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21話:VSシフォン

 




 訓練所に入り、軽く身体を解すように動かす。

 シフォンも向かいで足を中心にストレッチのような事をしていた。

 今回は武器無し、属性無し、魔力強化のみでやるか。シフォンの土俵ではあるが、そっちのが面白い。


「んじゃ、やるか」


「あれ? その武器は使わないのか? あんた剣士じゃないの?」


「剣士だぞ。ただ、今回は使わない。怪我させたら悪いだろ?」


 そう言うとシフォンの目が厳しくなる。


「舐めるなッ! 本気でやれ!」


「舐めてねぇよ。文句があるんだったら俺に武器を使わせるくらいに追い込んでみろ」


「……いいよ。後悔しないでね」


 すっ、とシフォンの身体が沈み込む。四足歩行でもするのかという程に身体を低く、前傾姿勢で構えている。


「ガァッ!」


 土を蹴り飛ばしたと思えば、既に俺のすぐ真下まで迫っていて、下から顎を蹴り上げようとしていた。

 流石に速い。後ろに軽く下がる事で回避すると、軽く跳んで回し蹴りを繰り出してきた。しなやかな身体から放たれる蹴りは正に鞭と言ってもいいだろう。それを腕で受け止めると数メートル後ろに押し下げられた。


「強いな」


「後悔しないでって言ったでしょ」


 受け止めた腕が軽く痺れる。


「ハッ、じゃあ次はこっちの番だ」


「あんたの番なんてないにゃ」


 シフォンの身体がブレる。いや、俺の周囲を走っているだけだが速いのと独特の歩法で残像が見えているだけか。


「どんどんいくにゃ!」


 上下前後左右、あらゆる方向から蹴りが飛んでくる。受け止めたとしても、次の一発を打たずに受け止められた衝撃を利用して後ろに下がるという一撃離脱戦法をしてきた。


「にゃははははっ! 動けないみたいだにゃあ?」


 笑いながらも走り回り、蹴り続けるシフォン。そろそろ目が慣れてきた。


「これで、あたしの、勝ちー!」


 最後の最後で大きく右足を振りかぶった空中回し蹴りが俺の頭に当たる──


「よっ、はっと」


「ぐべぇっ!?」


 左手で上に弾き上げ、回転の勢いで見えた背中にアームハンマーを叩きつけた。


「どーよ? 中々やるもんだろ?」


「ぐぬぬ……ちょっとはやるみたいだけどまだまだっ!」


 またしても姿が消え、今度は後ろから足を狙ってきた。


「ふんっ、どっこいしょ!」


「みに”ぁぁあああああ!?」


 今度はそれを足に魔力を集中させ、力を入れて受け止め、後ろに戻る前に足を掴んで片足でジャイアントスイングをした。これだけやりゃあ瞬間火力が高かろうとなんとかなる。


「めぇぇぇぇがぁぁぁぁまぁぁぁぁわぁぁぁぁるぅぅぅぅ!!」


「そーらよっと!」


 ぽーい、と投げるとゴロゴロと転がった。

 ふらふらと立ち上がると、気付けするように頬を叩いた。


「そろそろ良いんじゃねぇか?」


「ま、まだだにゃ……! これで、決める!」


 端っこまで下がると、クラウチングスタートのように構えた。いや、あれは猫が飛びかかる前のポーズか?


「おいおい、決闘とはいえ全力かよ」


 流石にマズイと冷や汗を流す。魔力強化のみで受けられるか……?


「ぅぅぅうううにゃあああぁぁぁ!!!!」


 四肢を使って飛び出し、そのままダンッダンッ!と足を音を響かせる。しかし、速すぎて音は聞こえても、姿は見えない。


「もらったァァァァァ!!!!」


 気付いた時には数メートル前でドロップキックの姿勢になっていた。

 食らったらマジでヤバイ。身体に雷を流し、全力で上方向へと弾き上げた。バキリと手から嫌な音がする。

 くっそ、属性まで使わされちまったか。


「んにゃああああああ!?!?」


 勢いそのままに空へ飛んでいき、数十メートル打ち上がった所で止まって今度は落下し始めた。すると猫のようにくるくると回ると、地面に着く頃には体勢が戻っていて綺麗に着地していた。


「で?どうだ?」


「……………………降参するにゃ。私の負け」


 ようやくシフォンが負けを認めた。





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