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神様は大変

今の自分も自分で次の自分も自分で??

作者: 海月 くらげ

「さて、お主は死んだわけじゃが。」

いわゆる神様が言う。

「幸運な事にお主は来世を選べる権利が当たったのじゃ。」

パッカパーン、と神様が自分で効果音を付けていた。

神様……威厳もなにもあったもんじゃねぇな。


僕は病気で死んだ。25歳にして。死んだ、はずなんだけど、これは一体なんだ?目の前には神様。しかも来世を選べる?意味分かんねぇ。今風に言うならイミフなんですけど。古いか?古いな。


「仕方ないのう、ワシが直々に説明してやろう。光栄に思うが良い。」

いくら神様だからってちょっと上から目線過ぎません?まぁ別にいいんですけど。続けてください。

「じゃからな、お主は死んだわけじゃがな、宝クジに当たるかのような確率で当選したのじゃ!」

当選ですか?それはなにに?

「さっきから言っとるじゃろう!来世を選べる権利じゃよ。…全く最近の若いモンは理解力が足らんのう。」

あー、出たよ。年寄りがよく使う言葉。【最近の若いモン】、そうですね〜、どうせ僕はゆとりですよ〜。でもね、好きでゆとられた訳じゃないんですよ。ゆとり世代を作ったお偉いさん方に言ってください。

「ええい、うるさい!来世選択権利を剥奪してやるぞ!」

我儘な神様なことで。で?その来世選択権利?ってなんですか?

「それはじゃな、文字通り来世を選べるのじゃ。どんな人間になりたい?実際にいた人物にもなれるのじゃ。お主にはそういう権利が与えられたのじゃ。」

誰にでもなれるんですか?

「誰にでもなれるとも!時代を遡ることだって、造作もないわい!」

それは…なんていうか凄いですね。

「その通りじゃ。アインシュタインにだって、バッハにだって、織田信長にだって、明智光秀にだってなれる!」

織田信長までは良かったんですけどね、なんでその流れで明智光秀が入るんです?有名だけど裏切り者じゃないですか。

「一説によるとそうでもないらしいぞ?なんでも織田信長が人間不信に陥り、無茶苦茶に海外を攻めようとしたのを止めたらしいとも言われておるからな。」

…僕はもう死んでいるのに1つ賢くなってしまった。


「じゃが、1つ注意せねばならないことがある。過去の偉人もそうじゃが、どんな人物になっても同じ運命を辿ることになる。つまり織田信長に転生したら明智光秀に裏切られる事になるし、明智光秀に転生したら結局織田信長を裏切る事になる。この意味が分かったかのう?」

大体は分かりました。

「では、さて、それを踏まえた上でお主は誰に成る事を望む?」


これは自分でも意外なほど即答だった。


じゃあまた僕で、この自分でお願いします。


「ほう?それでいいのじゃな?」

はい。むしろこの自分がいいです。

「承知した。あ、最期に言い忘れておった。ワシとしたことが、いかんいかん。」

なんですか?早くして下さい。こっちも暇じゃないんです。

「お主は死んだばっかで暇じゃろうが!」

神様は一呼吸置いて言う。

「今の記憶は、来世には持っていくことは出来んぞ?それでもお主はまたお主を選ぶか?」


はい。それでも僕は僕を選びますよ。


「今度こそ承知した。では今のお主とは2度と会う事はなかろう。さらばじゃ。」

あ、神様。僕も言い忘れてたことがあります。

「なんじゃ?ワシも暇じゃないんだが?」


毎回お疲れ様です。


そしてこれからもお世話になります。


多分前の僕も僕を選んでいるだろうから。

そしてこれからの僕も僕を選ぶだろうから。


「はよ行けい。お主の後も詰まっとるんじゃ。」

あれあれ?神様のお声が涙ぐんでますよ?

まさか今の僕の言葉で感動しちゃいました?

「はよ行けい言うとるじゃろうが!しっし!」

はいはい、分かりましたよ。では今の僕とは永遠にサヨナラです。次の僕とはまた会う日までサヨナラです。



そして僕はここから去った。

後ろから、

「余はまた余を選ぶぞ!光秀か…あやつが裏切るとは思いもせんだわ!次こそは天下統一を!」

そんな声が聞こえた。


ここで僕の記憶は途絶えた。今の僕が途絶えた。


今の僕が


次の僕へ


新しい生が紡がれる。

どうもですです。くらげです。

自分は来世が選べるとしたら漫画家さんか小説家さんになりたいです。

眠れない時に書いた短編なのでいつも拙いものがもっと拙いかもしれません。でも読んでいただけると幸せです。

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