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語り
この社会には枠というものが存在する。
当たり前のことだけれど、通常の人間はその枠の中におさまっている。枠の中の人間はきっとその枠を大きいと感じることだろう。
ーーしかし、一歩枠の外へ出てしまえば、その枠の余りの小ささに人間は絶望する。そして、今までは何でもないものだった日常が、一気に表情を変え壁として立ちはだかる。
僕は、それを中学生で嫌というほど味わった。
そこから僕の日常は、どこかずれたままだ。ずれてしまったものは中々戻らない。壊れたものは、絶対になおらない。
しかし、これだけは言っておこう。
僕がこの現状を不幸だと感じているかどうか。それはまた別の話だということを。




