第3話・刺客
(ないっない。早く、早く探さなければ。沙樹が、佑が、蓮が・・・どうして、ウチなんだ。どうして生き残ったのがウチなんだよ!ウチなんかよりも、あいつらのほうが価値があったのに。絶対に生き返らせてやる。どんな手を使っても。全ての禁忌を破ったとしても!)
手を物凄い速さで動かしていき、とうとう・・・見つけた。
それは、絵本くらいの大きさと厚さで、普通の人ならば見過ごしてしまいそうな本だった。
(とうとう見つけた。これで、みんな生き返る。)
そして、そこにあった手順通りに・・・悪魔を召喚した。
その悪魔は、目が白かった。全てを拒絶するような・・・
「お前、悪魔か?人を生き返らせることができるという。」
焦ったように召還者が悪魔に聞いた。しかし、悪魔は冷静にこう返した。『お前、誰だ?』
「誰でもいいだろ。それより、本当に人を生き返すことができるんだよな?」
せっかちだな。と悪魔は心の中で呟きながら、言った。
『条件さえのめばな。』「どんな条件だ?すぐにのむから、教えてくれ」そんな急かした要求に、も悪魔はすぐに答えた。
『最近な、俺様の兄貴が、人を死神にして、死神どうしを戦わせるというバカなゲームをやり始めたんだよ。だから貴様には、そのバカなゲームを止めさせてほしい。それが条件だ。』
「どうやって。死神というのは、不死で身体能力が尋常じゃないんだろ?」
『あぁ。そこは安心しろ。死神にだって弱点はある。それに、貴様にもそれに対抗できるように、素晴らしい身体能力と、ケガさせることが出来る剣と死神だと判断できる右目をやろう。』
すんなりと進む契約を不思議に思った召還者が
「?なぜだ。どうして、そこまでしてお前の兄貴を邪魔しようとするんだ。」
『俺様はな、あいつの事が、色々あって憎んでいるんだよ。さて、条件をのんで死神を狩る人間になるか?』
「人を生き返らせられるならな。」
『出来るぞ。まぁ、残念だが、最初から生き返らせるこたぁできないな。だが、死神を10人殺したら一人ずつ生き返らせてやってもいいぞ。』
「よし、条件をのんでやる。」
『契約成立だな。死神を狩る人間はお前が初めてだ。だから、仲間などいない。そして、もう一つ。死神の弱点は、感情だ。心の底から笑わせるか、泣かせたりすれば死ぬぞ。』
「あぁ、分かった。」
そう言うと、悪魔は消えていき、史上初・死神を狩れる人間はその場に崩れ落ち、死んだように眠った。
目が覚めたときに、枕元には剣が置かれていて、握ると指輪になり左の小指にはまった。洗面台に行くと、右目だけ日本人特有の黒から灰色に変わっていた・・・。