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第2話:嫌な予感

「心ちゃん、お風呂入ったら?」ソファーに寝そべっている心ちゃんの体を揺すって、あたしは耳元でそう言った。

「ん…。」心ちゃんはゆっくりと起き上がり、近くにあったタオルを持って部屋を出る。あたしはその間に歯を磨くことにした。

心ちゃんと付き合って3年。

あたしが高3の秋に付き合い初めて、2年目で同棲。

あたしはもう心ちゃんと結婚するつもりでいる。

まぁ、まだ21歳だし早いかもしれないけど。

心ちゃんはあたしの4つ上だし、そろそろだねって話しもしてる。

正直に言っちゃえば、付き合い始めの頃の燃えるような感情はないかもしれない。

でも、あたしはたぶん心ちゃんにかなり依存してる。

心ちゃん無しでは生きていけない体に、知らないうちになっていたんだと思う。

長く一緒にいると、空気みたいな存在になるってよく言うけど、今のあたしにはそれがよくわかるんだ。

無くなったら死んでしまうから、絶対離れたくない。

あたしは心ちゃんに出会って、本気の恋を知ったんだ。

別に心ちゃんがあたしの理想そのものじゃない。

むしろ、理想から離れてる部分のほうが多い気もするし…。

だけど、やっぱり好きって理屈じゃないと思う。

いくら考えたって頭では理解できない。

でも、心ちゃんの指も髪も背中も全てが愛おしく思える。

それは今までのあたしにはなかった感情。

まぁ、心ちゃんに会うまでは学生なりの恋をしてたのかな?今考えるとちょっと軽かったかも…。あたしは熱しやすくて冷めやすいタイプだったから、いつも3ヶ月で別れてしまってた。中には3日って人もいたけど…。これが、あたしと友達の間でよく話していた『3のジンクス』。心ちゃんは初めて3ヶ月越えを達成できた相手なんだ。

今はまるで夫婦みたいだって周りから言われてる。なんだかくすぐったい気もするけど、まだまだ夫婦ってよりはカップルでいたいな。なんかカップルって言った方がラブラブっぽいから。

第一、最近心ちゃん好きって言ってくれないし…これって熟年夫婦化してない?ただ慣れちゃって言葉が必要なくなってきただけだよね…。少し不安だな。でも、いつも心ちゃんは『ありえねぇ。』ってあたしを馬鹿にするの。だから、信じてるよ。

あたしはソファーの上の心ちゃんの携帯をちらりと見る。まだシャワーの音が聞こえるから、心ちゃんは上がってこないだろう。あたしはゆっくりと携帯に手を伸ばした。

「ちこー。シャンプー詰め換えんの忘れてたー。」突然心ちゃんが風呂場から叫んだので、思わず体がびくっとなる。

「今持ってくー。」あたしは何だか携帯に気を取られつつも、心ちゃんの元へシャンプーを届けに行った。絶妙のタイミングで心ちゃんから声をかけられたので、神様が見るなって言ってるように思えてやめた。

なんだか嫌な予感がした。

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