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第16話:あわよくば

会おうとすれば会える距離にいる。心ちゃんが携帯を変えていなければ、連絡だって取れる。そういう状況は余計辛かった。煙草をやめたくてもやめれない人は、ぐだぐだこうやって悩むんだろう。手の届く距離にいるのに触れちゃいけないなんて、地獄だよね。

何度も電車に乗りかけたし、何度もメールを送りかけた。もしかしたらっていろんな期待をして。

でも、あの日すずと会ったときに、もう決心したことだから。応援するって口にしてしまったら、もうあたしが心ちゃんを好きでいてはいけないということ。あたしは第三者なんだから。

心ちゃんとの思い出が詰まった部屋は、居心地がいいようでとても苦しかった。だけど、あたしはここから離れられない。麻薬中毒の様。

誰か助けてって何度も叫んだけど、そんなの無意味で…だってこの痛みや苦しみは心ちゃんじゃなきゃ取り除けないものだから。あたしには泣くことしか出来なかった。悲しい気持ちを形にして身体の外に出すことは、少しだけ効果がある気がした。まだまだ心ちゃんを思う気持ちは消えそうにないけど、少しずつ悲しみが和らいでいけばいいな。

今日は居酒屋で初のバイトの日だった。店長さんが優しいから、安心して仕事が出来るけど、周りの人と仲良く出来るかは心配だった。女の人はみんなギャルっぽいし…あたしみたいなのしょぼいって馬鹿にされてそう。まぁ、見た目で判断するのはよくないよね。

それに夜に働くのはあたしにとって、都合のいいことだったかもしれない。真っ暗な夜はやっぱり寂しさも増してしまうから、夜は賑やかな場所に居た方が楽。無駄に泣かなくて済みそう。

…そして、あわよくば、心ちゃんを忘れられる出会いがあればいいな。

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