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転生チートはマシマシで  作者: 生木
プロローグ
5/9

この世界のこと

「ほら、はぐれないように手放さないでね?」

「うん」


ここは寮を出て少し歩いたさきの住宅街

僕のことやら何やらを警察に報告しなきゃいけないとのことで、ご飯のあと寮の人のお古だという草履を借り、ただいま外出中


初めて見たこの世界の住宅は、何というか………普通


日本にいるときと何も変わらない普通の住宅街だ

異世界なんだからもっとこう………よくわからない形状の建物とか中世ヨーロッパ風の建物とかいっぱい並んでるのかと思ったけどそんなことはなかったな

レンガ造りの家が並んであまり高い建物がないところを見るとこの辺はあまり都会の方じゃないのかな?

そのせいで影が少なくて日差しが直であたるので引きこもりにとってはとてもつらい


………いや、よくみると全く見たことない動物とかいるな

電線に鶏っぽいの止まってるし猫もしっぽが二つに分かれてるし

寮出てからまだ人にはあってないからどんな種族の人がいるのかまだ見当もつかないし


「あ、もうすぐ着くよ。ほらあそこの青い屋根の建物」


そうお姉さんが言ってその建物を見る

あー、普通

普通の交番だ

住宅街の中にあるところが普通さに磨きをかけてる


「はい、とーちゃく」


少し歩いて、交番に到着する

寮から大体10分くらいか………

………普通だな


「こんにちは~。駐在さん、いますか~?」


そう言いながらお姉さんはガラス戸を開けて入っていく

ぼくも手を引かれて中に入っていく


中もなかなか普通の交番だ

机があって手前と奥に椅子があって何やらポスターがいっぱい張ってあって………


………そのすべてが青いぬるぬるした液体で濡れていた


絶叫しそうになった口を手で押さえる


………絶叫しなかったよ?

成長してね?僕

もうさすがに不意打ちには慣れたよ


って言うかなにここ。なんでこんなに変な液体出してんの?

お姉さんは何も気にせずにズカズカ歩いてるし

害はなさそうだから別にいい………のかな?

僕一人だったら絶対ここ無視して隣町の交番に行くと思う


「ああ、首璃。森はどうだった?」


そう言いながら机の下から誰か………

いや、()が出てくる


青くて、ぬるぬるして………


………スライム?

しかも某大作RPGと違って本当にドロドロして原型をとどめてない感じの奴

目も口もないもないが少しボコッとしたとこに警察の制服らしき帽子をかぶっているからおそらくあそこが頭なんだろうか


「いや、やっぱり轟音が鳴るようなものは何もありませんでしたよ?」

「だよなぁ~。あの森にそんなものが運び込まれてたらさすがに誰か見てる人はいるだろうしな。あ~、報告書どうやって書こう………ってん?」


そのスライムが訝しげに僕を見る………

気がする

目がないからよくわかんないや


「どっから拾ってきたんだ?その子。この辺の子じゃないよな?」

「あの森に居たんですよ。しかも記憶喪失みたいで」

「その子が轟音出した原因とかか?」

「いや、さすがにそれはないですよ………」

「だよな。あ~、また報告書の枚数が増える~。めんどくさい」

「で、この子のことなんですけど」

「ん?あ~、本部の方に行方不明の子供を問い合わせてみるから、その間先生のとこ行って診てもらって来い.あの人だったら記憶喪失のことも何かわかるだろ」

「そういうのって普通あなたの仕事なんじゃ………」

「報告書が忙しいんだよ。どうせ暇だろ?まったく、こんな何もないような町に配属されたからラッキーだと思ってたのに面倒ごと持ち込みやがって」

「普段さぼりすぎて付けが回ったんじゃないですか?」

「うるせえ。………もういいからさっさと先生のとこ行ってこい、またあとで結果は報告するから」

「はいはい………。おまたせ、じゃ、行こうか」


そう言うとお姉さんはまた僕の手を引いて歩きだした



♢♦♢♦♢



「う~ん、これはちょっとわからんなぁ」


そう目の前のヤギのような見た目のおじいさんは唸る

ここは交番からさらに5分ほど歩いた先にある小さな町病院

そこで今僕は診察されている


………ヤギの医者が出てきてもまだ普通だと思えるようになってきたのはすでに僕がこの世界に毒されてるからだろうか?


「記憶喪失を治す方法はショックを与えるだの催眠療法だのあるにはあるが………。どれも決定的なものにはならないから無駄だろうな。それよりかは記憶を失った原因を探るのが手っ取り早いだろう」

「やっぱりあの轟音が影響してるんでしょうか?」

「かもしれん。だが、轟音が鳴った時点であそこにいたとは考えづらい。外傷はないし、あの音を間近で聞いた割には鼓膜も無事だからな。まぁ記憶の方は時間がたって思い出すのを待った方がいいだろう。あんがい見たことがある景色や聞いたことのある音、匂いなんかでも記憶ってもんは簡単に蘇るもんだ」

「そうですか………。ありがとうございます」

「おう。ああ、そうだ。泥谷ひじやの奴から連絡が来とるぞ。その子のことでまだ話があったもう一度派出所に寄ってほしいそうだ」

「分かりました。では、これで………」

「おう。あ、ちょっと待った、お嬢ちゃん」

「ん?」

「確かこの辺にな………。あった、ほれっ」


そう言って僕に飴玉をくれる


「記憶がなくて不安だろうがな、この街にお嬢ちゃんをどうこうしようなんて悪いやつはいないから安心して過ごせ。そのうち記憶も戻ってくるさ」


そう僕の頭をなで、笑いかける


「じゃあ、達者でな」

「う……ん!あ、ありがとうございましゅ………」


………噛んだ

おもっくそ噛んだ

畜生、しばらくしゃべってないとこういうところでうまくしゃべれないからいやだ


ほら、ヤギの医者の先生もお姉さんもものすごい生暖かい目で見てくるし


その後、

「じゃ、行こうか」

というお姉さんの言葉があるまでの無言がものすごい恥ずかしかったです………



♢♦♢♦♢



「本部の方に問い合わせてみたが、その子らしき行方不明の子の情報はまだないそうだ………」


そう言って駐在さんは申し訳なさそうに(多分)言う


………まあそりゃ情報なんかあったらおかしいよな

だって行方不明じゃないから


「そうですか………」

「それで、あの森については後日正式な捜索隊が入るから、所有者に許可をもらいたいらしいが別にいいよな?」

「あ、はい。それは大丈夫ですが………」

「その子が心配、か?」

「はい………」


そう言ってお姉さんは俯く


「まあ、そりゃそうだな。で、だ」


駐在さんは机の下から何か書類のようなものを取り出す

内容は………分からない

って言うか日本語じゃないぞ、これ

言葉は元の世界と同じなのに文字は違うのか

何と不便な


って言うか今どうやって取り出した?

お前手ないだろ


「その子のとりあえずの居住先を決めなくちゃいけなくてな。いろいろ候補がある中にな………」


そう言いながら書類の中の一枚を取り出す


「この辺には孤児院なんてものはないし、都会の方に行くには遠いからな。その子が轟音のことを何か知ってるかもしれないからできれば速く記憶を戻してほしいし、あの森の近くでなおかつ子供一人が急に入っても変わらず生活ができるって条件の場所の中に、お前んち、村長寮が出たんだ。どうだ?預かってくれないか?もちろん支給は出るし、あの寮の奴らなら簡単に受け入れるだろ」

「え?………はい、別にいいですけど」

「お嬢ちゃんもそれでいいか?」


ぼくは無言でうなずく

全く知らない場所に飛ばされるくらいだったらあの寮の方が百倍良い

ご飯はおいしいし、人間だっているし


………あのゾンビの女子高生はまだちょっと怖いけど


「じゃあ決まりだな。じゃ、手続きはこっちでしとくから。これから何回か、本部の奴が訪問するかもしれないけどかんべんな」


そう言って駐在さんは書類をしまい、椅子から降りる


「じゃ、今日はもう帰れ。時間も遅いしな」

「はい、ありがとうございました。………じゃ、いこうか」


そう言ってお姉さんは僕の手を引いて、交番の外へ出る


駐在さんが言っていた通り、外はすでに日が落ちて真っ暗になっていた


「あ~。すっごい暗くなっちゃたね~。みんなごはんまってるだろうな~」


………みんな、か

やっぱりあの寮にはもっと他にも人がいるんだよなあ~

皆あんまり怖くない感じの妖怪だったらいいな~

皆スライムとか、やぎだったらいいのに


………いや、やっぱりいやだな


そう心配してたのを見たからか、お姉さんがほほ笑みかけてくる


「心配しないでも大丈夫よ。あの子たちの他にも二人寮には人がいるけど、二人ともいい子だから」

「………うん」


いい子かぁ~

出来ればゾンビの子みたいに、いい子なんだろうけど見た目が怖かったりとかはないといいなぁ~


そう思いながら僕は月明かりに照らされた夜道をお姉さんと二人で歩いた



♢♦♢♦♢



「ただいまぁ~」


そう言いながらお姉さんが寮の扉を開ける


「あ、おかえりなさい、首璃さん」

「あ、鬼隆くんかえってたんだ。ただいま」


そうお姉さんが鬼隆という青年に話しかける

僕はその青年の顔を見て………


「おらぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


………全力で殴りにかかった

投稿してすぐに見てしまった人、すみません

最後に少しだけ手直ししようと思ったら間違えて投稿してしまいました


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