24話:エルフのリムとドワーフのドゴン
「さ、召し上がれ!」
少しして魔法で浮かべられたケーキの乗った皿や紅茶の入ったカップが並べられた。
相変わらず良い香りだ。
「こっちははちみつのシフォンケーキで〜、こっちは木の実のクッキー! どれも私が自分で採った物よ!」
「え? リムさんが?」
「こう見えてこの人、元1級だぞ。それと俺の魔法の師匠なんだから強いに決まってんだろ」
ちなみに今思えばこの人も原作キャラだな。後剣の師匠もだ。それなのに今まで俺は気付いてなかったのか……
それと、俺の知っている限りではリムさんはスチルがない……はずだ。だって原作のゼニスより強いし。
「もうっ、昔の話よ。今はこうやってお菓子を食べてくれるのを見てるだけで十分っ!」
「美味いにゃー!」
ばりぼりとシフォンがクッキーを食べる。お前そこはシフォンケーキじゃないのか……
いや、猫であることを加味するならカリカリと考えれば妥当……?
そんなどうでもいい事を真面目に考えていると、口元にクッキーを突き付けられた。
「ほら、ゼニスくんも食べて!」
「はいはい」
クッキーを食べると、ポロッと口の中で砕ける。優しい甘さだ。その中で木の実のボリッとした食感がまた楽しい。
飲み込むと、今度は紅茶を一口飲む。これが甘さを流してくれる。
「……美味い」
「でしょ?」
嬉しげな顔で笑うと、リムさんもクッキーを頬張り堪能していた。
「わ、このケーキふわふわですね……!」
「ほんとだ。雲みたい」
サラがシフォンケーキを指でつつくと、もふんと沈んだ。
「ふふっ、私の自信作なの! 食べてみて!」
「はいっ」
サラがもふっとかぶりつく。うーん、絵になるもんだ。
「!!!!!」
蕩けた顔になり夢中でケーキを食べる。わかる、美味いよな。
どれ、俺も久しぶりにと齧る。
ふわふわした生地にはちみつのほんのりとした甘みがよく合う。
うーむ、食べ過ぎちまうな。気を付けねぇと。
「最近はどうだった? 街のみんながよく話すから知ってるけどゼニスくんから聞きたいな」
本格的に母親みたいな事言い始めたな……
とりあえずこれまでの事をざっくりと話した。すると──
「うんうん、とっても頑張ったわね!」
そう言って頭を撫でられた。
「俺ももういい歳なんだけど」
「私からしたらまだまだ子供よ!」
「そりゃあエルフからしたら人なんて全員子供だろうよ……」
ため息を吐いて大人しく撫でられる事にした。
「また来てねー!」
「「ご馳走様でした!」」
「美味かったぞ!」
「とても美味しかったです」
「んじゃ、また来るわ」
手を振って店を出る。
次は物件か……
「なぁ、お前ら。どういう家に住みたいとかあるか?」
「主様……!!!」
「んー? あたしは寝れたらいいぞ」
「私は主様にお任せします!」
「それが1番困るんだよ……」
俺の貯金なら豪邸くらいポンと買えるし、建てれるが、どんなのがいいかって要望くらいは言って欲しいんだがな。
イメージだけで考えるなら、アマネは和風の方が落ち着くだろうし、シフォンは……猫のペット部屋? いやいや、流石に良くないだろ。
「おう、そこの兄ちゃん」
「あん?」
声のする方を見るが誰もいない。
「こっちだ、こっち、下を見ろよ」
下を見ればドワーフがいた。
「あんたら、家が欲しいんだってな? 良かったら俺が良い家紹介するぜ?」
「そりゃ、助かるけど。あんた誰だ?」
「俺はドゴン。まあ、家の紹介兼大工だ。よろしくな」
そう言うとドゴンは深い髭の奥で笑って見せた。




