07
話は僕たちだけで考えていても解決にはならないという結論に至り、そこで終わった。時間が十七時を過ぎたという理由もあったかもしれない。
二人は帰り、僕は一人病室に残された。
明紀が気をきかせてゲームを持ってきてくれたのだけれど、傷口のひきつるような痛みのお陰でまともにそれが出来ない。そういえば、銃弾は僕の身体を無事通り抜けたのだろうか。それとも、留まっていたのだろうか。それによって傷の程度が変わるという話をどこかで聞いた覚えがある。
「――――ッ!!」
一人、声を押し殺して痛みに悶える。ぽたり。と汗が垂れたのがわかった。
ああ、そういえば痛かったら痛み止めを打つからナースコールで呼べと言われてたんだっけ。なんでもっと早くに気付かなかったんだ。こんな痛みに耐えようとするなんて、僕はマゾか何かだったのか。そんな覚えは全くないのだけれど。
「……すみません、あの」
『痛み止めですね? 直ぐに持っていきますー!』
「あ、はい」
ナースコールを押すと直ぐに看護師さんが出てくれた。その理解の早さに僕は少し驚きつつ感心してしまう。僕のことを把握してくれているんだな、と思うと、相手にとってこれが仕事なのだとわかっていても少しだけ嬉しいような気がした。……うん、僕は愛に飢えている。
いつもは特に考えないことだけれど、どういうわけか今はそれを痛感した。精神的に弱っているのだろうか。……それもそうか。僕は死にかけたらしいのだから。漫画や小説の主人公のように、死にかけても強くいられるほど僕は強くない。
看護師さんは本当に直ぐに来て、僕に痛み止めを打って去っていった。痛み止めは筋肉注射のタイプで、軽く涙目になったぐらい痛かった。注射は嫌いだ。大嫌いだ。好きだという人間はいないと思うけれど。そんな人間がいるのなら、一度お目にかかりたいものだ。
「…………ッ?」
痛み止めを打って数秒で痛みが消えたため、痛み止めすげーと感動していたのも束の間、僕の身体に異変が訪れた。
なんというか、熱い。身体全体が熱を帯びてその内発火するのではないかと思ってしまうぐらい熱い。頭は痛くはないが、ぐるぐると回っているような感覚がする。ぐるぐるゆらゆらと、船にでも乗っているような、そんな感覚。思考がうまくまとまらず、少しでも気を抜けばバラバラになってしまいそうだ。
そして何よりも目。目の辺りが一番熱い。目蓋は勝手に落ちようとしてくるし、眼球を少し動かしたつもりが一気にグリグリと動いた感じがして地味に痛い。一点だけを見ていることができず、眼球が勝手に常にグリグリと動いている。船に乗っているような感覚と併せて、気持ち悪くなってしまいそうだ。既に、喉というか胸の辺りというか、その辺に違和感を覚え始めていることだし。
ああ、もうよく分からない。これは痛み止めの効果なのだろうか。よく分からない。よく分からないけど、寝てしまったら楽になれる気がする。
目を閉じると、随分楽になった。そこで、ああ、僕は凄く眠たかったんだ。と理解する。
目を閉じて数秒で身体がベッドに深く沈んでいくような感覚を覚え、それとほぼ同時に僕の意識も暗い闇の中へ落ちていった。
それほど、悪い眠りではなかったと思う。




