌いだったから。


「菜摘はユカにいいように利用されている」


 高校の時は彩乃によく言われてた。わたしとユカ幼なじみだったから、小さい時からユカと一緒に過ごしていた。だから利用されているとか思ったことは一度もなかった。同じく幼なじみだった蓮がユカ中心に動いていたからだろう。

 わたしの高校時代の友達のほとんどはユカと蓮のそばにいるわたしを羨ましがっていて、


「あの二人と幼なじみで羨ましい」


といつも言われていたので彩乃の態度は新鮮だった。その時のわたしは別にユカと蓮の側から離れたいとは思ってなかったけど、彼女たち以外の友達が欲しかった。普通の友達が。

 その頃のユカと蓮は彼らの世界だけの友人を持っていた。そして決してその友人たちをわたしに紹介しようとはしなかった。

 高校生くらいになると社交会というのがあるらしくわたしと蓮たちとでは行動範囲が違って来ていた。

 だから彼らとは関係のない、そして彼らを紹介して欲しくて近付いたわけではない彩乃とはすぐに仲良くなった。

 彩乃のメールを読むと懐かしくなった。当時を思い出すからだ。

 あの頃のわたしは馬鹿だった。彩乃の忠告を嬉しく感じながらも蓮とユカのそばから離れようとはしなかった。

 それがどんなに不毛な関係でも長年の習慣のような関係を変えることができなかった。

 そして蓮と関係を持ってからは特に離れることができなくなっていた。

 あの頃のわたしを思うと、彩乃が友達を続けてくれたのは奇跡かもしれない。彼女の忠告の全てを無視していたのだから。


『話せば長くなるから今度会った時に話すよ。でももう十年前とは違うから心配しないで! わたしも成長したから大丈夫』


『なんか余計に心配になった』


 大丈夫だって言ってるのに彩乃は相変わらず心配性だ。でもわたしはもう十代の女の子ではない。

 彩乃が守ってくれようとしなくても今度は大丈夫。蓮ともユカとも幼なじみだから縁を切ることは出来ないけど、以前とは違う関係が築けるはずだ。

 蓮が帰って来たらハッキリ言う。これが大事だよね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ