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6話:達成報告と打ち上げ

 



「本当にこんなに良い物を貰っても良いんですか?」


 街に帰ってきて、まず手始めに服屋へ行き、デザインはアマネのお任せで物は折角だからとびっきり質の良い物を選んでみた。


「いいぞ。どうせ金有り余ってるし」


 1級になると余るんだよマジで。そんな頻繁に娼館にも行かないし、食費だってそれ程高いものでも無い。

 家もまだアパートみたいなもんだしな。

 かかるのは武器くらいのもんだ。


「じゃ、ギルド戻るか」





 戻ればまだ酒を飲んでるやつがいる。

 全く、冒険者はこれだから……キマイラ討伐から帰った後にドレイク討伐に行った俺を見習って欲しい。


「イリスさん、戻ったぜ」


「おかえりなさい。珍しくパーティを組んでドレイクの討伐に行っていたそうですね。」


「まあ、ちょっと来るとこまで来たって感じだからな。こっちがパーティ組んだアマネだ」


「本日から主様に仕える事になりました。アマネと申します」


「……ゼニスさん?」


「待て、何もしてない。オレ、ワルクナイ」


「ですが……」


「アマネは忍っつってな。こう、主人に仕える職業らしいんだよ」


「はぁ……戦えるメイドのようなものでしょうか。まあ、わかりました。ではこれからは2人でという事になるんですか?」


「ああ。後これタグな。ついでに帰りにタイラントスパイダーも狩ったから」


「そうなんですか。ではこれから回収班を送りますね。お先にこちらクエスト賞金とタイラントスパイダー討伐の相場のお金です」


「ん。そういえばクロム達は?」


「まだ勉強中ですね。今はボガールさん夫妻が指導しているはずです」


 ボガール1人なら不安だったが呼ばれてきた嫁さんも一緒なら安心できるな。


「気になりますか?」


「ん、ああ、まあ、ちょっとな」


「では、お次の指導はゼニスさんにお任せしましょうか?」


「あー……それはまた今度。5級に上がってからだ。一応約束したしな。じゃ、俺らはそろそろ行くわ」


「はい、また」


 後ろで控えていたアマネを連れて食事のカウンターへ行く。


「アマネ、好きなの頼みな」


「いえ、主様の食べたいもので構いません」


「遠慮すんな。好きなのにしろよ」


「……では、こちらの焼き魚を。お米とお味噌汁はありませんか?」


 アマネがそう言うと料理長が困ったように頭を掻く。


「あー、極東の主食とスープか。悪いなお嬢ちゃん、うちはちょっとそこまでは取り寄せ出来てなくてなぁ」


「あ、いえ、無いのであれば仕方ありませんので。ではこちらのサラダとパンをお願いします」


「俺は──」


「肉と酒とチーズだろ」


「……合ってるけどさぁ。言わせろよ」


「大体同じのしか食わねぇクセになに言ってんだ」


「ならサラダも!」


「はいよ。じゃあ座って待ってろよ」


「あいあい」


 テキトーな近くの席に座る。


「アマネはどこに住んでるんだ?」


「住んでませんよ?」


「…………?どこに住んでるって?」


「ですから住んでませんよ?」


「じゃあ今までどこにいたんだよ」


「主様──ああ、リックさんの天井裏でした」


「????」


「これからは主様の天井裏ですね」


「却下」


「ええっ!?何故ですか!?」


「せめて隣の部屋借りろよ」


「どうしても、どうしてもダメですか……?」


「ダメに決まってんだろ」


「……仕方ありません。ではこれから契約しに行きましょうか」


「先に飯だろ」


「まいどおまち〜」


 ゆるい声の女性が料理を持ってきた。


「よっ、ライム」


「うっす〜、パーティ組んだらしいっすね」


「まあな」


「主様の忍のアマネと申します」


「クセつよ〜」


「な〜」


「癖がッ……強い……!?」


 ガタンと椅子から崩れ落ちた。


「お前、自覚なかったんだな」


「極東から来たので、世間知らずというのは知っていましたが……」


「面白い人っすね」


「そうだな」


「じゃあごゆっくりー」


「おー。ほら、座れ。乾杯すんぞ」


「うぅ……はい」


「そんじゃ、かんぱーい」


「はい、乾杯です」


 ぐいっと一気に半分程飲む。


「ふぅぅ〜……」


「美味しいですね」


「お、いけるんだな。にほ……極東から来たんだったら……あー、米から作った酒とかのが好みじゃないのか?」


「そうですね。米酒も好きですが、私はあまりお酒に強くないので、こちらのお酒の方がたくさん飲めるのはいいですね」


「あー、なるほどねぇ」


 日本酒は強いもんなぁ。

 でも俺としては日本酒も飲みたいなぁ。

 串焼きを齧る。うんうん、美味い。

 向かいのアマネもちみちみと魚を食べる。


「フォークとナイフだと食べづらくないか?」


「正直食べづらいですね」


「自分の箸とか持ってないのか?」


「忘れてしまいまして……それにしてもやはり極東に詳しいですね」


「ん、まあ、ちょっとな」


 元日本人だしな。


「んじゃ、今度作るか」


「良いんですか?」


「ちゃんとしたのは無理だけどな」


「ありがとうございます!」


「おー」


 俺も箸使いたくなってきたし。


「あ、でもその前に部屋の契約な」


「……覚えていましたか」


「こいつ……」


 天井裏は死守してやるからな。





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