25話:ドゴンのお節介
「で? そのドゴンさんがどんな良い家を紹介してくれんだ?」
「ふむ、とりあえず何人で住むか教えてくれ」
「えーっと、3人。今後増える予定アリ」
「ふむふむ、何人くらいだ?」
「わかんね」
「ふぅむ……あんたなら1級だし大きい家でも問題ないだろうな。良かったら追加料金でリフォームするが、どうだ?」
大工っつってたもんな。それくらいは出来るか。
まずはアマネの方を向いた。
「そこのお嬢さんは東の方から来たんだろう? なら、タタミを使った部屋の方が落ち着くんじゃないか?」
「え? こちらに畳があるんですか?」
「当然、少し値は張るがな」
「むむむ……良いですね」
次にシフォンの方を向く。
「お嬢ちゃんはパッと見だが、格闘術で戦うんじゃないか? それならトレーニング器具だって用意できるぞ?」
「欲しい!」
あーあ、2人共乗り気になっちゃったよ。
「兄ちゃんは……何が欲しい?」
「んだよ。俺には思い付かねぇのか?」
「あんたはそこの2人みたいに単純じゃ無さそうって言ってるんだ」
「わ、私が単純……」
ひっそりと隣でショックを受けるアマネをスルーして考える。俺の欲しいもんねぇ……
「部屋はなんでも良いから、風呂は良いもんにしてくれ」
「ほぉ、綺麗好きたぁ珍しいな。」
「ま、身嗜みは男の基本ってな」
「言えてらァ。んじゃ、纏めると和室、激しいトレーニングに耐えられる器具、風呂だな。後はこっちで良い感じにやるってので良いか?」
「ああ、そこは専門家に任せる。」
「あいよ! じゃあちょっくらいくらかかるか計算してくっから待ってな!」
そう言ってドゴンはすぐ後ろにあった建物に入っていった。
「……そこお前の家かよ」
「楽しみですね!」
「楽しみだにゃ!」
「購入したらお祝いに行きますね!」
「俺も行きますよ!」
なんか俺以外が盛り上がってる……とりあえずサムズアップしておいた。
「ちょっとお父さん!また勝手に仕事取ってきたの!?」
「なんだ?」
家の中から声がして、家の扉が開かれた。
「うっそ!? ほんとにゼニスさんじゃない!? あ、えっと、この人の娘のトリンです!」
中からはドワーフではあるが、珍しく高い緊張の女が出てきた。さっきの言葉の通りなら娘か。
あー、あれか。娘に仕事は継がせたけど、心配だからお節介してるって感じか。
「あー、なんか間が悪かったか?」
「えっと……その、悪くは無いんだけど……」
もごもごと困ったように口を動かす。
「うちって、そんな有名でもないし、他の所と比べたら全然じゃない?」
「いや、知らねぇけど」
「あ、それもそっか……」
なんだ、つまり新参者な自分は腕がまだまだだから自信が無いって言いたいのか?
「とりあえず、さっきドゴンに頼んだのは出来るのか?」
「出来るけど……多分、他の所よりも時間かかるよ?」
「別に良い。テキトーされるよりもまともにやってくれるなら文句はねぇよ」
まあ、その間シフォンをどうしようかって問題はあるけど。なんとかなんだろ。
「それで? やるのか? やらないのか?」
ぶっちゃけドゴンに唆された感じはあるが、いつか必要になるもんではあるしな。
「やる! やらせて! 絶対に満足させる家にしてみせるから!」
「よし、決まりだな。ドゴン、あんたもしっかり頼むぜ?」
「おうよ。歳は取ったが腕は老いちゃいないからな」
にかっ、と笑ってそう言った。
「んじゃ、お前ら帰るぞ」
本来なら、リフォーム前の家も見た方が良いんだろうが、あのやる気のある2人に水を差すのも野暮だろう。それに、ただの勘だけど多分良い感じにしてくれるだろ。
「それで、シフォンさんはどこに住ませるんですか?」
「そうだな。アマネの部屋──」
「あたしより強い奴にしか従わないにゃ」
暗に自分より弱かったら住んでも好き勝手すると……
「あー……じゃあ俺の部屋しかねぇな」
「いけません!」
「そういうのはよくないと思いますっ!」
アマネとサラが反対を示したが、最終的には覆らず、俺の部屋に住まわせる事になった。




