幼い頃読んだ本は、今でも心に残っている
書店に足を運ぶと、犬のことを書いた本がたくさんならんでいますね。
「印象に残った1冊ってなんだろう?」
と考えましたが、ドラマや映画などにくらべると案外思い浮かばない。
ふと思い出したのが、小学生の低学年の頃に買ってもらった『犬の図鑑』。
子ども向けの本で、正確な題名も出版社も忘れてしまいましたが、表紙のイメージと、ボロボロになるまで熱心に読んだ記憶が残っています。
猫に関してはそういう思い出がないので、動物好きではありますがどちらかといえばワンコびいきなのは、この影響かもしれない。
この中に載っていた、マタギと猟犬の物語がものすごく強烈に記憶に焼き付いています。
漫画、というより劇画タッチで描かれた、今から考えると「子ども向け?」と思えるような作品でした。
小型化し、屋内で子どものように可愛がられ、きれいな洋服を着せられたり、トリミングに通い、病気の予防もばっちり・・・といった最近の飼い犬のイメージとは真逆な物語。
厳しい生活環境に、荒っぽい飼い主。具合の悪くなった犬を、周囲の人の熱心な勧めでやっと治療を受けさせる状況。
最後はフィラリア症を悪化させて猟犬は死んでいきます。
でも、飼い主に愛情がなかったのかといえば、そうではありません。
そんなに豊かでなかった時代の物語。
そして、そういう生活が常識だった猟師たち。
この物語がしっかり心に刻み込まれているためでしょうか、物事を考えるには時代背景をきちんと知らないといけないこと。
人には人それぞれの考え方があり、生活環境があること。
そういうことが分かるようになりました。
常識というものは時代とともに変わるもの。
それを教えてくれた1冊。
残念ながら小学校を卒業する頃には、手元からなくなっていましたね。




